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調査研究プロジェクト 2005年度下半期

多国籍短期総合日本語シラバスの改善に向けた実態調査(その2)(報告書)

計画者 向井園子
プロジェクト参加者 木山登茂子、坪山由美子
外部協力者 なし
目的と概要 目的: 「多国籍短期総合日本語シラバス」の改善
概要:
(1) 背景:
多国籍短期総合日本語シラバス(以下「シラバス」)は、2002年に整備、公開され、その後検証作業が行なわれ報告が出された。その報告を踏まえて行なわれた昨年度の「多国籍短期総合日本語シラバスの今後の整備拡充に向けた実態調査」プロジェクトにおいて、昨年度の一部の授業ファイルの調査に基づいて授業で実践されたタスクと現行シラバス上のタスクの照合および分析を行ない、シラバス改善の方向性について提案を行なった。
(2) 目標:
「多国籍短期総合日本語シラバス」の改善に向けて
  1】 シラバスやその利用に関する専任講師の考えを探る。
  2】 各期に多国籍短期総合日本語授業で行なわれる教室活動の実態を探る。
(3) 方法:
本プロジェクトでは、以下の二件の調査を行なう。
  1】 専任講師を対象に、アンケートによる現行シラバスに対する意見聴取を行なう。
  2】 多国籍短期研修「総合日本語」授業において、1年間に行なわれる学習活動の実態をアンケートや授業日誌等の資料により調査し、結果の分析を行なう。
日程 開始 2005年11月〜終了 2006年10月
成果の概要
1.調査の概要
(1) 背景:
多国籍短期総合日本語シラバス(以下「シラバス」)は、2002年に整備、公開され、その後検証作業が行なわれ報告が出された。2004年度には、「多国籍短期総合日本語シラバス」の今後の整備拡充に向けた実態調査」として、多国籍短期研修総合日本語で行なわれた授業記録およびリソースをファイルした授業ファイルの一部を対象に調査を行なったが、その結果、利便性を高め、より充実したシラバスとするための更なる整備の必要性が明らかとなった。
(2) 目的:
本プロジェクトは、「多国籍短期総合日本語シラバス」の整備改善に向けて、以下を目的とする。
  1】 シラバスやその利用に関する専任講師の考えを探る。
  2】 1年間に多国籍短期総合日本語授業で行なわれる教室活動の実態を探る。
(3)

方法:
以下の二件の調査を行なう。

  1】 専任講師を対象に、アンケートによる現行シラバスに対する意見聴取を行なう。
  2】 多国籍短期研修「総合日本語」授業において、1年間に行なわれる学習活動の実態をアンケートや授業日誌等の資料により調査し、結果の分析を行なう。

2.講師アンケートについて
 

1】 対象 専任講師
2】 回収数 計17
3】 調査結果  資料1参照 PDF (14KB)

3.多国籍総合日本語授業日誌分析について
  1】 授業日誌
授業日誌は、本調査の対象となった05年度冬短期より改訂版を使用している。改訂内容は、シラバスとリソースの整備・拡張を視野に入れて、現行シラバスにはない以下を新たに追加したことである。
1)新たにサブトピックの欄を設ける。
2)授業活動のやり方に加え目標を記述する。
3)教材・リソースを記入する。(資料2参照) PDF (72KB)
 

2】

分析範囲
 

05年度冬短期

06年度春短期

06年度夏短期

トピック数

27

30

39

96※

※3研修の総トピック数は104であるが、回収された日誌は96トピックで全体の92%
  3】 分析方法
日誌内容に新たな項目を加え、データベース化する。(資料3参照) PDF (17KB)

データベース項目

 

研修名

日誌から転載

クラス

トピック

活動番号

サブトピック

活動

タスクレベル

4技能

教材・リソース

シラバスNO.

数字:完全一致、△数字:一部一致※

重なり判定

〇:(シラバスと)一致、△:一部一致、×:重なりなし

(重なり)なしの分類

シラバスと重ならない活動を6タイプに分類(詳細は下記4:を参照)

備考欄

シラバスと一致しない点を記述

インプット

リソース・テキスト

アウトプット

産出するもの


※日誌の「目標」または「活動」をシラバス上の「タスク」と読み替えて作業を行なった。この際、最低、新授業日誌の活動のタスクレベル、そこで中心となる技能が一致していれば、その他の活動内容が異なっていいてもシラバスに一部一致する活動とする。記載された活動の内容や方法、レベルの特定には、でき得る限りリソースにあたって判断した。
  4】 分析結果
総活動数:429
うち、シラバスのタスクと一致する活動は、188(43.82%)
シラバスのタスクと一部一致する活動は、80(18.65%)
シラバスにはない活動は、161(37.53%)

更に、シラバスにない活動の詳細を見ると、
  • 語彙、表現の活動(19)
  • 言語を意識化させる活動(7)
  • 非母語話者日本語教師が日本語指導をするときに行なうと思われる活動(6)
  • 特定のスキルを養成する活動:聴解(6)読解(3)話す(29)書く(7)翻訳(2) (計47)
  • IT利用の活動(5)
  • その他(写真を説明、インタビュー、スピーチ、詩を読む、ことば遊び、独り語り、非言語表現、川柳、エッセイを読むなど)(77)
4.まとめ
今回の調査結果から明らかになった点を以下にまとめる。
(1) 専任講師へのアンケート調査から確認できたこと
  1】 リソースは引き続き保存する。ただし、電子媒体での保存を検討する。
  2】 シラバスは特に上級のタスクを充実させる必要がある。
(2) 多国籍総合日本語授業日誌調査から確認できたこと
  3】 活動のうち「シラバスとの重なりがないもの」に関しては、今後シラバスへの補充の対象とすることを検討する。これらの活動は「シラバスのタスクと一致する活動」に比べ、相対的にレベルが高いことが判明し、このことから上記(1)- 2:の点が確認された。
  4】 「シラバスと一部重なりがある活動」に関しては、今後シラバスを整備していく上で、参考とすることができる。
  活動のレベルを確定するためには、「インプット」と「アウトプット」に関する情報が不可欠である。現行シラバスには「タスク」というかたちでしか記述がないが、今回データベースに加えた「インプット」「アウトプット」という視点を新たに加えることを検討する必要がある。これらの視点は、シラバスの利便性を高めるのみならず、授業担当者が意識的に活動のバラエティーを増やしたり、活動の偏りを避けたりすることに貢献するなど、授業準備のためにも役立つものと思われる。
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