スウェーデン(2017年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
43 86 2,457
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 65 2.6%
中等教育 891 36.3%
高等教育 1,054 42.9%
その他 教育機関 447 18.2%
合計 2,457 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 スウェーデンにおける日本語教育は、1956年にウプサラ大学で日本語講座が開始され、1963年にストックホルム大学、1974年にヨーテボリ大学、1980年にはルンド大学で日本語講座が開始された。
 中等教育段階では、1986年にウメオ(スウェーデン北部)のオストラ高校において、中等教育で初めて日本語が第三外国語として選択可能となったが、1990年代半ばより、日本語を選択できる高校が地方にも広がっていった。また、2005年にはスキュールップ(スウェーデン南部)のマクリーン中学校で初めて日本語が第三外国語として選択可能となり、日本語学習者層に広がりを見せている。

背景

 スウェーデンでは、以前は、東洋文化といえば中国、インド、アラビアの文化に代表されていたが、1970年代から、日本の経済成長に関連し、日本文化(文学、茶道、生け花、アニメ、マンガ、J-POP、ファッション、武道、折り紙、日本映画、食文化等)が広まり、日本語への関心が高まった。また、国際結婚により日本人と親戚関係を有する者、旅行、留学、インターネット等を通して日本人と友人関係をもつ者が増えてきたことも、日本語への関心を高める要因の一つとなっている。

特徴

 日本語教育は中学校、高等学校、大学、生涯教育機関等において、様々な形で行われてきたが、近年一層充実してきている。
 教育段階別に見ると、大学における日本語教育が最も盛んで、夜学、通信教育も人気がある。短期、長期に関わらず、一度、日本に留学した学生は、その後も日本と関わる傾向にある。
 マンガやアニメ、また日本のパソコンゲームや武道に関心の高い男性の学習者が急増し、学習者全体の男女比が不均衡であったが、ファッション、音楽、マンガ、ゲームに興味を示す女性学習者数が増え、男女比は是正されてきている。
 近年、自然科学部門においてノーベル賞受賞者を多数輩出している国として、スウェーデンにおける日本への関心が高まっており、今後も日本語学習を希望する要因となると予想される。
 日本語学習者が日系企業等への就職を望んでも就職先が非常に限られているのが現状である。一方、最近の傾向として、帰国した元留学生が自ら就職先を日本で探し、就職した例も多数見受けられる。

最新動向

  • 日本の若者文化・ポップ・カルチャーの高い人気によって、学校教育以外の夜間コースでは小・中学生のクラスが年々増加している。
  • 高校では、現行の成績システムの影響で、フランス語、ドイツ語、スペイン語等外国語を選択する学生数が10年間で半減しているため、今後、大学入学の際、高校で外国語を選択する生徒が有利となるような成績システムを導入する動きがある。しかし、本システムの導入によって、日本語学習者が増えるか否かについては不明である。
  • ストックホルム大学では2018年秋開講を目指して中級レベルの学習者を対象とした日本語文法分析クラスの開設を検討中。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 中学校では、スウェーデン南部の学校が2005年秋に、スウェーデンで初めて日本語を第三外国語として採用した。
 高校では、第三外国語として日本語を選択できる学校が増えている。現在、約25校において日本語が選択可能であることが確認できるが、公の統計が存在しないため、全国には約40-50校存在すると考えられる。
 スウェーデンの初等・中等教育は、改革の途上にあり、改革は現在も進行中である。最近、高校において生徒が英語以外の外国語を選択しない傾向が生まれており、日本語もその影響を受けている。これは現行の成績システムや大学入試体制等が一要因と考えられる。その一方で、特に私立高校において、新入生の数を増やすために、日本語を取り入れる学校が増えている。

