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日本語国際センターの研修プログラムでは、日本語・日本語教授法等、教室内での授業だけではなく、日本の文化事情を知るための様々な企画(書道、生け花、着物の着付け、歌舞伎観賞、相撲観戦、東京探訪、ホームステイ、研修旅行(日光、京都、広島等)等を行っています。平成19年度夏期短期研修では、これらに加え、日本で長年働いてきたビジネスマンの生の声を聞く機会として、当センター・松尾修吾所長による特別講義『日本の職場のミステリーと日本式意思決定』を行いました。
以下、2007年8月10日に行われた特別講義の内容を一部、ご紹介します。
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| 地理的要因からできた基本的な風習−日本人の社会は「ぎゅうぎゅう詰め!」− | |
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| 研修参加者たちの事前アンケートに見る外から見た「日本人についての不思議」 | |
事前に書いてもらったアンケートを読むと、各国で日本語教師をなさっている研修参加者の皆さんたちは、「日本人の日常生活や文化」「天災がこんなにも多い中で経済発展を遂げた理由」「古い文化と新しい技術とが共存している不思議」等、日本についての疑問をたくさん挙げてくれました。とかく、日本人は「難しい」「あいまいだ」「分かりにくい」と言われることが多いのです。これから具体的にお答えしていきましょう。 |
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| Q: | なぜ日本人は相手の目を見ないの? |
| A: | 日本には「伏し目」という言葉があります。昔の武家社会にあっては、「目と目が合う」ということは、斬り合いの瞬間を意味することさえあるほど、緊張感を伴うものでした。特に身分の高い人の目を見ることは大変無礼な作法とされ、日本人は知らず知らずのうちにアイコンタクトを控えるようになりました。目を敢えてそらすということ、伏し目にするということが、「相手を傷つけない」「相手に対して丁重に接する」という意思表示でもあったのです。従って、特に顧客などと話をするときは少し視線を弱くした方が相手もリラックスでき、商談がうまく進んだり、逆に相手の信頼を得ることがあります。 |
| Q: | なぜ日本人はくっつきたがらないの? |
| A: | ヨーロッパ等の外国の人々はさかんに抱き合ったり頬を寄せ合ったりしますが、日本人はそうした人たちと接するとき、つい後ずさりしてしまうことがあります。これが誤解を生み、外国の方々から「何か後ろめたいことがあるのか」「自分と近寄るのが嫌なのか」と思われてしまうのです。しかし、これは日本人にとっては、そもそも「相手と距離を置くのが礼儀にかなった作法だ」という古い文化習慣が身についているからなのです。「頭を下げる」という挨拶の仕方が、日本人のこういう作法を作る要因のひとつであったかもしれません。 |
| Q: | 日本人はくっつくのを嫌がるのに、なぜ通勤ラッシュの電車には平気で耐えられるの? |
| A: | 確かに不思議なことですが、日本人は、知らない者どうしであれば近づいても平気なのです。逆に、知り合い同士、親しい者同士だと、距離を置き、控えめに振る舞うのです。 |
さて、ここからは、特に日本人の「仕事のやり方」についての質問に答えていきます。 |
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| Q: | なぜ日本人はYes, yes, と言うの? |
| A: | 商談の場で、外国の取引先との打合せで日本人はよく“Yes, yes”というため、取引先の相手はてっきり日本側は話を了解しているものと思ってしまうが、結局「後ほどご連絡します」と言われてしまい、実は了解を得ていたわけではなかった、ということがよくあります。これは単純なことで、日本語で「はい」という言葉は英語の”Yes(承諾)”の意味をもつと同時に、単に相槌を打つときに使う言葉でもあるからなのです。日本人は子供の頃から「話しかけられたら『はい』と返事をするように」としつけられていますので、相手の話を聞いているときに「あなたの言うことを聞いています」「あなたの言うことの意味が分かります」という意味で「はい(Yes)」と言うのです。また、日本人は相手の感情を害さないように大変な努力を払いますので、できる限り“No”という言葉は使いません。だから、これは日本人同士でもよくあるやりとりなのですが、日本人が「考えておきましょう」と言うときは、95%“No”だと考えた方がいい、とさえ言われます。「やりましょう」と言えば、ほぼOKです。 |
| Q: | なぜ日本人は仕事が終わってもなかなか帰らないの? |
| A: | これもよく日本の職場のミステリーとして語られますが、実は、日本では「一人で仕事を決めない」という風土があるのです。担当者に与えられる決裁権(決定権)が諸外国に比べて比較的狭く、物事を決めるには社内のコンセンサスを必要とします。ひとつのプロジェクトを完成に導くために必要なあらゆる部門、そして管理する立場の人の承認まで得なければ進行できません。あらゆるリスクをつぶし、必要ならばたたき台を改善して初めて公に決裁し、ようやくプロジェクトが動き出します。このように、良くも悪くも、前もって各方面と打ち合わせておき、関係者みんなの合意を得た上で決定の場へ持っていき、「一体で動く」ということが日本では重要とされています。仕事の後に飲みに行ってまで仕事の話をしたりして、面倒な風習のように思えますが、このようにして和を保った上で決められた後の結束力、実行力はすごいものがあり、全体で決まったときはすばらしいスピード、正確さで仕事が進められていくのです。「和ともって尊しとなす」それが日本の仕事のやり方です。 |
| 日本人の『外から取り入れ、内に活かして自分のものにしていく力』 | |
私も若い頃から実にいろいろな仕事を次々にさせられてきました。ソニー社からソニー・ミュージック社に移って音楽を中心にソフトビジネスの世界で働くなどということは自分では考えられなかったことですが、上から与えられた専門をこなしていくうちにその分野の知識やノウハウを修得していくことは私にとって楽しくて仕方がないことで、大きな喜びでした。仕事が面白くて寝るのも惜しい、そんな毎日を送ってきました。新たな分野で働くということは、それだけ勉強をしなくてはなりません。マーケティングや大衆心理学、市場調査、市場予測、統計的管理法などいろいろなことを学び、それらが次の新しい仕事で役に立ったときの充実感は何ものにも替えがたいものがあります。 「日本のビジネスは分かりづらい」、そう言われたときに、外国の方々に理解していただく努力をすることはとても大事なことです。また、「物事をはっきり言わない。日本人は自分の正当性を主張できないの?」「あんなに人に気を遣う日本人が、海外旅行に出た途端に態度が変わるのはなぜ?」等、海外の人々からの声に日本人が耳を傾ける必要も大いにあると思います。 私の話が分かりづらかったとしたら、それは私が日本人だからかもしれません。午後3時という一日で一番居眠りしたい時間帯に参加してくれ、一人も寝ずに私の話を熱心に聞いてくださって、感謝します。ありがとうございます。 |
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