サンパウロ・ビエンナーレ 24回 4.各部門の概要

パウロ・ヘルケンホフ氏の総合キュレーションのもとで1998年10月4日から12月13日にかけて開催される第24回サンパウロ・ビエンナーレは、「歴史(Nucleo Historico)」、「道筋 (Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros.)」、「国別参加」の3つの部門に分かれた構成となります。

今回のサンパウロ・ビエンナーレには、全体的なテーマはなく、むしろ「密度」("epaisseur"; J.F. Lyotard, Discours Figure, 1974 を参照)をパラダイム的なコンセプトとして提示しています。これは、対象の表現と思考の表現における複雑性と簡潔性の両方に関係しています。この展覧会の全部門でキュレーターたちが頼るべき「道具」というのが、この「密度」です。「密度」というコンセプトは、第24回サンパウロ・ビエンナーレでは、少なくとも3つの基本的レベルにおいて、すなわち、「展示作品」・「キュレーション」・「ビエンナーレと社会の関係」において適用できるでしょう。

歴史 (Nucleo Hsitorico)

第24回サンパウロ・ビエンナーレの「歴史」部門の焦点はブラジル文化の歴史における、ある特定の契機の追求から出発しています。この契機というのは、アントロポファギア(Antropofagia)、すなわち「人肉食いの習慣」のことです。

近代主義のプロセスで、ブラジルのアイデンティティの輪郭を捉えようとする芸術家や作家たちが、形成期文化(アフリカ、原住民インディオ、及びポルトガルの文化)のなかに、自らの価値を構築するために「他」の価値を摂取するという習慣-「人肉食い」の習慣-を育んだ文化があったと結論づけたのです。

オズワルド・デ・アンドラーデの「アントロポファギア宣言」(1928)では、ブラジルのアイデンティティの形成における他の諸文化の吸収・混合のプロセスとしてアントロポファギアがあった、と宣言しています。そうであれば、アントロポファギアはまた、今なお一般に行なわれている文化慣習のモデルにもなります。

そのコンセプトは開放的・動態的であって、しかも非マニ教的・脱構成主義的・文化横断的・帰属主義的といった多様な面をもつといえます。アメリカにおけるミニマリズムのように、ブラジルにおいて、アントロポファギアには文化の諸相を網羅する幅があります。ブラジル文化にとって、それはヨーロッパ中心の美術史観に挑み、超克するような、各地域の美術史を横断するコンセプトです。

「密度」とアントロポファギアを出発点として、第24回サンパウロ・ビエンナーレの歴史部門は、芸術、神話、政治、精神分析、文化史、批評のみならずモンテーニュ、ジェリコー、ブルース・ナウマン、ヘリオ・オイチシカ等をも明確に表現するアントロポファギアの歴史を企画しています。

道筋 (Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros. Roteiros.)

世界の約50名の現代アーティスト達を目玉とするこの部門のタイトルは、オズワルド・デ・アンドラーデの「アントロポファギア宣言」から借用しました。「宣言」のなかで、Roteiros(道筋)という単語が7回も繰り返されています。ここでは7つの地域から9名のキュレーター(ふたり一組の場合あり)がアーティスト達を選びます。

7つの地域とは(カッコ内はキューレター)すなわち、アフリカ(ロマ・フェルグソン)、アジア(アピナン・ポーサヤーナン)、カナダ・米国(アイヴォ・メスクイタ)、ヨーロッパ(バート・デ・バエレ、マーレッタ・ジャウックリ)、中東(アミ・スタイニッツ、ヴァシフ・コルツン)、中南米(リナ・カルヴァジャル)、オセアニア(ルイス・ネリ)です。キュレーター全員が、「宣言」とアントロポファギアのコンセプトに応え共鳴しようとするでしょう。

個々のプロジェクトは、それぞれキュレーションとコンセプトの一致を維持し、展示を通して明快に語ることで、いくつかの地域のあいだで、対応・類似・対話・衝突・摩擦といったものが提供され強調されることになり、そのため、この部門全体が地球的規模で統一されるでしょう。

この部門におけるキュレーションのプロセスの奮闘ぶりがきわだって特徴的な点ですが、このことは、インターナショナルな委員会によって企画されるグループ展ということではありません。このプロセスにおいて、展示構成だけでなく「歴史」部門に伴う出版物にも慎重な考慮をはらっています。

すなわち、この出版物をこの展覧会の(カタログというよりはむしろ)書籍の形態の展覧会場と考え、各プロジェクトの関連資料(写真などのイメージ、文章)や企画段階のディスカッションの記録を盛り込む予定です。

国別参加

この部門では、各国の関係機関にコミッショナーを任命してもらい、そのコミッショナーが第 24回サンパウロ・ビエンナーレの展覧会に参加するアーティストを1名選びます。

この部門はビエンナーレで最も伝統のある部門で、第1回からずっと続いています。今年はサンパウロ・ビエンナーレ財団が、正式の代表を選択する前に、すべての参加国と徹底した対話が築けるよう努力いたします。

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