海外日本語教師の養成・研修

平成24年度 日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)12期生の参加者紹介

日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)は、各国の日本語教育界において指導的立場に立つ人材を養成する目的で、平成13年度に開設されました。平成24年度のプログラム(研修期間:1年)は、平成24年9月から平成25年9月に実施され、4か国4名が参加し、全員、日本語教育の修士号を取得しました。

参加者の声

集合写真

ディニ・ブディアニさん (インドネシア/リアウ大学)

研究テーマ

インドネシア人大学生に対するピア活動を取り入れた作文授業-意見文を例に-

ディニ・ブディアニさん 9年前に、日本の大学に留学したことがきっかけで初めて日本語を勉強しました。その時、日本語はただのコミュニケーションのための道具にすぎませんでしたが、日本で生活する中で日本語の魅力を感じ、だんだん好きになりました。工学を勉強したにもかかわらず、帰国してから日本語教師として生きていくと決めました。長年日本で留学する経験があったので、自信をもって日本語教師がやれると思いました。しかし、教師をやっている間、「現実は甘くない!」と気づき、日本語や教授法の知識を深めようという意思で本プログラムに応募しました。 先輩方の話では、「このプログラムはハードルが高い」、「長年日本語教師をやっていると授業を受けることに抵抗がある」という気を弱くするコメントを聞きました。確かに通常2年間で終了する修士プログラムを1年に短縮するのはハードルの高いプログラムでした。授業を受けながら、研究を進めるという忙しい日々が多かったです。しかし、様々な授業を受けたときに日本語や教授法の知識を得るのはもちろん、学生に対する見方、日本文化への視点、研究のやり方など新しい発見があり、抵抗どころか本当に楽しかったと思います。本プログラムを乗り越えるコツとしては新しいことを批判的に考えながら楽しむことだと私は思います。 また、日本語国際センターでは毎年世界中から何百人もの海外の日本語教師が研修しに来ますので、日本語という共通語で国際交流ができます。日本の普通の環境とは一味違う環境が味わえるのが本プログラムの1つの魅力のではないかと思います。 本プログラムを終了し、これから、この1年間で学んだことや経験したことを活かして、日本語教育や母国の教育に貢献できるように頑張りたいと思います。


セウィクン ラサーさん (タイ/ラジニーボン学校)

研究テーマ

インプット処理指導を取り入れた授業の試み-タイの高校における授受表現の指導を例に-

セウィクン ラサーさん 国際交流基金日本語センターでの1年間の留学生活は私にとって、かけがえのない貴重な経験になりました。このプログラムの勉強は易しくはありませんでしたが、毎日新しいことに挑戦するような気持ちでした。 タイで10年間程日本語教育に携わってきた私は、教授法も言語習得理論もよく知らないまま日本語を教えていました。自分の教え方は、もしかしたらどこかいけないところがあるのではないかとずっと疑っていたので、やはり日本語教育に関する知識が必要と思うようになり、このプログラムに参加させていただきました。ここでインドネシア、チェコ、ミャンマーからの3人の参加者と出会えました。最初の頃みんなそれぞれのペースがあって、少し合わない部分もありましたが、時間が経つにつれて、みんなお互いに分かり合うようになりました。私にとって今回研修に参加して、いい仲間が見つかったと思います。更に様々な研修参加者と交流できたので、やはりみんな「日本語」という絆で繋がっているのだなと感じています。 勉強のことですが、1年間の修士課程プログラムなので、「大変忙しいコースですよ」と来日前からもみんなに言われました。それを覚悟して、毎日授業を受けながら、自分の特定課題研究に取り組んでいました。元々日本語教育の知識がなかった私にとって、秋学期で初めて習った「第二言語習得研究」や「教授法」などの授業はとても難しく感じました。しかし、先生方が色々なアドバイスをくださったし、授業を通して考えさせていただいたので、様々な知識を身につけられました。特定課題研究も私にとって、新しいことに挑戦したので、大きい壁があったような気がしました。しかし、指導教員の先生方が温かく見守ってくださいましたので、乗り越えられました。 1年間はあっという間に過ぎて、特定課題研究を終えて、無事に卒業しました。こんな短期間で自分がこんなに成長できたとは思っていませんでした。それは先生方のおかげだと思います。帰国後は、このプログラムで習ったことを活かし、自国の日本語教育に貢献していきたいと思います。


ソー エインダー ヌェさん (ミャンマー/ヤンゴン外国語大学)

