パリ日本文化会館

ご挨拶 Vol.15

国際交流基金(ジャパンファウンデーション) パリ日本文化会館 館長 竹内佐和子

日本の皆様

パリより、新館長が任に就きましたことをご報告申し上げます。着任に際し、まず日本において大震災の復興のために全力を尽くしておられる方々に最大の敬意を表したいと思います。

3月11日のできごと以来、このことの重大性を今後の国際交流にどう生かすのか、ひたすら考えてまいりました。ニュースのなかで頻繁に使われた「想定外」という言葉を聞くたびに、自然の猛威のまえでうずくまる人間の小ささと限界を感じました。20世紀後半の経済の繁栄の裏で、将来の危機に対する判断基準が、いつのまにかあいまいになり、科学者と企業も、自分たちが負うべき責任範囲を狭めてきた愚かさをあらためて認識させられました。その犠牲のうえに、これからの復興があることを忘れてはならないでしょう。

一方でこのことを、単なる責任問題にしてはいけないのだろうと思います。今後直面する地球上の課題が、まさに新しい局面に入ろうとしていることを再認識しなければなりません。
いま世界中で、日本の震災の復興を願っている方々がいます。そのなかには、東北という地域の復興を願うと同時に、今回の未曾有のできごとから将来起こりうる危機にどう対処すべきか、どんな協力するかを真剣に考え始めている方がいます。

フランスにおいてもまた、日本以上に、この出来事への関心を持ち続け、そこから何らかの行動指針を引き出したいと思っている方々がいます。

その方々の期待に応えるため、大震災を日本の復興問題としてだけではなく、今後起こりうる地球規模の危機に対して、国際的なネットワークを構築して、人智を結集しておく努力をしたいと思います。震災は社会全体をゆるがす複雑な様相をもっています。食料問題や、エネルギーの開発、長期的な危機管理、支援の方法など、さまざまな角度から課題を設定しなおす必要があります。今後の国際交流や協力の可能性はそういった分野にも広がっていくと思います。

以下、今年度会館として推進したい事業方針を記しておきます。

  1. 開かれた会館へ *常設展示、リーダー達との対話、人的ネットワークの拡大
  2. 情報ネットワークの整備 *会館に足を運ばなくても日本の文化、産業情報にアクセス
  3. テーマ 環境、エネルギー、科学技術などに拡大

地域的にも、アフリカや中近東にまでネットワークの輪を広げていきたいと思います。
日本の文化の本質は、自然と人間の温かい関係を基礎において、経済と技術の発展を図ってきたことだろうと思います。そのことが将来にとってどのような意味を持ちえるのか、それを明確な論理で説明すべきときがきていると思います。

「頑張れ日本」のスローガンは、日本にとどまらず、世界にむけた情報発信につなげるべきです。そういった情報のやり取り、人と人の出会いの場が格段に高まるように会館としては精いっぱい努力するつもりです。皆さまのお越しをこころよりお待ちしております。



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