アルメニア(2019年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は6件、教師は21名。初等教育は9名で全体の4.1%、中等教育は43名で全体の19.8%、高等教育は45名で全体の20.7%、学校教育以外は120名で全体55.3%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 アルメニア高等教育における本格的な日本語教育は、1992年私立エレバン人文大学での日本語専攻の開設により始まった。2009年にロシア・アルメニア大学が、2010年にはエレバン国立言語大学が選択科目としての日本語教育を開始した(但し後者は2017年12月で閉講)。エレバン国立大学が2014年9月より第二外国語としての日本語教育を開始したことにより、現在日本語を教える高等教育機関は2校となっている。毎年秋にモスクワで行われるモスクワ国際学生日本語弁論大会やロシアCIS日本語教師会総会等にも積極的に参加者を出すなど、首都エレバンの日本語教師たちは活発な活動を続けている。

背景

 当地は欧米を中心としたアルメニア人ディアスポラとの関わりが深いことから,欧米の文化・言語が比較的浸透している一方で、日本については地理的に遠いこともあり、日本語教育の歴史は浅く学習者も欧米諸国語と比較すると少数である。しかし、最近ではアニメやドラマなどの影響で、日本語に関心を持つ若者が増えている。

特徴

日本語教育は日本大使館の開設等の状況を受けて、着実な発展を続けている。また、日本の大学との交流を活性化することで教育の質を高めつつある。

最新動向

 国際交流基金プログラムによるアルメニア人日本語教師の訪日研修や、派遣専門家巡回セミナー等の支援が行われているが、日本人日本語教師の不足、アルメニア人教師の日本語能力の向上といった従来からの問題は未だ解決されていない。他方、近年特に高等教育における日本語教育への関心が高まりと合わせて、日本語学習者は徐々に増加しつつある。
 2014年9月より、エレバン国立大学国際関係学部において第二外国語として日本語のクラスが開講されたほか、ロシア・アルメニア大学付属リツェイ(中・高等部)においても2014年9月より日本語講座が開講されている(但し後者は2017年に閉講)。また、シラク大学付属高等学校においても2015年10月より日本語講座が開講され、2016年4月からはシラク大学へ移して継続されたが,経済的な運営難により2017年3月31日で閉講となっているところ、今後の継続の可能性が模索されている。
 アルメニアでは毎年日本語弁論大会が開催されているが、2015年からは在アルメニア日本国大使館より大使杯が授与されている。さらに、2016年12月から開始された日本語能力試験はエレバンにおいて毎年行われている。
 また、2015年からロシア・アルメニア大学が国際交流基金の「さくらネットワーク」機関として認定されており、これらの日本の支援を通じて、今後一層学習者の増加が期待されている。

教育段階別の状況

初等教育

 (【中等教育】参照のこと)

中等教育

 ロシア・アルメニア大学の付属リツェイで2014年9月より日本語講座が開講された。また、シラク大学付属高等学校においても、2015年10月より日本語講座が開講され、2016年4月からはシラク大学へ移して継続されたが、両校とも2017年に閉講となった。

高等教育

 現在日本語教育を行っている高等教育機関は、ロシア・アルメニア大学(アルメニア人教師3名、日本語教師1名(ボランティア)、日本語学習者約26名)、エレバン国立大学(、アルメニア人教師1名、日本語学習者約48名)である。
 ロシア・アルメニア大学では、筑波大学、山形大学と学生交換協力の協定があり、この制度を利用して日本で学ぶ機会を得る生徒が少しずつ増えている。
 留学に関しては、文科省プログラムを利用して留学するパターンがほとんどである。

学校教育以外

 2009年にNPOとして認定されたアルメニア-日本学術教育文化センター「ひかり」センター(アルメニア人教師4名、日本人教師0名、日本語学習者25名、日本文化学習者(折紙,映画等)15名)、2014年に日本語教育を目的として設立した「いろは」センター(アルメニア人教師4名、日本人教師2名、日本語学習者約56名)が、日本語教育や日本文化紹介などの活動を行っている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 初等・中等教育は4-5-3制。
 アルメニアにおける教育の基準としては,旧ソ連時代からの10年制学校教育制度が維持されていたが、2001年に11年制に、さらに2006年には12年制に移行となった。12学年のうち、第1~4学年が初等教育、第5~9学年が前期中等教育、第10~12学年が後期中等教育にあたる。第10~12学年は高等教育を希望する者が進学する。義務教育課程は第1学年から第9学年までの9年間であったが,2017年以降は第1学年から12学年までの12年間となった。
 高等教育については、多くの高等教育機関では旧ソ連の高等教育システムと同じく5年制の大学教育課程を設けている。しかし、最近では4年間の学部教育課程、さらに2年間の高等専門教育課程を備えた6年制への移行が進みつつある。

