ミャンマー(2014年度)

日本語教育 国・地域別情報

2012年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 学校教育
以外
合計
44 194 0 0 947 2,350 3,297
0.0% 0.0% 28.7% 71.3% 100%

2012年度日本語教育機関調査結果 学習者数グラフ
2012年度日本語教育機関調査結果の学習者数に関する帯グラフ。初等教育は0名で全体の0%、中等教育は0名で全体の0%、高等教育は947名で全体の28.7%、学校教育以外は2,350名で全体の71.3%。

(注) 2012年度日本語教育機関調査は、2012年7月~2013年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 学校教育としての日本語教育は、1964年の国立外国語学院(Institute of Foreign Languages:IFL)創設時に日本語学科が設置されたことから始まる。国立外国語学院は1996年にヤンゴン外国語大学(Yangon University of Foreign Languages:YUFL)に改組され、1997年12月にはミャンマー第2の都市マンダレーにマンダレー外国語大学(Mandalay University of Foreign Languages:MUFL)が創設された。ミャンマーで学校教育としての日本語教育が行われているのは、この2校のみである。両大学とも当初は、専門課程のみだったが、1999年に学士コースが設置されて今日に至っている。また、2009年にはヤンゴン外国語大学に、2012年にはマンダレー外国語大学に修士課程が設置された。
 学校教育以外での日本語教育は、ミャンマー人が日本語を教授する日本語教育機関に始まり、1980年代後半になると日本人ボランティアによる日本語教室がヤンゴン市内の僧院で開かれるようになった。1990年代中頃には、ミャンマー人による教育機関がヤンゴンを中心に増加しはじめ、日本人による民間の教育機関も設立された。2013年7月現在、ミャンマー全国で57校の民間の教育機関が日本語教育を行っていることが確認されている。また、マンダレーでは日本のNGOによる日本語教室が開設されている。その他、今日では、ヤンゴン外国語大学やマンダレー外国語大学からの卒業生や訪日経験者などが小規模な学習塾を開いたり、または家庭教師として日本語教育を行ったりしているケースもある。
 日本語能力試験は1999年12月以来実施されており、2013年の受験者数は3,000名を超えた。

背景

 第二次世界大戦前からの長い日本との関わりから、ミャンマーは日本文化に高い関心を持つ親日国である。高齢者の中には日本語を解する者もあり、若年層でも日本にあこがれを抱く者が多い。
 一方、1990年代後半以降の日系企業進出や日本人観光客の増加により、日本語を使用する就業の機会が増加したが一時的なものであった。2011年の民主化以降、日系企業の進出や、日本人訪問客の増加に伴い、日本語を使用する就業機会も増加しつつある。

特徴

 初等・中等教育機関には日本語の授業はないため、若年層の日本語学習者は少なく、高等教育機関入学後、あるいは学校教育終了後に日本語学習を開始する者が多い。
 2000年代以降、ミャンマーでの日本語学習熱は高い傾向を維持しており、外国語大学、民間の教育機関、無料で学べる僧院など、さまざまな機関で多くのミャンマー人が日本語を学んでいる。日本語学習の主な目的は、就労や留学であるが、日本へのあこがれやファッション的要素があることも考えられる。

最新動向

 1999年12月以来、日本語能力試験が実施されており、近年は申し込み・受験者が3,000名程度の規模で推移している。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。外国語教育は英語のみである。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。外国語教育は英語のみである。

