マダガスカル(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
15 28 1,537
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 78 5.1%
中等教育 194 12.6%
高等教育 1,064 69.2%
その他 教育機関 201 13.1%
合計 1,537 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 マダガスカルにおける日本語教育は、1968年に発足した日本・マダガスカル友好協会の取り組みを発端とし、1992年には、国立アンタナナリボ大学文学部が選択科目として日本語教育を導入した。以降、特に私立の語学学校を中心に相次いで創設されたことから、2011年1月にマダガスカル日本語教師会が設立された。2016年現在では首都アンタナナリボ市を中心に公立・私立含め計25の機関が存在し、日本語学習者は1,500名を超えている。これまで日本語学習能力を評価する指標がなかったが、2013年12月に日本語能力試験(JLPT)が開始されて以降毎年実施され、2016年12月に4回目となる試験が実施された。

背景

 マダガスカルは、人種的・文化的にアジア諸国と近似する点が多いこともあり、日本人及び日本文化に対する関心はアフリカ諸国の中でも比較的高い。また、日本の対マダガスカル経済協力、広報文化活動が高く評価されていることから、同国民が抱く日本への期待や日本留学等の憧れも強い上、マンガ・アニメを中心とする日本のポップカルチャーの世界的普及も相まって、日本語学習が盛んになってきている。

特徴

 全体として学習者数は増加傾向にあり、特に私立の語学学校において日本語講座を新規開設する動きが目立ってきている。なお、日本のポップカルチャーや和食、伝統文化に対する興味から日本語学習に関心を持ち始める青少年が増えてきており、日本語教育レベルとしては初級・中級のコースが多い。しかし、すべての学校においてマダガスカル人教師による日本語教育が施されており、教師の日本語レベルの向上が必要なこと、日本語習得後の将来的展望が不透明なことから、日本人の日本語専門家派遣が求められている。

最新動向

 当地の日本語学習者数はケニアを抜いてアフリカ第一位となり、2016年8月には第4回東アフリカ日本語教育会議が当地で初めて実施され、ケニア、スーダン、タンザニアからも日本語教師が参加し日本から地理的に遠い東アフリカの諸国が共通して直面する課題について解決策を協議し合った。2017年にも第5回会議の当地での開催が決定されている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 公立ナニサナ高校、公立アンペルフィア高校、ジュールフェリー高校(3校とも首都アンタナナリボ市)で日本語教育が行われている。

高等教育

 国立アンタナナリボ大学、国立アンタナナリボ高等技術学院、他私立3校の計5校(首都アンタナナリボ市:54校、地方都市アンチラベ市:1校)で日本語教育が行われている。

その他教育機関

 語学学校:首都アンタナナリボ市内17校(うち10校はマダガスカル日本語教師会に所属)において主に会話を中心とする日本語教育が行われている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 5-4-3制。
 小学校が5年間(6~10歳)、前期中等教育機関のコレージュが4年間(11~14歳)、後期中等教育機関のリセが3年間(15~17歳)。高等教育機関としては、大学が3~7年間。

教育行政

 初等教育、中等教育は国民教育省の管轄下にある一方、高等教育は高等教育省の管轄下にある。

言語事情

 マダガスカル語及びフランス語が公用語である。
 2007年憲法改正により、英語が公用語に加えられたが、これまでのところ一般国民に浸透しているとは言えない。

外国語教育

 第二外国語として中学校で英語、高校で英語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語を開講している。日本語は高校の第二外国語として正規の授業に導入する方向で準備中。

外国語の中での日本語の人気

 第二外国語としては英語が主流であるが、一部の大学等高等教育機関では英語よりも人気が高い。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 基本的に教師の自作教材と国際交流基金より提供された教材を使用。

高等教育

 日本で出版された教材並びに教師の自作教材と国際交流基金より提供された教材を使用。

初級:
  • 『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)
  • 『日本語で話そう』高柳和子ほか(英語教育協議会)
  • JAPANESE FOR YOUNG PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社USA
中・上級:
  • 『日本語中級』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)

その他教育機関

 基本的に教師の自作教材と国際交流基金より提供された教材を使用。

初・中級:
  • 『日本語初歩』(前出)
  • 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
  • AN INTEGRATED APPROACH TO INTERMEDIATE JAPANESE』三浦 昭他(ジャパンタイムズ)
  • 『日本語90日』ヒューマンアカデミー教材開発室ほか(ユニコム)

マルチメディア・コンピューター

 マダガスカルの教育機関にはコンピューター等の機材が非常に少ないことから、2010年、在マダガスカル日本国大使館の支援でアンタナナリボ高等技術学院にLL教室が整備され、パソコンを用いた日本語学習が行われている。

教師

資格要件

初等教育

 特になし。

中等教育

 教師は国際交流基金主催の短期研修に参加し、訪日経験がある。

高等教育

 学士号(専門不問)が必要とされる。日本語学修士号を有する教師は1名のみであるが、一部の教師は国際交流基金主催の短期、長期研修等に参加し、訪日経験がある。

その他教育機関

 後期中等教育(高校)を修了したバカロレア(大学入学資格)取得者。日本語学習歴3年以上。一部の教師は国際交流基金主催の短期研修等に参加し、訪日経験がある。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を目的とした教育機関、学習プログラムは存在しないがマダガスカル日本語教師会が同目的のための勉強会を週1回開催している。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 2015年11月からJICAボランティア一名がアンタナナリボ大学日本語コースに派遣され、1週間に8コマ(1コマ2時間、日本語コース1年生へ8コマ、2年生選択科目1コマ、国費留学志望クラス1コマ)、計20時間の授業をしている。

教師研修

 マダガスカル日本語教師会で実施。特に優秀なマダガスカル人日本語教師は国際交流基金主催の短期研修等に応募し参加している。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2011年1月、日本語教育関係者によるマダガスカル日本語教師会を設立。2012年より東アフリカ日本語教育会議に毎年参加している。上記の通り、2016年に第4回会議を当地で開催。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

青年海外協力隊

 アンタナナリボ大学 1名

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 初級、中級、上級に分かれたガイドラインを各学校が作成している。
  初級:日常生活に必要な語彙と、日本語の基礎を学習
  中級:作文、読解、漢字の習得、日本語スピーチコンテスト初級への参加
  上級:中級レベルの文章の読解、日本語による説明への理解、日本語スピーチコンテスト上級への参加

評価・試験

 マダガスカルの教育機関における日本語科目は、基本的に自由選択科目であり、学期ごとの試験をパスした者には単位が与えられる。また、試験は初級・中級・上級の3種類ある。

日本語教育略史

1970年代 日本・マダガスカル友好協会により日本語教育開始
1992年 アンナナリボ大学文学部にて日本語教育(選択科目)導入
2011年 マダガスカル日本語教師会 設立
2013年 日本語能力試験(JLPT)新規実施
2015年11月 JICAボランティアがアンタナナリボ大学へ派遣
2016年2月 日本大使館草の根文化無償資金協力によりアンタナナリボ大学に日本語教育専用の視聴覚(LL)教室をアンタナナリボ大学に建設
2016年3月 アンタナナリボ大学文学部英語学科の中に日本語コース設立
2016年9月 住友商事よりアンタナナリボ大学日本語コースの学生への奨学金制度開始

参考文献一覧

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