アラブ首長国連邦(2017年度)
日本語教育 国・地域別情報
2015年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数 |
---|---|---|
5 | 16 | 395 |
教育段階 | 学習者数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 103 | 26.1% |
高等教育 | 165 | 41.8% |
その他 教育機関 | 127 | 32.2% |
合計 | 395 | 100.0% |
(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
日本語教育略史参照。
背景
英語重視の言語政策を進めており、学校教育では大学を除き英語以外の外国語教育はほとんど行われていないが、教育省が非英語圏の国への留学促進のため、高校での中国語の導入を準備している。
特徴
ハリーファ科学技術大学(2017年にハリーファ大学・マスダール工科大学・石油大学が統合)で、履修科目としての日本語授業が正規科目として実施されている一方で、課外活動の授業として日本語を教えている高校・大学もある。また、それ以外では一部語学学校、及び日本側関係者が開設する日本語教室でのみ日本語が教えられている。
文化・歴史・ポップカルチャーなどの日本への興味、あるいは日本語という言語そのものへの興味が日本語を学習する動機になっている。
最新動向
最近、日本のアニメ、マンガなどの影響により、若年者を中心に独学を含めて日本語学習者は増えている。 日本語学習への需要は年々高まっており、2016年1月からハリーファ大学で、2016年8月から石油大学で日本語授業が正規科目の授業として開始された。ハリーファ科学技術大学に統合後も、統合前の2大学の日本語授業は独立して行われている。
教育段階別の状況
初等教育
かつては日本語教育を実施していた公立小学校が存在していたが、2017年現在日本語教育は実施されていない。
中等教育
2011年9月より日本の私立大学の協力のもと、複数の日本企業が、日本人教師2名による日本語講座(課外授業)を応用技術高校(ATHS)アブダビ校において開始した。
高等教育
2007年以降、国内の主要大学で、在留邦人有志を講師としてクラブ活動に準じる形で日本語講座が開講されている。そのうちいくつかは、講師の帰国等の理由で中断したが、ザーイド大学ドバイ校では在留邦人有志による講座が継続されている。2015年からは、JICE(日本国際協力センター)が日本語講師の派遣を開始し、課外授業としては、2015年2月からUAE大学、2016年9月からザーイド大学アブダビ校、2017年からはアブダビ大学で、正規科目としては、2016年1月からハリーファ大学で、2016年8月から石油大学で日本語の授業が開始している。
その他教育機関
日本語を教える民間の語学学校がある。
アブダビでは、日本UAE協会主催の日本語教室が年に3期(秋、冬、春)開催されている。また、シャルジャには、民間団体UAE-Japan Cultural Centerが随時開催する日本語教室がある。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
連邦政府としては6-3-3制を基本としているが、首長国レベルでは独自の制度を採用しているところもある(例えばアブダビ首長国では5-4-3制)。カリキュラムも、アブダビは独自のカリキュラムを有していたが、2017-18年度から教育省とアブダビのカリキュラムを統合した統一的カリキュラムが導入されることとなった。
義務教育は1年生から12年生まである。高等教育機関には、大学、大学院、技術短期大学等がある。
教育行政
連邦教育省が管轄しているが、アブダビでは、アブダビ教育審議会(ADEC)が、ドバイでは知識・人材開発庁(KHDA)が教育行政において広範な権限を有している。しかし、近年の教育改革の中で、カリキュラムの統一化が進み、連邦教育省の役割が大きくなっていくものと思われる。
言語事情
公用語はアラビア語だが、英語も広く使用されている。
外国語教育
1年生から12年生まで英語が必修となっており、義務教育修了まで唯一の外国語科目となっている。
外国語の中での日本語の人気
主にアニメ等ポップカルチャーを通じて若者の間では一定の人気があるとみられる。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育は実施されていない。
中等教育
ATHSアブダビ校では独自の教材を使用している。
高等教育
UAE大学・ハリーファ科学技術大学・アブダビ大学では『まるごと入門A1りかい』(三修社)が使用されている。
その他教育機関
民間の語学学校では、独自の教材を使用している。
日本UAE協会主催の日本語教室では、『初級日本語 げんき』(ジャパンタイムズ)を使用している。
マルチメディア・コンピューター
日本語教育にマルチメディア・コンピューターは使用されていない。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育は実施されていない。
中等教育
ATHSアブダビ校では、日本の私立大学と日本企業からの支援により、2011年以降、日本から派遣された日本人教師3名が担当している。
高等教育
UAE大学、ハリーファ科学技術大学、アブダビ大学では、JICE(日本国際協力センター)派遣による日本語講師2名が担当している。ザーイド大学ドバイ校のみ、在留邦人有志が務めている。
その他教育機関
日本UAE協会主催の日本語教室では、日本語教師の有資格者を中心とした在留邦人有志が担当している。
日本語教師養成機関(プログラム)
日本語教師を養成する機関やプログラムはない
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
JICE派遣の日本語講師1名がハリーファ大学と雇用契約を締結している。
教師研修
現職の日本語教師対象の研修はない。
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
2010年、UAE日本語教師会(UAE在住の日本語教師たちの自発的な勉強会、相互サポートグループ)が発足した。また、中東諸国(エジプト、アラブ首長国連邦、イエメン、イラン、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、トルコ、バーレーン、モロッコ、ヨルダン、レバノンほか)の日本語教師のネットワークがある(国際交流基金カイロ日本文化センターが主催)。
最新動向
特になし
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
国際協力機構(JICA)からの派遣
国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。
その他からの派遣
JICE(日本国際協力センター)による大学への派遣及び日本企業による高校への派遣。
評価・試験
共通の評価基準や試験はない。
2012年から毎年開催している大使館主催の「日本語スピーチコンテスト」は、当地での日本語学習者の発表の場となっている。
日本語教育略史
1992年 | Japan Week開催を契機に、日本UAE協会主催の短期日本語講座開講 |
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2006年 | アブダビ日本人学校・付属幼稚園でUAE人子弟の受け入れ開始 |
2007年 |
公立アル・アミーン小学校で日本語教育開始(※2010年に終了) 国立ザーイド大学のアブダビ・ドバイ両校、HCTアブダビ女子校、HCTドバイ女子校でも無単位ながら日本語講座開講(※2016年11月現在、継続されているのはザーイド大学アブダビ校のみ) |
2008年 | シャルジャの民間団体UAE-Japan Cultural Centerで日本語講座開講 |
2010年 |
HCTアブダビ男子校で日本語講座開講(※2013年に終了) UAE日本語教師会発足 |
2011年 | ATHSアブダビ校にて日本語講座開講 |
2012年 | 私立ハリーファ大学アブダビ校にて有志による日本語講座開講 |
2015年 | 国立UAE大学にて課外活動として日本語授業開講 |
2016年 |
ハリーファ大学アブダビ校、石油大学で日本語授業が正規科目として開講 国立ザーイド大学アブダビ校女子キャンパスで課外活動としての日本語授業が開講(1年で終了) |
2017年 |
ハリーファ大学・マスダール工科大学・石油大学が、ハリーファ科学技術大学として統合。旧ハリーファ大学と旧石油大学での日本語授業は、独立して開講 私立アブダビ大学で課外活動としての日本語授業が開講 |