高等教育

 現在、ストックホルム、ヨーテボリ、ルンドの3大学に日本語を主専攻科目とする日本(語)学科、選択必修科目とする東アジア学科がある。また、ダーラナ大学では2007年より日本語を主専攻科目とする日本語学科が開設され、2012年秋より学士号が取得できるようになったが、現在では、webベースの遠隔コースのみとなっている。その他、日本語を選択科目としている大学(リンシェーピング大学、リンネ大学、ストックホルム王立工科大学、ヨーテボリ商科大学、ルンド大学工科大学、ルレオ工科大学)もある。大学の定員数は近年増加の傾向にあるが、志望者のほとんどを受け入れるシステムを導入したストックホルム大学以外において、日本(語)学科の競争率は、人文科学系の科目の中でも比較的高い。
 大学レベルでは、最近の傾向として、従来人気の高かったドイツ語、フランス語の人気が低迷し、中国語、アラビア語の人気が高まっており、日本語も比較的高い人気を保っている。
 学習動機は多岐に渡るが、日本文化、ポップ・カルチャー、親戚・友人関係等が大きな割合を占めている。スウェーデンと日本の関連企業に就職を希望して、学習を始める者もいる。日本学科や東アジア学科の学生は日本語だけでなく、日本の文化、政治、経済や歴史に興味を示す学生も多い。経済学や工学と並行、あるいは、前後して学習している者も目立つ。経済や工科系の学生で日本語を習得した者は就職率が高いため、夜間のコースでは工科系の学生も多い。留学に関しては、多くの大学が日本の大学と交換留学協定を結んでおり、交換校の増加、奨学金の獲得、履修単位の振り替え等、留学プログラムの充実を目指している。

その他教育機関

 生涯教育に携わっている機関による週2、3時間のコースが主で、日本の文化や言語そのものに興味を持っている者がその参加者の多くを占めている。特に、日本のマンガやアニメ、また、伝統的なスポーツ、映画、音楽等への関心が若年層の学習動機とつながっている場合が多い。特に最近は電子メールやインターネットやソーシャルメディア(フェイスブック、ユーチューブ、ツイッター等)を通じて日本語に触れる機会も増えている。中学生から社会人、年金生活者に至るまで、学習者の年齢層は幅広く、日本人のパートナー又は配偶者、日本と取引のある企業に勤務している学習者も増えている。最近の傾向として、日本のポップ・カルチャー等に関心のある子供・若年層を対象にした日本語コースが増加している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 9-3制。
 初等教育: 基礎学校1年から6年(7~12歳)
 中等教育前期: 基礎学校7年から9年(13~15歳)
 中等教育後期: 高等学校1年から3年(16~18歳)
 高等教育: 大学1年から5年(19~23歳、3-4年で学士号、4-5年で修士号 を取得)
 義務教育は基礎学校の9年間。

教育行政

 初等(就学前教育も含む)、中等教育機関は中央政府の行政機関である学校庁の管轄下にあるが、大学は高等教育庁の管轄下にある。教育省は教育政策の策定をする。

言語事情

 国語はスウェーデン語。
 1960年代からの移民の増加に伴い、様々な言語を母語とするグループが存在する。その中でもフィンランド語を話すフィンランド人(約20万)が最大グループであり、次いで、イラク戦争や近年のシリア内戦の影響で多数の難民の受け入れによりアラビア語を話すグループ(約20万弱)が第2位を占める。その他、スウェーデン北部のラップランド地方に、古くから少数民族のサーミ人が2万人居住している。現在、約30~40%のサーミ人がサーメ語を使用していると推定される。スウェーデンにおける英語(第一外国語)の普及率は極めて高く、スウェーデンで英語教育を受けた人の多くは流暢な英語を話す。

外国語教育

 1950年頃まで、第一外国語はドイツ語であったが、現在の第一外国語は英語であり、遅くとも基礎学校の4年生から英語が教えられる(学校の方針でそれ以前から導入するところもある)。基礎学校6年より、第二外国語としてドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語(2014年秋から導入。下記参照。)から選択できる。学校によって、その他の言語も学ぶことができるが、必ずしも生徒のニーズに応えられるわけではなく、その他言語の学習比率は全生徒数の約15%にとどまる。高校1年より、選択するプログラムによって多少異なるが、第三外国語を、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、中国語、日本語、ポルトガル語等の中から選ぶことができる。
 2012年、ビョルクルンド教育大臣は、中国語教育の義務教育課程への導入を2014年より実施する意向を発表した。これに伴い、中国語を他の第二外国語(ドイツ語、フランス語、スペイン語)と同等に扱い、基礎学校6年より選択が可能となった。しかし、教員数の不足等が課題となり未だ全面的な実施には至っていない。学校庁によると、現在、68校の基礎学校で中国語が教えられている。

外国語の中での日本語の人気

 ルンド大学における近年の語学教育入学志望者数の統計調査によると、日本語を希望する学生数は教師等、直接職業に結び付く言語(スウェーデン語、英語、フランス語、スペイン語等)に比肩する数字を示している。

