ニューカレドニア(2017年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
27 40 2,026
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 1,921 94.8%
高等教育 105 5.2%
その他 教育機関 0 0.0%
合計 2,026 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1982年に、ボドゥー中学、ラペルーズ高校、ヌメア商工会議所で、第二外国語として日本語教育開始。当初、日本語教師は1名のみであったが、1985年以降、徐々に日本語教育が拡大・発展している。

背景

 1892年(明治25)に初めてニッケル労働移民として日本人男性600名が渡航して以来、1919年までに5,000名を超える移民がニューカレドニアに渡った。定住した移民は農業・漁業・商業・建設業など様々な職業に就き、戦前のニューカレドニア社会の中産階級の構成員となった。しかし、戦争の勃発によって強制収容所生活や日本への強制送還を余儀なくされ、現地で築いた家族との生活を奪われることになる。戦後、日本とニューカレドニアの関係は少しずつ回復し、日本政府は1972年に首都ヌメアに日本国名誉総領事館を置いた。1992年には「日系人移民百年祭」が、2012年には「日系人移民120年祭」が開催された。2016年現在、既に日系6世が誕生し8,000人近くの日系人が住むといわれる。また、年間約2万人の日本人観光客が訪れている。ニューカレドニア日本親善協会(アミカル・ジャポネ)など日本とニューカレドニアの交流を進める市民団体も複数存在し、毎年中学生の交流(ホームステイ)プログラムを実施する地方都市もある。山形県鶴岡市との友好都市盟約20周年を迎えたラフォア市のほか、ヌメア市やダンベア市も東京都立川市や青森県八戸市との交流が深い。沖縄系日系人が多い北部地方には、沖縄県人会の集会室や展示室などを備えた施設「沖縄の家(メゾン・ドキナワ)」が造られた。空手や柔道、合気道といった武道、和太鼓、茶道などさまざまな活動の団体がある。ニッケル産業や観光のほか、市民の草の根の交流を中心とした日本との関わりの深さが日本語教育の発展を支えてきたと言える。ヌメア-東京/大阪間は直行便が就航しており、日本は大人気の家族旅行の行先となった。ニューカレドニアの人々にとって日本はヨーロッパよりも身近になってきているともいわれる。

特徴

 ニューカレドニアでは、開始当初から中等教育を中心に日本語教育が実施されてきた。上記の日本との関係の深さに加えて、若年層を中心にマンガやアニメなどの影響で発展している。第二外国語としての学習が主で、中学校、高校の他、職業訓練校などでも教えられている。

最新動向

 2010年に27機関で約3,000名の学習者が日本語を学んでいたが、2015年の学習者は約2,090名に減少している。とはいえ、日本語は外国語の中で英語、スペイン語に次ぎ3番目に学生が多く、引き続きもっぱら第二外国語として教えられている。中等教育機関では日本語指導助手のニーズが高く、ニューカレドニアの教育省は2014年より在日本フランス大使館を通じ日本語指導助手2名を公募し、毎年7か月の任期で雇用している。現職教員の中には、2017年にフランス政府によって新設された中等教育教員資格(カぺス・エクステルヌ)日本語部門を受験する者もあるが、ポストの数が限定された狭き門である。正規資格を得る機会が極端に限られていることから、キャリアとして日本語教員を志望する者は減少しており、資格を持たない教師の非正規雇用が相対的に増えている。
 2015年ごろから、中学、高校でも中国語クラスが開講されるようになったが、中国観光客の増加等を受けて、大学に中国語・中国文化公開講座が設置される計画がある。

教育段階別の状況

初等教育

 初等教育段階では、現地語とフランス語の二言語教育は実施されておらず、日本語教育も導入されてない。

中等教育

 中等教育段階では、公立私立の中学校・高等学校で、第二、第三外国語の選択科目として日本語教育が行われている。第三外国語として選択できるのは、2017年現在ヌメアのラペルーズ高校のみで、第二外国語として学習している生徒が多い。第二外国語プログラムの到達目標は高く、表記学習に時間を要する日本語においても、同じ時間数でスペイン語やイタリア語と同様の達成レベルが求められている。中等教育機関が日本語コースを導入、維持する理由の一つとして、「優秀な学生の集まるクラスをつくる」というものがある。一方、後期中等教育段階の職業教育機関である職業リセ及び技術リセで、就職に役立てるために日本語を学ぶ学生も少なくない。ホテル・レストラン関係のコースでは日本語科目が必修になっている。

高等教育

 ニューカレドニア大学では1990年に日本語教育が開始された。日本語学科の開設には至っていないものの、第二外国語科目の選択の一つとして日本語を学ぶことができる。

その他教育機関

 ヌメア市には民間語学学校JAPONICAがあり、外国人向けのフランス語クラスとともに、日本語クラスが開講されている。プライベートレッスンも行われている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 フランス本国に準じる。

教育行政

 共和国高等弁務官管轄下にある、教育省所属の学区長が、初等から高等教育に至る総てを統括。

言語事情

 ニューカレドニアでは公用語のフランス語のほか、周辺の島々から移住してきた人々の言語やクレオール言語、そして8の先住民の言語(オーストロネシア語族オセアニア語派に属する言語)が話されている。フランスの植民地として統合されて以降、フランス語に統一する方向で言語政策がとられてきたが、フランスを含めた欧州全体の言語政策の影響もあり、1992年以降はフランス語を母語としない学習者には、原則として現地語とフランス語の二言語教育が行われている。

