トリニダード・トバゴ(2017年度)
日本語教育 国・地域別情報
2015年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数 |
---|---|---|
1 | 2 | 82 |
教育段階 | 学習者数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 0 | 0.0% |
高等教育 | 82 | 100.0% |
その他 教育機関 | 0 | 0.0% |
合計 | 82 | 100.0% |
(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
トリニダード・トバゴの日本語教育は、1993年に国立語学学校(NIHERST SCHOOL OF LANGUAGES、当地高等教育を担当する国の機関)で始められた。講座は一般成人のみを対象とし1998年まで続けられたが、学習者数の減少、講師の都合等の諸事情により廃止され、その後、1999年9月に西インド諸島大学(University of the West Indies : UWI)セント・オーガスティン校に日本語講座が設けられた。現在、同大学語学センター(Centre for Language Learning : CLL)の日本語講座は、入門・初級・中級(Beginner, Elementary, Intermediate)の3レベルが設けられている。また、上記NIHERST SCHOOL OF LANGUAGESでは、日本語教育を復活させる動きもあり、アニメ人気等も反映して日本語学習希望者の増加が見られる。
背景
日本との歴史的関係がなく、地理的にも遠い国である。一方で、西インド諸島大学(UWI)では、外国語教育を非常に重視していることから、日本語講座はその一部として歓迎されており、日本語講座への希望者数は年間100人を超える。また、同大学では日本語を大学の正式科目として単位認定した。
特徴
一般的に日本との関係・認識に乏しい国であるが、政府レベルにおいては、国際交流基金を通じた文化交流事業、JETプログラム(日本への英語教師派遣事業)、国際協力機構(JICA)を通じた技術協力などの交流事業が実施され、日本人へのイメージは良好で日本への憧れを持つ者も多い。
日本語学習の動機は、語学としての興味、文化的な興味が多い。特に日本アニメの人気が高いことが挙げられる。また、JETプログラムによる訪日が可能になったことにより、日本語学習者数も増加している。
最新動向
西インド諸島大学語学センターの日本語講座は、2012年から2013年にかけて中国語とともに大学の正規の単位として認定され、2017年現在、6レベル8クラス設定されている(内訳は、入門レベルが2レベル4クラス、初級レベルが2レベル2クラス、初中級レベルが2レベル2クラスとなっている)。
中国が孔子学院の設立、教師の派遣など活発な中国語普及を行っている一方、日本からは教師の派遣がなく、正規の単位認定が取り消される恐れもあるなど日本語教育を取り巻く状況は厳しいものとなっており、その強化のための対策が早急に望まれる。
教育段階別の状況
初等教育
日本語教育は実施されていない。
中等教育
日本語教育は実施されていない。
高等教育
1999年9月、西インド諸島大学語学センターにおいて、日本語コースが開始された(一般人の受講も認めているが、実態は同大学の学生が主)。
その他教育機関
日本語教育は実施されていない。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
トリニダード・トバゴは元英国領であり、教育制度は英国の制度に基づいている。学校別の年齢層は、原則、幼稚園が3~5歳、小学校(7年制)が5~11歳、中・高等学校(7年制、5年制及び2年制)が11~18歳、及び大学(18歳~)となっている。
1966年制定の教育法により、義務教育は6~12歳までが対象となっている。
教育行政
教育省が教育行政全般を管轄している。高等教育機関としては、西インド諸島大学、トリニダード・トバゴ大学(UTT)などの総合大学のほかに政府がCommunity College制度を設けている。職業教育はCommunity Collegeを通じて行われている。
言語事情
公用語は英語であるが、多くの人々は地元の方言(クレオール語)を話している。最近はクレオール語の教育上での価値が認められてきているが、英語以外の語学の使用は、基本的には教育機関での授業以外ではめったに見られない。一部、中国人、スペイン語圏の移民等が、各々中国語、スペイン語を日常的に使用している。
外国語教育
政府が一番力を入れている外国語はスペイン語である。これはスペイン語を国語としている国々、特にベネズエラが地域的に非常に近いこと、また、英国領になる前からスペイン人が訪れていた歴史的な理由に基づいている。
その他、ヒンディー語(国民の半数はインド系のため)、そしてフランス語教育が行われている。また、西インド諸島大学語学センターでは、ポルトガル語、ドイツ語、イタリア語、ヒンディー語、アラビア語、中国語などの課程も設けられている。
外国語の中での日本語の人気
西インド諸島大学語学センターにおける日本語受講者数が、2000年の20人弱から2013年には100人を超えたことから、日本語の人気が高まってきていることが分かる。しかしながら、近年は他のアジアの言語の人気も高まり、同大学内に2013年秋には孔子学院が開設され日本語学習を取り巻く環境は厳しくなってきている。(韓国語クラスは2016年9月に一度開講されたが2017年現在閉講中であり、再開は2018年以降の見込み。)
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育は実施されていない。
中等教育
日本語教育は実施されていない。
高等教育
西インド諸島大学語学センターに、一般人も対象としている非専攻の日本語クラスがあり、インターネットが使用できるランゲージ・ラボラトリー、オーディオ、ビデオ、教材、参考書などを保有している。
その他教育機関
日本語教育は実施されていない。
マルチメディア・コンピューター
西インド諸島大学語学センターでは、インターネットが使用できるランゲージ・ラボラトリー、オーディオ、ビデオなどの設備が利用されている。また、2000年には、文化無償資金協力により、当地の国立高等教育院に対して語学学習のための機材が供与されている。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育は実施されていない。
中等教育
日本語教育は実施されていない。
高等教育
西インド諸島大学語学センターの外国語教師(日本語教師を含む)は、大学卒業の資格、及び外国語教育理論の知識と経験が必要条件となっている。
その他教育機関
日本語教育は実施されていない。
日本語教師養成機関(プログラム)
日本語教師養成を行っている機関、プログラムは存在しない。
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
西インド諸島大学語学センターの日本語クラスは、2017年現在計3人の教師により行われており、うち1人は当地在住のネイティブの日本人教師(非常勤)である。
教師研修
語学センターでの教師による研修や、海外の団体(国際交流基金等)の専門家等による研修が不定期に行われている。
現職教師研修プログラム(一覧)
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
日本語教育関係のネットワークはない。
最新動向
教師会は組織されていない。
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
国際協力機構(JICA)からの派遣
国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。
その他からの派遣
(情報なし)
日本語教育略史
1993年 | 国立語学学校(NIHERST SCHOOL OF LANGUAGE)にて一般成人対象の日本語教育開始(~1998年) |
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1997年 | サンティアゴ工科大学における日本語教育中止 |
1999年9月 | 西インド諸島大学(University of the West Indies)にて日本語講座設置 |
2012年 | 西インド諸島大学の正規の単位として日本語クラスを認定 |