大学入学の際の日本語の扱い

 基本的に大学入試は存在せず、高校の成績等が大学選考基準である。日本語科への入学の合否の基準については、大学によって異なる。
 ストックホルム大学では、2006年に「TEKNISK PLATSGARANTI」制度を導入し基本資格を有する者は誰でも入学が可能である。「TEKNISK PLATSGARANTI」制度導入以来、日本学科への入学志望者は毎年150~170名である。但し、入学志望者が教室や教師の数より大幅に上回るようであれば、入学が担保できない場合もある。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)や『新日本語の基礎』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)を使用して日本語教育を始める高校が多いが、1990年代の半ばから開始された高校改革で、会話授業の要請が高まり、適当な教科書が模索されている。
 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)や『JAPANESE FOR YOUNG PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社USA)を採用している高校も存在する。

高等教育

 学部や教師自身で開発した教材と市販の教科書を併用しているところが一般的である。市販の教材では、『SITUATIONAL FUNCTIONAL JAPANESE 1, 2, 3』筑波ランゲージグループ(凡人社)、『BASIC KANJI BOOK』加納千恵子ほか(凡人社)、『INTERMEDIATE KANJI BOOK』加納千恵子ほか(凡人社)、『日本語初歩』(前出)、『みんなの日本語』(前出)、『初級日本語げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)、『日本語中級 J301』土岐哲ほか(スリーエーネットワーク)等が使用されている。市販の教材は、時間数やレベル等で適切なものが少なく、独自の教科書の開発が望まれている。

<使用されている教材の具体例>

ストックホルム大学の場合:

初級:『初級日本語げんきⅠ Ⅱ』(前出)、『BASIC KANJI BOOK』(前出)
中級:『INTERMEDIATE KANJI BOOK VOL 1、2』(前出)、『日本語中級J 301/J 501』(前出)、新聞記事・エッセイ、短編小説等
上級:『AN INTRODUCTION TO CLASSICAL JAPANESE』駒井明ほか(凡人社)
会話・実用日本語の授業では、基本的に教師作成の教材が使用され、市販の教科書は使用されていない(中級以降)。

ヨーテボリ大学の場合:

初級:『初級日本語げんきⅠⅡ』(前出)、『Kanji Look and Learn』(ジャパンタイムズ)
中級:『上級へのとびら』岡まゆみほか(くろしお出版)、『上級へのとびら きたえよう漢字力 上級へつなげる基礎漢字800』岡まゆみほか(くろしお出版)、『上級へのとびら これで身につく文法力』江森祥子ほか(くろしお出版)、『留学生のための ここが大切 文章表現のルール』石黒圭ほか(スリーエーネットワーク)
上級(3年次)、修士、博士課程は特定の教科書などは使用されていない。

ルンド大学の場合:

1年:『初級日本語げんきⅠ・Ⅱ』(前出)、Larm, Lars ”Japanese Grammar: Lecture Handouts and Exercises”.
2年:『上級へのとびら』岡まゆみ、筒井通雄ほか(くろしお出版)、『象は鼻が長い』三上章(くろしお出版)、Shibatani, M. The Language of Japan, Cambridge: Cambridge University Press 1990. Loveday, L.J. (1986). ‘Japanese sociolinguistics - An introductory survey’. Journal of Pragmatics. Moeran, B. (1988). ‘Japanese language and society: An anthropological approach.’ Journal of Pragmatics.

その他教育機関

 初級から中級まで『JAPANESE FOR BUSY PEOPLEⅠ Ⅱ Ⅲ』(前出)が使用されている。中級では、日本の新聞や雑誌等、様々な教材が使われている。

マルチメディア・コンピューター

ストックホルム大学の場合:

 初級クラスにおける学生数の急増に伴い、文法や漢字、また語彙の小テストはイントラネットであるMONDOを使用し、週1回のペースで行われている。また、同じMONDOに練習問題等をアップロードすることで、学生が自己診断テストを行うことができる。中級以降、学生による課題の提出と教師による返却(コメント入り)のためにMONDOが活用されている。また教師作成の教材は基本的にMONDO上にアップロードされており、学生が自由にアクセスできるにようになっている。なおレベルを問わず、学生向けの連絡は全てこのMONDOを通して行われている。

ヨーテボリ大学の場合:

 OJADOnline Japanese Accent Dictionary)のワークショップを開催したこともあり、これを会話の授業で使用できるか検討中である。さらに教材、あるいは卒業論文や修士論文の資料として、「青空文庫」、国立国語研究所の「少納言」「中納言」などのコーパスを多用している。なおテキスト分析には、User Local やチュウタを使用していない。

ルンド大学の場合:

