「樹海より」フィリピン/日本 趣旨

From the Sea of Trees Philippines/Japan
平成13年度「樹海より」フィリピン/日本・開催要項

  • 北神戸田園スポーツ公園におけるインスタレーションの画像
    二名良日
    2001年、北神戸田園スポーツ公園における
    インスタレーション
  • ヒカリノモリ-ウサギハート-の画像
    北尾博史
    《ヒカリノモリ-ウサギハート-》
    2001年、銅・鉄、18.0×14.0×10.0cm

 本展はフィリピンのマニラ、日本の関西地方をそれぞれ活動拠点とする、現代アーティストによる展覧会です。
 「樹海」……鬱蒼とした木々が生い茂る、豊かな自然をイメージさせるとともに、計り知れない奥深さをも感じさせる言葉です。日本、フィリピンの両国にとって、森は古来よりスピリチュアルな場所でした。人々はそこから生活の糧を得、畏敬の念を抱いてきました。一方、都市化、近代化の波に呑まれる現代人にとって、森林はそうしたリアリティを急速に失いつつあるかのように思われます。
 ところが一見静的にみえる植生も、現代社会の激しい変転を、実は極めて鋭敏に反映しています。フィリピンなど東南アジア原産の植物が、日本古来の種を駆逐するなど、実際には絶え間なく流動しているのです。大量製産される人工物は、多くの場合、環境破壊につながる一方で、ある種にとってはコンクリート壁で区切られた殺伐とした空間が温床となり、排気ガスや騒音が子守歌となる場合さえあります。人工と自然、それは決して単なる二項対立ではないのです。
 植生の伝播と越境は、インターネットの爆発的な普及による、コミュニケーションの変貌とも無縁ではありません。情報の量的、質的変化により、従来は確固とした壁のような存在感を持っていた各種の枠組みが半透膜化し、情報はそこかしこから染み出して、互いに緩やかに浸透しあいながら広がってゆきます。壁や枠組みと対峙することで個が逆照射されるようなあり方よりも、よりナチュラルに越境し、境界を無効にするような状態。個を保持しながらもより大きな世界とのつながりを予感させるあり方は、本来極めてアジア的なものなのではないでしょうか。
 こうした視点にたち、作家、作品の状態から展覧会のセッティングに至るまで、本展では様々な次元で互いに何かが浸透し、フレキシブルに交感しあうようなイメージをベースに置いています。2002年2月にマニラで開催される「クラフティング・エコノミーズ」展と本展は互いにその一部を共有し、交換するとともに、ふたつの展覧会は同年冬に東京で開催される「アンダー・コンストラクション」展の一細胞となるものでもあります。

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