研究テーマ

会話授業の改善のためのコミュニケーション重視の活動-ヤンゴン外国語大学における初級クラスへの提案−

ソー エインダー ヌェさん 6年前、国際交流基金の海外日本語教師短期研修に参加したことをきっかけに、いつか修士課程で勉強し、日本語教育についての視野を広げたいという希望がありました。面白いことに、平成19年7月7日の夜、その願いを書いた短冊をセンターのロビーの七夕飾りにつけて、一心に祈ったことがあります。そして、幸運なことに本プログラムに参加できる大きなチャンスをつかみました。その瞬間、七夕の短冊の願いがぱっと思い出され、とても感動しました。 修士コースの歓迎式の挨拶の際、「1年間で修士コースを終わらせる皆さんは2倍の頭、2倍の力を使って頑張ってください」という日本語国際センターの所長の大切な教えをいただき、1年間の大学院生生活がスタートしました。正直に言えば、コース開始後、第2言語習得、教師教育論等様々な授業を次々に受け、理解できないことが多く、一方、論文講読と両立させる訓練で大変な壁にぶつかり、頑張っているのに落ち込んだりすることもありました。しかし、先生方の励ましの言葉に力づけられ、前に進むための大きな支えになったので、心の奥底から感謝しております。 本コースは、従来考えたことのない自国の教育制度、教育環境、教師の役割についていろいろ考えさせられる授業で、所属機関のコースと学習者のニーズ、使用教材と教授法等の現状を意識させられ、更に、シラバス、カリキュラム、授業改善、効果的な評価の必要性をよく把握できました。伝統文化の鑑賞、学会参加、優秀な先生方の全ての授業から日本と日本語教育に関する幅広い知識を得、いずれも自分自身の成長のみならず今後、自分の教育現場で生かすためにも有意義な支え、訓練になっています。特に、研究方法を段階的に教わると同時に自信も持てるようになるため、全力で指導してくださった先生方へのご恩は言葉で表せないほどです。 難しさにチャレンジしたからこそ、自分の研究がもっと面白くなり、自分の成長も実感するようになりました。失敗をきっかけに成長したのでしょう。これからもチャレンジの気持ちを忘れないで、頑張りたいです。いろいろな大変さをきっかけに貴重な知識や経験が獲得され、やっと、輝かしいゴールに達しました。2度と貰えない貴重なチャンスでした。
帰国後、本コースで学んだこと、得た知識を自分の教育現場に生かし、ミャンマーの日本語教育の発展に頑張っていきたいと思います。


マテラ ユラさん (チェコ/マサリク大学)

研究テーマ

チェコの大学における日本語学習者の漢字学習に対する意識とストラテジーに関する調査

マテラ ユラさん チェコの大学で日本研究専攻課程を卒業して日本語の教師になりました。元々日本語学と言語学に興味をもっていて、日本語の仕組みの明示的な知識を通して日本語が簡単に教えられると思っていましたが、実際にやってみて、日本語が分かることと日本語を教えることがかなり異なるということが分かりました。経験を動機にして、自分の教師としての能力を改善しに本プログラムに応募しました。平成24年の9月末にとうとう北浦和の国際センターに到着しましたが、当時はどんな1年になるかよく想像できませんでした。 本プログラムは様々な面白い科目を内容としています。教授法、教師教育論、第二言語習得等は、私にとって全く新たな分野との出会いになりました。言語学や日本語学に関する科目には、既に知っていたこともありましたが、それでも勉強になったことが少なくありませんでした。また、言語政策研究や異文化コミュニケーション等の科目のおかげで、それまであまり意識しなかった言語教育の実際の人生との関係が見えてきました。 このプログラムに参加している4人にとって、特定課題研究のトピックはそれぞれ異なりましたが、共通のところもいくつかありました。研究者の立場から日本語教育の具体的な問題を考察して、短い時間で良い成果を出すのは決して容易いことではありません。しかし、指導教員や他の先生方の献身的な支援を頂いて、目的に向かっていました。苦労があれば、楽しみもあります。論文講読の徹夜、データ分析の苦心もあるかもしれませんが、大相撲、歌舞伎、研修旅行、素晴らしい先生方の講演などなどの楽しいことが圧倒的に多いでしょう。 本プログラムを通して、新しい知識や視点を得て、人生が変わります。専門的な知識のことだけではありません。魅力的な人との出会いのおかげで、自分もより良い人になれます。人間としてより良いものになれば、日本語教師としてもより良いものになれると希望しています。

お問い合わせ

国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
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