 日本語コースが開講されている言語文学センターでは、Live@Lundというポータルサイトが導入されており、学生は、パソコンや携帯電話などから時間割、大学や教師からの連絡、掲示板、授業に使用される資料などにアクセスすることができる。一部の教師は教育SNSEdmodoを使用し、課題の提出や添削、クイズや小グループ活動に利用している。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 高校教師の資格を得るためには、最低、専門2教科について資格が必要である。大学の教職課程(4年半-5年半)を経て、免許(Lararexamen)を取得するのが通常であるが、大学の専門課程で必要な単位を取得後、教育学・教育実習を含む一般教養コース(AUO)で60ポイント(単位)を取得して資格を得る例も多い。日本語を教えるためには、日本語関係教科を大学で60ポイント以上取得するのが望ましい。

高等教育

 大学には、教授、レクトル(準・助教授)、アドジュンクト(講師)等の教職がある。レクトル以上のポストを得るためには、博士号を持っていることが最低基準となっている。日本語教育の教師は日本学や言語関係を専攻した者が多く、日本語を母語とする教師は、大半が日本語教師養成コースを修了している。

その他教育機関

 特になし。スウェーデン語で日本語を教授することができ、教授経験があれば望ましい。

日本語教師養成機関(プログラム)

  • 国際交流基金・日本語教師研修(短期・長期)プログラム
  • 東海大学ヨーロッパ学術センター(コペンハーゲン郊外)主催教授法などの研修

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

ストックホルム大学の場合:

 専任講師2名、2名ともフルタイム。(近年、修士以上の学位が専任講師に求められている。現在雇用されている専任講師のうち、1名は修士号、1名は博士号所持者。)

ヨーテボリ大学の場合:

 教授1名、准教授1名、専任講師2名の4名はフルタイム、更に准教授の1名は50%。
 (明確な役割分担はなく、会話や作文は主にネイティブ教員が担当。)

ルンド大学の場合:

 講師5名、内1名はフルタイム。言語学、論文指導を除いて、全ての分野を担当。

教師研修

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 高校の教師に対する研修は、近年、特に重視されてきている。しかし、日本語教師は人数が少ない上、散在しているため、スウェーデン国内で研修が行われたことはない。そのため、日本語教師は国際交流基金による研修や他ヨーロッパの国で行われている会議や講習に頼らざるを得ない。

高等教育

 日本語教師のみを対象にした教師研修は行われていない。スウェーデンの大学で数年以上教鞭をとっている日本語教師の多くは、国際交流基金の日本語教師研修に参加している。

ストックホルム大学:

 数年前までは、大学教育センターで研修(1-3)が行われていたが、現在は、各学部で行われるようになった。日本語教授法の講座は存在せず、教育全般に関する講座が存在する。レクトル(准教授)のポストに就くには、講座1と2を受講しなけければならない。
 なお、現在、学科内の教師間で、日本語文法・教授法についての自主的な研究会が開かれている。参加者は専任講師2名とスウェーデン人非常勤講師3名。

ヨーテボリ大学の場合:

 3年ほど前から、専任講師の一人が中心になり、毎月一度の勉強会を行っている。

ルンド大学:

 特別な日本語教師養成コースは設置されていないが、ルンド大学のヘルシンボリキャンパスの教員養成課程の学生(高校の英語と日本語の教員資格)が、日本語学科で教育実習を数回行ない、日本語科の教員による指導を受けたことがある。また、2006年、ルンド大学は日本から講師を招き、教授法関係のワークショップを開催した。これにはデンマーク、ノルウェーを含めた他大学の日本語関係者も参加した。以来、同様のワークショップが不定期的に開催されたが、2013年以降、開催されていない。

東海大学ヨーロッパ学術センター(コペンハーゲン郊外):

 定期的に日本語教授法ワークショップを企画し、北欧の高等教育機関に所属する教師を対象とした研修を行っている。

その他教育機関

 現職の日本語教師対象の研修はない。

現職教師研修プログラム(一覧)

  • 国際交流基金・日本語教師研修(短期・長期)プログラム
  • 東海大学ヨーロッパ学術センター(コペンハーゲン郊外)主催教授法研修

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 北欧5か国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド及びアイスランド)が共同運営するNIASNordic Institute of Asian Studies)がある(本部:デンマーク・コペンハーゲン大学アジア研究所内)。NIASには、日本専門研究員が1~2名勤務し、研究活動、ニュースレター発行、講演会実施等を中心に北欧5か国における日本を含めたアジア研究のコーディネートを行っている。
 またこのほか、NAJAKSNordic Association for Japanese and Korean Studies)という北欧の日本・朝鮮学に従事する者のネットワークがあり、3年毎に学会が開催されている。
 さらに、日本語教育のネットワークとしては、ヨーロッパ日本語教師会があり、スウェーデンからは教師が個人資格で参加している。また、2007年よりスウェーデン在住の日本語教師が中心となって、メーリングリストを利用して情報交換を行っている。

