平成26年度 日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)

日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)は、各国の日本語教育界において指導的立場に立つ人材を養成する目的で、平成13年度に開設されました。平成26年度のプログラム(研修期間:1年)は、平成26年9月から平成27年9月に実施され、4か国4名が参加し、全員、日本語教育の修士号を取得しました。

デンさん(田 甜/TIAN TIAN/中国/安徽城市管理職業学院)

研究テーマ

『ビジネス日本語につなげるための初級会話シラバス』の作成

http://www3.grips.ac.jp/~jlc/jlc/ronshu/2015/6tiantian.pdf 【PDF:外部サイト】

デンさんの写真 日本語教師になって3年が経った頃、日本語がわかることと、日本語が教えられることとは別問題だということを日々の仕事で実感していました。そして、自分は今まで日本語を勉強してきたが、日本語の教え方について何も知らないことに気づきました。北京日本文化センターの地域教師研修会に参加することをきっかけに、日本語教育の新しい理念や方法をゼロから勉強したいという気持ちがいっそう強くなり、日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)に応募しました。 「このプログラムは通常2年の修士コースを1年でやるので大変だ」と、先輩や先生から聞いていましたが、授業で新しいことを勉強するのは苦ではありませんでした。ほんとうに大変なのは自分で考えなければならないことだと思います。特に課題研究では悩む時間が多く、出口の見えない日々は苦しかったです。しかし、すべての困難を乗り越えた今なら、自信を持って言えます、「全力を尽せば、このプログラムから無事卒業できます。卒業できれば、大きな収穫が得られるに違いない」と。 苦しい時や「もういやだ」と思った時は、先生方と修士の仲間たちがいつもそばにいてくれました。先生方は忙しい中でも話を聞いてくださいました。修士は4人しかいませんが、みんなが仲良くて食事はいつも一緒でした。食事をしながら、研究の悩みを話し合ったり、グチしたり、励ましあったりしていました。今でも先生方と修士の仲間たちのことを思い出すと、感謝の気持ちでいっぱいになります。 勉強や研究以外に、いろいろな文化体験に参加することができました。能と歌舞伎の鑑賞、茶道の体験や地方研修など、普段なかなかできない体験をすることで、日本をもっと広く深く知ることができたと思います。 1年はあっという間に過ぎてしまいました。この1年で、日本語教育や研究のやり方についてたくさんのことを学び、国の違う友だちができ、日本の文化を体験することができました。辛い時間もありましたが、充実した1年でした。これから、この貴重な経験を生かし、仕事をがんばっていきたいと思います。


ミィンさん(ミィン・ミィン・テイン/ MYINT MYINT THEIN /ミャンマー/マンダレー外国語大学)

研究テーマ

ミャンマー人日本語学習者の授業内多読活動の試み-マンダレー外国語大学の読解授業に組み入れるために-

http://www3.grips.ac.jp/~jlc/jlc/ronshu/2015/4myintmyintthein.pdf 【PDF:外部サイト】

ミィンさんの写真 日本語教授歴10年以上になっても日本滞在経験なしで日本語を教えていました。日本に1年ほど滞在して、日本語や日本のことを知り、より効果的な教授法を学びたかったので、このプログラムに申し込み、幸い参加させていただきました。 このプログラムでは、研究だけでなく、言語学、教師教育論、第二言語習得、教授法、日本事情などの科目もあって、わたしにとってはこれまで学んだことのない日本語を学び、大変でした。しかし、授業を受けて自分の勤務する大学には、何が必要か、どこをどう改善すべきなのかなども考えることができました。日本語教育以外にも、政治、経済、現在の日本社会についても触れることもできました。いろいろな学びがありましたし,贅沢な1年間でしたが,わたしを一番悩ませたのは研究でした。研究テーマを決めること、実習、データの分析など初めから最後までずっと悩んでいました。先生方や仲間の支えで、克服することができ、やっと修士号を習得しました。 このプログラムに参加できて、他の研修参加者とも出会えたので友達も増えました。修士4人の仲間とは国や文化など違うけど、一度も喧嘩しないで、互いに支え合って、1年間を心強く乗り越えることができました。これからも仲間としてご縁が続くといいなと思います。また1 年間学んだことを自国の日本語教育のため貢献できるように帰国後も努力を続けたいと思います。


ワヂソンさん(ノゲイラ・メロ・ワヂソン/ NOGUERIA MELO WADISON /ブラジル/セアラ州立大学)

研究テーマ

教師が持つステレオタイプ認識の変容を目指した授業の試み

http://www3.grips.ac.jp/~jlc/jlc/ronshu/2015/5nogueiramelo_wadison.pdf 【PDF:外部サイト】

ワヂソンさんの写真 5年前に国際交流基金の海外日本語教師長期研修をきっかけに初めて日本に来ました。長期研修は半年のプログラムですが、その間に他のプログラムの研修参加者と交流することが多くて、日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)について知りました。長期研修が終わった後ブラジルに帰って、目標を新しく立てました。それは大学の教員になることです。そのためには、大学院に入らなければいけませんでした。それで、5年前の先輩たちの姿を思い出して、皆さんと相談しながら、本プログラムに申し込もうと思いました。 1年間の修士課程は、大変だと覚悟していましたが、やはり来てみないとわかるものではないと思いました。最初は、ちゃんと最後までやっていけるか何回も考えました。しかし、先生方のご指導や仲間の協力がありましたから、大丈夫でした。慣れるまで少し時間がかかりますが、慣れたらどんどん進みます。時間の調整もちゃんとできたら日本での生活を十分楽しめます。 今は自分が勤めている現場に戻って、活躍していますが、本プログラムで学んだことを生して、自分がいる地域だけでなく、ブラジル全国における日本語教育の発展を目指して、より広い範囲の協力ができたらと思います。

お問い合わせ

国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角@マークに変更してください。)