アトゥール・ドディヤ展 木曜連続トーク

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ボンベイ:迷宮(ラビリンス)/実験室(ラボラトリー)
Bombay: labyrinth / laboratory



ドディヤ展の写真

木曜連続トークのご案内

インドの芸術とそれを取りまく現状をわかりやすく解説。ドディヤの作品をさまざまな視点から理解し、展覧会をより面白く鑑賞するための講座です。

第1回 7月5日  「インド現代美術―神話と救済」
建畠晢(多摩美術大学教授)  インドの文化は、しばしばロマンチックな思いもこめて、「大いなるカオス」と形容されてきた。現代美術もその例外ではないが、このレクチャーでは、主だったアーティストの作品をスライドで紹介しつつ、カオスの世界の背後にある、個々の緊張した問題意識を探ってみようと思う。そこには極めてプライヴェートな神話的効果に託された、同時代への鋭い批評性が見て取れるはずである。
第2回 7月12日 「異物としてのキッチュ:アトゥール・ドディヤについて」
林道郎(武蔵大学人文学部助教授)  「キッチュ」、アトゥール・ドディヤの作品を理解しようとする多くの人が最初に想起するのはこの言葉かもれない。さらにそこから人は、ポストモダニズムや、日本の現代美術との類縁性について考えをめぐらすかもしれない。しかし、彼の作品の「キッチュ」性は、洗練された軽みや戯れにおいて捉えられるものではない。その安っぽくもある毒々しさは、「イメージ」としての消費を拒み、どこか重苦しい異物としての咀嚼を我々に迫る。そして、彼の制作や発表を取り囲む社会的、政治的な情況を知るとき、その異物性は、思いがけない重みと攻撃性を帯びたものとして見えてくるだろう。私自身のインド行を辿りなおしながら、ドディヤの作品について話してみたい。
第3回 7月19日 「近代化のなかのインド美術」
小熊英二(慶應義塾大学総合政策学部教員)  美術というものは、近代化によって大きく変化する。「職人の技」が「作者のスタイル」に、「宗教的シンボル」が「自己表現」に、「権力者のパトロン」が「一般顧客」にと、社会の変化がそのまま美術というもののあり方の変化に反映する。そして、西洋からの影響と、在来の様式がぶつかりあい、新しい様式が生まれてゆく。そうした過程を、日本の近代美術との比較にも若干言及しながら述べて行きたい。
第4回 7月26日 「蛇使いから電脳まで~当世文学青年のインド英語文学」
関口真理(亜細亜大学非常勤講師)  英米の主要な文学賞を獲得し、ベストセラー・リストにならび、今や英文学の文壇を語るには欠かせない若いインド人作家たち。彼らはインドの都会に生まれ、幼い時から英語で学び、アメリカ映画やロックを享受して育った。インド文学の中では本流とはみなされてこなかったが、その作品は経済開放の中で増える都市の新しいミドルクラスや、変わりゆく伝統と価値観、国境を越えるインド人社会など、インドの現実の一面を描いている。
 アルンダティ・ロイ、ジュンパ・ラヒリー、チットラ・ディヴァカルニーなど、欧米経由で日本語訳も出るようになって、身近に手に取りやすくなったインド英語文学を、読書ガイドにもなるように紹介していきたい。

講師

建畠晢 (たてはた・あきら) 多摩美術大学教授
1947年京都市生まれ。早稲田大学文学部卒業後、国立国際美術館研究官(1976-91年)を経て現職。展覧会企画として、1990年、1993年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本コミッショナーのほか多くの国内外展に参画。アジア美術関係では、「アジアのモダニズム」展(1995年)、中国の「方力鈞」展(1996年)、「インド現代美術展」(1998年)などのキュレイターを務める。今年9月から開催される横浜トリエンナーレのアーティスティック・ディレクターのひとり。評論集『問いなき回答』(1998年)や詩集など多数の著作がある。
林 道郎(はやし・みちお) 武蔵大学人文学部助教授
1959年函館、北海道生まれ。1983年東京大学文学部美学美術史学科卒業。コロンビア大学大学院美術史学科修士課程を経て、1993年同大学博士号取得。1998年より現職。専門は、西洋美術史、美術批評。主な著作に「ロザリンド・クラウス:モダニズムを超えて」、「マイケル・フリード:批評と歴史」(共に「美術手帳」1996年)、「ポップ・アートの言説―その水脈」(セゾン美術館、ポップアート展カタログ、1998年)、翻訳に『現代美術は語る』(青土社、1997年)などがある。
小熊英二(おぐま・えいじ) 慶應義塾大学総合政策学部教員
1962年東京生まれ。1987年東京大学農学部卒業。出版社勤務を経て、1998年東京大学教養学部文化研究科学専攻修士課程、博士課程終了後、現職。著書に『単一民族神話の起源』(新曜社、1995年)、『<日本人>の境界』(新曜社、1998年)、『異文化理解の倫理に向けて』(共著、名古屋大学出版会、2000年)、『インド日記―牛とコンピュータの国から』(新曜社、2000年)などがある。
関口 真理(せきぐち まり)亜細亜大学非常勤講師
1962年横浜生まれ。立教大学卒業。専門は南アジア近現代史。月刊ニュースレター「インド通信」の編集も手がけ、一、マスコミ等への南アジア情報の仲介も行なう。共著に「インドがやがや通信」、「ワールド・カルチャーガイド:インド」(以上トラベルジャーナル)、「移民から市民へ」(東京大学出版会)。一般、マスコミ等へのhttp://village.infoweb.ne.jp/~mariamma/(マリアンマのWebサイト)ではインド英語文学関係のエッセイを含むインド、南アジア諸情報を発信している。

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