最新動向

ストックホルム大学の場合:
  • 先述のNAJAKSに関して、近年では2016年夏に本学にて学会を開催した。
  • 2017年秋より、EAJS (European Association for Japanese Studies ヨーロッパ日本研究協会)内の小委員会(PhDワークショップ)に委員を派遣。
  • 2017年、本学科の学生が中心となり、日本語を学ぶ学生と在スウェーデン日本企業の接点となる活動を行うNPOが発足したことを受け、本学科はこれを全面的にサポートしている。
  • 本学のスタッフが日本語能力試験実施のためのNPOを立ち上げ、試験に関する情報をホームページ上(https://sajp.info/)で発信している。
ヨーテボリ大学の場合:
  • 8月に東大工学部の峰松先生を招き、OJAD Workshop on L2 Japanese Education with Technologyというワークショップを開催し、外国語学習におけるテクノロジーの導入、スウェーデン人学習者の発話の問題点、またそれに対する改善点、遠隔教育への応用、OJADをどのように使用するかについて指導してもらった。なお、日本語教師会メーリングリストを利用し案内を送信した。
     http://sprak.gu.se/forskning/konferenser/l2-japanese-education-with-technology
  • 日本語教師派遣情報

    国際交流基金からの派遣

    国際協力機構(JICA)からの派遣

     国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

    その他からの派遣

     一部の大学では、文際交流協会からの1年ごとに会話アシスタントの派遣を受け入れていたが、交換校からの受け入れの要望が増加したため、文際交流協会からの派遣は停止された。派遣停止以降、スタッフ・学生交換が、会話アシスタントの代替として活用されている。

    シラバス・ガイドライン

     統一シラバス、ガイドライン等はない。
     各大学のガイドラインは次のとおり。

    評価・試験

    評価・試験の種類

     共通の評価基準や試験はない。

    ストックホルム大学の場合:
    • 2017年から日本語能力試験が本学を会場として実施され始めたこともあり、学生に受験するよう推奨している。
    • 本学科における試験についてはシラバス・ガイドラインを参照。
    ヨーテボリ大学の場合:

     5学期目の学生の学習到達度の目標として日本語能力試験2級をあげており、授業の中に練習問題を組み込んでいる。ちなみに修士課程では日本語能力試験1級を目安にしている。

    ルンド大学の場合:

     学習達成度の評価は以下の通りである。
      1年:口頭・筆記試験、2年:口頭・筆記試験及び作文・宿題の提出、レポ-ト、論文の提出

    日本語教育略史

    1956年 ウプサラ大学で日本語講座開始
    1963年 ストックホルム大学の東洋学部に、中国、インド、アラビア学科に加えて日本学科が新設。これに伴い、主たる専攻科目として日本語講座開始
    1969年 ストックホルム大学東洋学部日本学科に大学院課程開設
    1974年 ヨーテボリ大学東洋語学科(現東洋語・アフリカ語学科)が設立されると同時に、日本語セクションで日本語講座開始
    1980年 ルンド大学東アジア言語学部が設立され、日本学科で日本語講座開始
    1983年 ストックホルム大学東洋学部に東アジア学科が開設
    1986年 ウメオ(スウェーデン北部)のオストラ高校において、中等教育で初めて日本語が第三外国語として選択可能となる
    1988年 ストックホルムのオストラ・レアル高校、フランス・シャウタウー高校で日本語教育開始
    1992年 ヨーテボリ大学東洋語・アフリカ語学科に大学院課程が開設
    1990年代 1990年代半ばより、日本語を選択できる高校が地方にも広がる
    1996年 ルンド大学東南アジア語学部日本語学科に大学院課程設立
    2005年 スキュールップ(スウェーデン南部)のマクリーン中学校で初めて日本語が第三外国語として選択可能となる
    2007年 ダーラナ大学人文科学・メディア学部に日本語学科が開設
    2014年 第一回スウェーデン学生日本語弁論大会開催
    2016年 ストックホルム大学東洋学部日本学科がストックホルム大学アジア・中東・トルコ学部日本学科に改称
    2017年 日本語能力試験開始(ストックホルム)

    参考文献一覧

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