ジャマイカ(2017年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
3 6 127
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 117 92.1%
その他 教育機関 10 7.9%
合計 127 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 ジャマイカにおける日本語教育は、1992年から民間の語学学校にて開始された。その後青年海外協力隊員の派遣と共に、1996年より西インド諸島大学、2001年よりジャマイカ工科大学にて日本語講座が開設された。 特に西インド諸島大学における日本語講座は3年間で初級~中級の日本語を習得できる講座として発展し、2014年には日本語が副専攻として認められるようになった。

背景

 日本語は、高等教育機関において履修科目のひとつとなっており、スペイン語、フランス語に続く第三外国語として位置づけられる。ジャマイカの自動車市場では日本車が9割を占めるほか、各種日本ブランド製品が代理店やその他ルートを通じて普及しており、以前から日本は一部知られていた。そこに日本のレゲエ音楽人気をきっかけとして多くのジャマイカ人関係者が訪日しており、またより近年ではアニメを通した日本文化への関心の高まりから、日本語は学習者数の多い外国語の1つとなっている。これに加え、JETプログラムや文部科学省による奨学金留学を目指すため、日本語学習への関心は増加している。

特徴

 ジャマイカには、西インド諸島地域に3校ある西インド諸島大学(University of the West Indies)のうち中心的役割を持つモナ校がある。同校へは、カリブ海域を中心とする世界各地から教員及び学生が集まっており、域内の将来を担う一大拠点でもある。また同校は、カリブ地域では数少ない域外へ開いた重要な教育拠点でもあり、そうした観点からも外国語教育が推進され、日本語も外国語科目として同校の学生が選択、履修できるようになっている。2014年より日本語は、日本史を合わせて受講することで副専攻科目として認可されるようになった。ジャマイカ工科大学(University of Technology, Jamaica)教育教養学部でも日本語講座が設置されており、同校の学生が履修科目のひとつとして初級の日本語を学習している。

最新動向

 特になし。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 西インド諸島大学人文教育学部外国語・文学学科の日本語講座において、全学年(1~3年生)を対象に初級~中級レベルの日本語教育が行われている。日本語学習者は学期ごとの登録制であり、年間延べ240名程である。2014年より日本語が副専攻科目として認可された。2013年に獨協大学との交換留学制度が整備され、2016年と2017年にそれぞれに1名ずつ獨協大学へ留学、また2017年には獨協大学から2名の日本人留学生を受け入れている。また、2015年には上智大学と学術協定が締結され、2016年、2017年と続けて1月に西インド諸島大学モナ校から2名ずつ学生が短期留学プログラムに参加している。
 ジャマイカ工科大学では、全学部対象の選択コース(1学期のみ)として、初級の日本語教育が行われている。(2008年9月より観光経営学科に選択コース(2年間)の1コースが開設されたものの、2012年に全学部対象のものと統合された。)また、2010年1月からは2年目コースが施行された(1年目に初級前半、2年目に初級後半レベルの内容を学習する)。2014年より1年生コース、2年生コースはなくなり選択科目のみが実施されている。日本語学習者は年間延べ45名程度である。
 日本語学習者の中には、日本が実施・招聘しているJETプログラム及び民間のプログラムを通して日本で外国語指導助手として働くことを希望する者も多い。

その他教育機関

 民間の語学学校1校(Language Trainning Centre)及び当地日本語講師による自宅でのレッスンで、日本語教育が行われている。訪日目的の学習者が多く、社会人も多いことから、短期で基礎会話が出来るようなカリキュラムが取り入れられている。学期ごとの登録制(3~4学期制)になっており、夏季補習クラスや目的に応じた特別コースなどを含めると年間述べ65名程度が学習していることになる。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-5制。
 初等教育が6年間(6~12歳)、中等教育が5年間(13~17歳)、その後、シックスフォーム(2年間)を経て高等教育に進む場合と、すぐに高等教育に進む場合がある。初等教育修了前に、習熟度を計る全国共通試験(GSAT)を受験し、その成績に応じて中等教育機関に進学する。GSATさえ受ければ中等教育機関へ進学できるため、初等教育機関へは通わず家庭教育を受ける者も珍しくない。
 義務教育は初等教育(6年間)と中等教育(5年間)の計11年間。