高等教育

 ヤンゴン外国語大学とマンダレー外国語大学に学部レベルの日本語学科と大学院修士課程が設置されている。外国語大学の日本語学科は、英語学科と並んで人気が高く、医科大学、工科大学、歯科大学に次いで入学に際して高い得点が必要とされている。
 両外国語大学には、専門課程(ディプロマ、学位は授与されないが修了証書が授与される)、夜間部、学部、修士の4コースが設置されている。専門課程は大卒以上対象で講義は午前7時~8時40分のみで、修了期間4年であり、働きながら通学する者も多い。夜間部は高卒以上対象で、3か月1タームで初級Ⅰ・Ⅱ、中級Ⅰ・Ⅱ、上級Ⅰ・Ⅱの6レベルが設けられている。学士取得以上で夜間部の全レベルを修了すれば専門課程3年に編入できるが実際に編入するケースは少ない。学部は全日課程で修了期間3年である。なお、2009年にヤンゴン外国語大学に、2012年にマンダレー外国語大学に同大学の教員のみを対象として修了期間2年の大学院修士課程が設置された。
 2013年12月末現在の在籍者は、ヤンゴン外国語大学では、専門課程120名、夜間部375名、学部225名、大学院11名の計731名が在籍している。マンダレー外国語大学では、専門課程20名、夜間部25名、学部250名、大学院6名の計301名。

学校教育以外

 学校教育以外の日本語教育機関は、57機関(うち、ヤンゴン50機関、マンダレー7機関)が確認されている(2013年7月現在)。バゴー管区バゴー市、タウングー市、マンダレー管区ピンウールイン市、ザガイン管区モンユワ市、カヤー州ロイコーなどの地方都市にも民間の日本語教育機関がある。また、僧院、小規模な学習塾や家庭教師が日本語教育を行っている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 基礎教育課程は5-4-2年制。初等教育として小学校が5年間(5~10歳)、前期中等教育が4年間(10~14歳)、後期中等教育が2年間(14~16歳)の計11年である。前期初等教育として幼児教育(1年間)もある。義務教育制度はない。
 公的高等教育機関としては短期大学、大学、大学院が設置されており、教育機関数は2011年9月時点で165機関に上る。在学期間は、短期大学が2年、大学は学部により異なり3~6年である。

教育行政

 教育省の管轄下にある。専門性の高い一部の高等教育機関については、関連する各省が管轄している。たとえば文化芸術大学は文化省、医学大学は保健省、など。

言語事情

 ミャンマー語(チベット・ミャンマー語族系)が公用語である。
 その他、少数民族の間ではそれぞれの言語が使用されている(ミャンマー政府の発表によれば、ミャンマーには135以上の民族がある)。中国系・インド系住民の間では、それぞれ中国語ならびにインド系諸語も使用されている。国境沿いの一部の地域では、初等・中等教育が地元の少数民族言語を中心に行われている場合もある。

外国語教育

 初等・中等教育における外国語教育は、国境地域の一部を除き、英語以外認められていない。
 高等教育においては、英語以外の外国語を履修できるのはヤンゴン外国語大学とマンダレー外国語大学のみであり、外国語専攻の学生以外、英語以外の外国語は正規科目として履修科目に含まれない。
 ヤンゴン外国語大学とマンダレー外国語大学では、日本語のほかに、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、ロシア語、タイ語(タイ語はヤンゴン外国語大学のみ)も教えられている。

外国語の中での日本語の人気

 外国語大学の入学の難易度は、以前は英語、中国語、日本語の順番であったが、2012年に日本語が中国語を上回った。2011年の民主化以降、日系企業の進出や、日本人訪問客の増加により、日本語学習熱が高まりつつある。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 ヤンゴン外国語大学及びマンダレー外国語大学において、以下の教材が使用されている。

1.専門課程
  • 『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)
  • 『毎日のききとり』(初級)(中級)宮城幸枝ほか(凡人社)
  • 『たのしく聞こう』文化外国語専門学校(凡人社)
  • 『ニュースで学ぶ日本語』堀歌子ほか(凡人社)
  • 『中級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)ほか
2.夜間部
  • 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
  • 『中級日本語』(前出)
  • 『自然な日本語 中級用会話教材』桜井晴美(凡人社)
  • 『日本語中級Ⅰ』国際交流基金日本語国際センター(凡人社) ほか
3.学部
  • 『初級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)
  • 『毎日のききとり』(前出)
  • 『日本語かな入門』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)
  • 『日本語読解入門』富岡純子(アルク)
  • 『たのしく聞こう』(前出)
  • 『中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)
  • 『中級日本語』(前出)
  • 『実例で学ぶ 日本語新聞の読み方』小笠原信之(専門教育出版社)
  • 『ニュースで学ぶ日本語』(前出)
  • 『テーマ別上級で学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)
  • 『外国人のための新聞の見方・読み方』KIT教材開発グループ(凡人社)