外国語教育

 第一外国語は英語(必修科目)。第二外国語、第三外国語は中学2年から実施されており、スペイン語、日本語、ドイツ語、イタリア語、メラネシア語2種、ギリシア語、ラテン語の中から選択履修する。

外国語の中での日本語

 2012年より「ニューカレドニア・日本高等学校ネットワーク」(COLIBRI)に、ニューカレドニア高校5校が加盟しており、日本でフランス語を学んでいる高校生とニューカレドニアで日本語を学んでいる高校生同士の交換留学プログラムに参加している。
 必修科目の英語以外の外国語の中では、フランス語に比較的近く、学びやすいという理由でスペイン語を選択する学習者が最も多い。

大学入試での日本語の扱い

 フランス本国と同様、バカロレアの科目として日本語が採用されている。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 教師自作の教材が奨励され、多く使われている。『エリンが挑戦!にほんごできます。』国際交流基金、『まるごと 日本のことばと文化』国際交流基金(三修社)、ウェブサイト『まるごと+』のコンテンツも活用されている。
 また、以下の教材がニューカレドニアで制作されている。
 山田由美子著
 『日本語を話そう Manuel pédagogique de japonais Classe de Seconde
 『日本語を話そう Livret de japonais Classe de Première
 『日本語を話そう Livret de japonais Classe de Terminale
 Sandra Leilloux, Atsuko Delrieu, Yoshie Poncheele共著『Lexique Japonais – Français
 Atsuko Delrieu著 『Lexique Français Japonais
 Anne Le Bail著 『Livret de Kanji
 Anne Le Bail et Katsuko Le Bail共著 『Cahier d’exercices en Japonais - Hiragana Katakana
 Yann Pennanec’h著 『Manuel de Kanji Tome 1』、『Manuel de Kanji Tome 2

高等教育

 フランスの大学で発行された日本語教科書『Parlons japonais』東伴子など。

その他教育機関

 日本語教育は実施されていない。

(詳細不明)マルチメディア・コンピューター

 (詳細不明)

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 フランス本国に準じる。大学卒以上。Licence(学士号)、あるいはMaîtrise(修士号)。正規教員ポストに就くには、フランス本国同様Agrégé(中等教育上級教員職)、あるいはCAPES(中等教育教員職)が必要である。なお、現在日本語の正規教員ポストに就いている者は、bi-admissible à l’Agrégation (正規教員資格を持つ者で、アグレガシオンの筆記試験に2回以上合格している者)1名のほか、全てCAPES résérvé(准中等教育教員職)保持者である。

高等教育

 フランス本土に準ずる。

その他教育機関

 日本語を趣味、教養として習える民間語学学校、プライベートレッスンがある。

日本語教師養成機関

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはないが、定期的に教育委員会がコンピューターを駆使した教材の作成、教授法などのセミナーを企画している。2017年3月に初めて国際交流基金派遣専門家(パリ日本文化会館日本語教育アドバイザー)による現職教師向けセミナーが実施された。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 現地雇用優先のため、原則としてアシスタント以外はフランスの教員資格を持たない日本人教師を雇用しない。期限付きの臨時講師としての雇用は行われている。条件や役割はノンネイティブ教師と同様である。

教師研修

 なし。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 「ニューカレドニア日本語教師会」が2002年に視学官の提唱で生まれ、活動を行っていたが、ニューカレドニアにおける日本語教育と日本文化の普及のためよりいっそうの積極的な活動を目指し、2008年からは「ニューカレドニア日本文化日本語普及会」が組織され、アソシエーションとして登録された。ニューカレドニア日本文化日本語普及協会の活動は勉強会の実施、教科書作成のほか、日本祭りなどの行事の企画、学校交流の促進、習字などの文化行事への派遣など。

最新動向

 2016年現在、教育省所属の学区長に任命された日本語視学官を中心に、日本語教育情報を掲載したウェブサイト(Le Japonais en Nouvelle Calédonie-Site disciplinaire et culturel)が運営され、広く教師間の情報共有、ネットワーク促進に貢献している。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 民間日本語学校(日本語教師養成機関)から関係機関へ派遣

日本語教育略史

1982年 ボドゥー中学、ラペルーズ高校、ヌメア商工会議所にて日本語教育開始
1998年 中等教育段階に、准中等教育教員資格(カペス・レゼルヴェ)が設置される。
2002年 ニューカレドニア日本語教師会発足
2008年 ニューカレドニア日本文化日本語普及会設立
2012年 「日仏高等学校ネットワーク」のニューカレドニア部門発足
2014年 公立中等教育機関への日本語指導助手派遣プログラム開始 (ニューカレドニア教育委員会管轄)
2016年 フランス政府が中等教育教員資格(カぺス・エクステルヌ)に日本語部門を新設することを決定
2017年 中等教育教員資格(カぺス・エクステルヌ)日本語部門の第一回試験が実施される。

参考文献一覧

ページトップへ戻る