教育行政

 初等、中等、高等教育機関のほとんどが教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はアルメニア語である。年配者の間ではロシア語も幅広く通じるが,若年層では英語を理解する者が増えている。

外国語教育

 外国語教育は初等教育において開始される。第2学年よりロシア語(必修)教育が開始され、第3学年及び第5学年で、さらに1言語ずつ学習するが,英語が大部分で、そのほかにドイツ語、フランス語などがある。高等教育での外国語教育は専攻・教育機関により異なり、統一された基準等はない。

外国語の中での日本語の人気

 英語・フランス語・ドイツ語など欧米の言語が人気であり、アジア圏の言語としては中国語の学習者数が最も多いが、日本語の人気も比較的高い。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
 『BASIC KANJI BOOK VOL1、2』加納千恵子ほか(凡人社)
 『毎日の聞取り50日 VOL1、2』宮城幸枝他(凡人社)

中等教育

 『みんなの日本語』(前出)
 『BASIC KANJI BOOK VOL1、2』加納千恵子ほか(前出)
 『毎日の聞取り50日 VOL1、2』宮城幸枝他(前出)

高等教育

 『みんなの日本語』(前出)
 『BASIC KANJI BOOK VOL1、2』加納千恵子ほか(前出)
 『中級における和露・露和通訳』M.A.ミーシナ著(1995)モスクワ、トリヴォーラ出版
 『漢字マスター』シリーズ N5-N1 (2011)、三修社
 『文法スピードマスター』シリーズN5-N1 (2010)(2011)、Jリサーチ出版

学校教育以外

 『みえこさんの日本語』シリーズ(2007-2013年)MIEF(Mie International Exchange Foundation)出版
 『「まるごと」りかい、「まるごと」かつどう』、入門A1(2013年)三修社
 『初級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)
 『BASIC KANJI BOOK VOL1、2』加納千恵子ほか(凡人社)
 『毎日の聞取り50日 VOL1、2』宮城幸枝他(凡人社
 『新日本語の中級会話DVD』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)
 『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)

IT・視聴覚機材

 日本語教育の現場ではIT・視聴覚機材は使用されていない。

教師

資格要件

初等教育

 特に定められていない。

中等教育

 特に定められていない。

高等教育

 特に定められていない。

学校教育以外

 特に定められていない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 存在しない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 エレバン国立大学 - 1名
 ロシア・アルメニア大学 - 1名(学生ボランティア)
 「いろは」センター - 2名
 「ひかり」センター - 0名

現職教師研修プログラム(一覧)

 国際交流基金による派遣専門家巡回セミナー、日本語教師訪日研修がある。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 アルメニア日本語教師会が2012年に結成された。

最新動向

 2016年から毎年、アルメニア日本語教師会の主催で日本語弁論大会及びJLPT(日本語能力試験)が実施。されている。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1992年 エレバン人文大学で日本語専攻開設
2009年 ロシア・アルメニア大学が選択科目として日本語教育を開始
2010年 エレバン国立言語大学で選択科目として日本語教育を開始
2012年 エレバン人文大学が廃校
2013年 アルメニア-日本学術教育文化センター「ひかり」で日本語講座が開講
2014年 エレバン国立大学が第2外国語として日本語教育を開始予定ロシア・アルメニア大学の付属リツェイで日本語講座が開講
ロシア・アルメニア大学の付属リツェイで日本語講座が開講
アルメニア・日本教育・文化交流センター「いろは」で日本語講座が開講
2015年 シラク大学付属高校で日本語講座開設(2016年9月よりシラク大学に移して継続)
2016年 ロシア・アルメニア大学が「さくらネットワーク」機関に認定
2017年 エレバン言語大学及びシラク大学での日本語講座閉講

参考文献一覧

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