学校教育以外

 民間の日本語教育機関においては、『新日本語の基礎』、『新日本語の中級』ともに海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)、『みんなの日本語初級Ⅰ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)などが使用されている。『新日本語の基礎』には別冊としてミャンマー語版の解説書もあるためか、ミャンマーの日本語学習者に親しみやすいものになっている。また、各教育機関のオリジナル教材を使用している学校もある。

マルチメディア・コンピューター

 ヤンゴン外国語大学及びマンダレー外国語大学では、LL機材を利用した日本語教育が行われている。いずれの大学も、日本国政府から援助を受けたLL機材を使用している。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 2校ある外国語大学の正規教員の採用条件は、「日本語学科を優秀な成績で修了したミャンマー国民であること」とされている。
 外国語大学の日本人ボランティアの日本語教師の受け入れに関しては、資格要件や採用枠は決められていないが、個別の申請に対してその都度、教育省等関係政府機関との協議の上判断されている。
 ヤンゴン外国語大学日本語学科には、2013年12月から国際交流基金の日本語専門家が派遣されている。

学校教育以外

 民間の教育機関では、各々が定める資格要件によるが、ミャンマー人が運営している教育機関では資格要件は特に定められていない。
 日系の民間教育機関では、日本国内で行う研修の修了者のみを教員として派遣しているところもあるが、公的資格を必要としてはいない。それらの機関では日本語で日本語を教える、いわゆる直接法を採用している。ミャンマー語を解することを資格要件にされた上で勤務している日本人日本語教師はごく少数である。

日本語教師養成機関(プログラム)

 広く一般を対象とした教師養成プログラムは現在のところ存在しない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 大手の民間教育機関の中にはネイティブ教師を採用するところも出始めている。また、日本人経営であったり、日本の日本語学校の姉妹校であったりする機関も増えつつあり、ネイティブ教師の数も増加傾向にある。機関によってその役割はまちまちであるが、文法を教えるミャンマー人教員と協力し、主に会話を担当するケースが多く見られる。

教師研修

 2校ある外国語大学では、修士課程で学部の教員の教育を行っている。また、2007年以降、国際交流基金バンコク日本文化センターが日本語教育専門家出張指導により「日本語教師セミナー」を実施してきた。
 なお、国際交流基金の訪日研修プログラムには外国語大学の教員が毎年、数名参加している。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係者による教師会のようなものは存在しない。大手民間学校が中心となり連絡会形成に向けた動きがあるが、設立には至っていない。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣(2014年6月現在)

日本語上級専門家

 ヤンゴン外国語大学 1名

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 1990年代より、日本の国際親善文化交流協会よりヤンゴン外国語大学に対し、ボランティアの日本語講師が1名派遣されている。この数年間派遣が滞っていたものの、2014年2月より派遣が再開されている。
 マンダレーYMCAは「HITO(人)センター」を設立して日本語教育を行っており、日本のNGO団体「Net Work HITO」より常時2名程度の日本人教師が派遣されている。そのほか、民間ベースでボランティア教員の派遣を行っている機関も存在するが、数は多くはない。

日本語教育略史

1964年 国立外国語学院(Institute of Foreign Language : IFL)に日本語学科設立
1980年代後半 ヤンゴン市内の僧院で日本人ボランティアによる日本語教育開始
1990年代中頃 ヤンゴン市内にミャンマー人による日本語教育機関が増加
日本人による民間教育機関設立
1996年 国立外国語学院がヤンゴン外国語大学(Yangon University of Foreign Language : YUFL)に改組
1999年 ヤンゴン外国語大学に学士コース設置
マンダレー外国語大学(Mandalay University of Foreign Languages : MUFL)に学士コース設置
2009年 ヤンゴン外国語大学に修士課程設置
2012年 マンダレー外国語大学に修士課程設置

参考文献一覧

ページトップへ戻る