教育行政

 教育は主に政府(教育・青年・情報省)の管轄下にあり、民間の教育機関の参加は非常に限られているのが特徴である。

言語事情

 公用語は英語。
 その他、日常会話には英語、スペイン語、アフリカ系言語等多様な言語が原住民の言語と混交することによって生まれたパトワ語(Patois)が日常的に使用されている。

外国語教育

 中等教育前半の3年の間、外国語教育の履修が義務づけられており、スペイン語が圧倒的に多く教えられている。一部の機関では、フランス語、次いでドイツ語も教えられており、生徒が選択できるようになっている。
初等教育では外国語教育は必修ではないが、近年外国語教育を取り入れている学校が増えている。
 高等教育機関では、第一、第二外国語の履修が義務づけられている学部があり、西インド諸島大学では日本語も履修科目のひとつとして受講できる。
 なお、2008年にジャマイカ教育省主導で編纂された6年生用の社会科の教科書ではアジア諸国の代表として日本を紹介するページが27ページあり、その中で日本語が紹介されている。

外国語の中での日本語の人気

 スペイン語やフランス語など欧米圏の言語の人気が高いが、アジア圏の言語の中では、アニメやマンガの人気を背景に、日本語の人気も高い。その一方、西インド諸島大学に孔子学院が設立されたこと(2009年)や、日本でいうJETプログラムのような、中国での英語教授プログラムの募集開始(2013年)などもあり、中国語の人気も急速に高まっている。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 西インド諸島大学の日本語講座では、「テーマで学ぶ基礎日本語」西口光一(くろしお出版)をテキストとして使用している。一般にジャマイカでは日本語学習のためのテキストなどを入手することは困難であり、入手できても送料によりテキスト販売額が高額になるため、同校では学生が図書館から貸し出しをするか、日本語講座の講師があらかじめ日本で購入しておいた語用テキストや辞書などを学生に直接販売する形をとっている。また、同校では文化無償支援により2012年に9月にリニューアルされたNippon Roomを使い、視聴覚の授業にも力を入れている。
 ジャマイカ工科大学では、一学期のみの選択コースで学習時間が35時間と限られているため、短い学習時間に合わせた講師自作のハンドアウトを使用している。
 両大学ともに、過去に国際交流基金から教材の寄贈を受けている。

その他教育機関

 レベルに応じ、講師自作のテキスト『楽しい日本語』(2013年度改訂『たのしい日本語準備体操Part1、2』を使用。その他、『J-Bridge』小山悟(凡人社)、『新しい「日本語能力試験」ガイドブック概要版と問題例集』国際交流基金(凡人社)、『げんき』(ジャパンタイムズ)から抜粋して制作した問題集を補助教材として使用している。また予習・復習用として講師が学習者の自主学習のためのウェブサイトやCDを作成し、授業の補足を行なっている。

マルチメディア・コンピューター

 日本語の授業でマルチメディア・コンピューターは使用されていない。学習者が宿題や課題のため、もしくは自習用としてインターネットにアクセスして使用する程度である。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 特に定められていないが、日本語を母語としない場合には、日本語能力試験N2程度の日本語能力が求められている。西インド諸島大学では2015年に初めてジャマイカ人日本語講師が正規採用され、2017年現在、国内唯一のジャマイカ人日本語講師となっている。また、ジャマイカ工科大学でも、観光経営学科の選択コース(2年間・中級)(2008年9月より開講)の開設に伴い、ジャマイカ人日本語教師が正規採用されていた時期もあった(2014年7月まで)。

その他教育機関

 特に定められていない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 西インド諸島大学の日本語講座やジャマイカ工科大学および民間の語学学校の日本語講座などに、計3名の日本人の日本語教師が在籍している(青年海外協力隊員1名を含む)。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

 国内には日本語教育関係のネットワークはないが、教師同士の情報交換が行われている。また、中米カリブ地域レベルでは、日本語教師の中米カリブ日本語教育ネットワークにジャマイカも参加している。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣(2017年10月現在)

青年海外協力隊

 西インド諸島大学 モナキャンパス1名

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1992年 民間の語学学校にて日本語教育開始
1996年 西インド諸島大学にて日本語教育開始
2001年 ジャマイカ工科大学にて日本語講座開設
2008年9月 ジャマイカ工科大学観光経営学科に選択コース(2年間)の1年目開設
2010年1月 ジャマイカ工科大学観光経営学科に選択コース(2年間)の2年目開設
2014年 西インド諸島大学にて日本語が副専攻に昇格

参考文献一覧

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