パリ日本文化会館
2000年上半期 /2000年下半期
【展示】  
2/22〜5/13 「平家物語展- 和紙彫塑が語る中世叙事詩」
 現代作家の和紙彫塑による日本の古典文学の立体的再構成という視点の斬新さと、集合体としての作品のもつ劇場性とそれを効果的に見せる空間構成、和紙そのものの持つ美しさと表現の可能性の豊かさ、そして何よりも「平家物語」という文学が有する思想的な深みと歴史としての内容の豊かさが、きわめて広い層の関心を集め、これまでで98年秋の「縄文展」に次ぐ来場者数を記録した。主要テレビやラジオもインタビューを組むなど、メディアがこぞって取り上げたことも効を奏した。加えて平曲(今井倹校勉)と筑前琵琶(田中旭泉)による琵琶のコンサートや松岡正剛氏ほかによる、平家物語に関するシンポジウムにより平家物語の魅力を多角的かつ学術的に紹介し、当地において関心の高い古典文学を総合的に紹介する良い機会となった。
平家物語展- 和紙彫塑が語る中世叙事詩 平家物語展- 和紙彫塑が語る中世叙事詩2 平家物語展- 和紙彫塑が語る中世叙事詩3
©MEYLAN olivier-Clément

6/20〜7/8 「ハート展」
 障害のある人の作った詩に、アーティストや各界の著名人がイラストをつけた、詩と絵画の展覧会。詩と絵画の組み合わせにより、こころを表現するというこの企画は、文学・言語・芸術に対する造詣の深いフランス国民にきわめて好意的に受け入れられた。とりわけ言語表現のエッセンスともいうべき詩と、すべてがオリジナル作品である絵画を組み合わせて見せるという企画趣旨は、社会的メッセ−ジという意味のみならず、芸術的価値を十分に認めさせるものであった。
【公演】

3/7〜9 「井上靖原作『猟銃』」
 井上靖の処女作「猟銃」のフランス人演出・配役による本格公演。前後移動式の大型格子2枚を中心に据えたフランス的舞台装置と、日本の小説をベースにしたフランス的な演出手法が「典型の中にも個性がある」劇場空間を再現し、3日間とも立ち見客が出るほどであった。
3/14〜15 コンサート「神保彰ドラムセッション」
 ソロパフォーマンス活動の他、熱帯 JAZZ楽団のメンバーとしても活躍中のドラマー神保彰によるドラムソロコンサート。多様な音が飛び出した最先端のドラム音響システム、神保氏の手先・足先の細微な動きをリアルタイムで投影した映写システム、フランス的センスで仕込まれたスポットライトの効果がうまく融合し、愛好家を中心とした若い世代で埋まった会場の雰囲気を大いに盛り上げた。 (公演時撮影:高橋隆史)
神保彰ドラムセッション 神保彰ドラムセッション2 神保彰ドラムセッション3
5/23〜27 コンサート「Jazz in Japan」
 5日間にわたって日本のジャズの現在を展開する会館初の試み。パーカッショニスト仙波清彦を中心にリズムパターンを駆使して打の真髄を披露するUNIT SEMBA、ヴァイオリニスト金子飛鳥を中心にアジア音楽を取り入れた軽快なリズムを展開するASKAUNIT、日本のウッドベースの第一人者・井野信義の世界、梅津和時のサックスと舞踏家岩下徹が織り成すコラボレーション、世界的ジャズピアニスト・山下洋輔とフランスの代表的ジャズドラマー・ダニエル=ユメールの共演。連日異なった5組のミュージシャンの参加を得て、その多彩な音楽性と圧倒的なエネルギーに溢れる日本の現代文化「ジャズ」の素晴らしさを伝える試みに、連夜アンコールを希望する観客の拍手が溢れかえり、舞台と客席が一体となった。(Photo : Patrick GARBOUS)
Jazz in Japan Jazz in Japan2 Jazz in Japan3 Jazz in Japan4
6/14〜16 コンサート「OKINAWA−唄と芸能の島の過去・現在・未来」
 三線・島唄に代表される伝統民謡からネーネーズによるリズミカルな現代民謡ポップスまでを効果的に組み合わせた音楽と、沖縄の代表的な民謡の豊かなメロディー、また随所で舞台を惹き立てた沖縄舞踊の華麗で力強い動きが沖縄の芸能に初めて接するフランス人観客にも好評であり、自発的に舞台に上って一緒にカチャーシーを踊る観客もいて、終始華やかで友好的な公演であった。 (Photo:Patrick GARBOUS)
OKINAWA−唄と芸能の島の過去・現在・未来1 OKINAWA−唄と芸能の島の過去・現在・未来2 OKINAWA−唄と芸能の島の過去・現在・未来3 OKINAWA−唄と芸能の島の過去・現在・未来4 OKINAWA−唄と芸能の島の過去・現在・未来5
【映画】  
1〜3月 「やくざ映画特集」
 「やくざ」をテーマに新旧の作品を取り上げた定期映画上映会。やくざ界の義理と人情を描いた60年代の代表作品『日本任侠伝』『博打打ち・総長賭博』から、社会悪としてのやくざの姿を時代状と合わせて描写した『チンピラ』『鬼火』まで、やくざ映画の戦後史とも言えるプログラム構成で3ヶ月間好評を博した。(写真提供:東映)
やくざ映画特集 やくざ映画特集2 やくざ映画特集3
  「宮本武蔵」
 中村錦之介、高倉健共演による内田叶夢監督の「宮本武蔵」5部作の一挙上映は、フランスで初の試みであり、宮本武蔵という人物の持つ思想的な深さが吉川英二作品の仏訳などによりすでにかなり知られていたこともあり、完成度の高い企画となった。
宮本武蔵 宮本武蔵2 宮本武蔵3
【講演・シンポジウム】
5/26 「日本酒セミナー」
 今回で3回目となる日本酒セミナーは、セミナーと試飲の会場を分けて行う形で実施し、双方ともに多数の来場者を得た。日本側主催者も回を重ね様々な工夫を凝らした企画が可能となり、当館の春の企画として定着してきた。
【その他】
3/25 「日仏スピーチコンテスト」
 フランスの大学・外国語学校などで日本語を学習する学生や高校生の日本語によるスピーチと、日本に関連する講座を開設しているグランゼコールなどの高等教育機関の学生、日本語を学習中の高校生のフランス語によるスピーチの決勝大会・授賞式が行われ、これまでで最大の入場者数を記録した。
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