モルディブ(2020年度)
日本語教育 国・地域別情報
2018年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数※ |
---|---|---|
2 | 2 | 40 |
教育機関の種別 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 0 | 0.0% |
高等教育 | 20 | 50.0% |
学校教育以外 | 20 | 50.0% |
合計 | 40 | 100% |
(注1) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
1987年にUNDP(国連開発計画)とWTO(世界貿易機関)のプロジェクトにより、首都マレにホテルスクール(当時は高等専門学校。現在のモルディブ国立大学観光学部:Faculty of Hospitality and Tourism Studies, The Maldives National University)が開校し、翌1988年にJICA海外協力隊の日本語教師の派遣が始まった。これにより同ホテルスクールにおいて選択必修課目(第二外国語)として日本語教育が始まり、同時に一般市民を対象とした語学講座も開講された。2013年からはモルディブ国立大学文学部(Faculty of Arts, The Maldives National University)で同講座が開講されている。
背景
モルディブの主要産業は観光業であり,日本からの観光客は毎年約4万人(国別では第8位(2015年))である。また、1985年以来、日本はモルディブにとって最大の二国間援助供与国となっている。
特徴
日本語の学習動機として、日本のアニメやドラマが好きで日本語学習を始めた者が8割を占める。その他の学習動機としては、仕事のため、現地語と言語体系が似ていて勉強しやすい等である。
最新動向
以前は観光業での仕事を得ようとする者の日本語学習熱が高い傾向があったが、近年では日本のアニメやドラマが好きで日本語学習を始める人が多い。よって、日本人観光客の増減に影響は受けず、学習者数は安定している。
教育段階別の状況
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
モルディブ国立大学観光学部(Faculty of Hospitality and Tourism Studies, The Maldives National University)において,日本語教育は選択必修課目の第二外国語(中国語,フランス語,日本語から選択)として実施されている。同学部のディプロマコース(2年間)では,日本語教育は第3学期から始まり、約5か月間(計30時間)勉強する。また、サティフィケートコース(5か月間)でもほぼ同様である。卒業後,ほとんどの学生は観光業に就くため、基礎的な日本語会話に加え,観光業で想定される会話・語彙も勉強している。
学校教育以外
2012年までモルディブ国立大学観光学部(Faculty of Hospitality and Tourism Studies)で開講されていた一般社会人を対象にした夜間日本語クラスは、2013年より文学部(Faculty of Arts)で開講されている。ほとんどの学習者は初級レベルである。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
7-3-2制。
小学校が7年間、中学校が3年間、高等中学校が2年間。2学期制。1学期:1月~6月、2学期:6月~11月。大学(モルディブ国立大学)はマレ市内にあり、分校がアッドゥ、クルドゥフシ、ティナドゥにある(専攻によって半年~2年の課程)。
義務教育は6歳から15歳までの10年間で、無償である。高等中学校に入学するためには、 GCE(General Certificate of Education:教育一般認定上級資格)で一定の評価取得が要求されている。
教育行政
初等、中等教育機関は教育省の管轄下にある。
言語事情
公用語はディべヒ語である。
外国語教育
首都においては、小学校1年生から、課目として英語が設けられており、さらにほかの課目も英語で授業が行われる。ただし、地方の学校では、英語を話せる先生が少ないことから、課目として英語を取り入れてはいるものの、英語による授業は高学年から始めるところもある。
外国語の中での日本語の人気
モルディブ国立大学文学部では、一般社会人向け講座として日本語と中国語が開講されている。観光学部では、選択必須課目として日本語、フランス語、中国語が開講されている(中国語クラスは2014年1月から開始)。日本語はJICA海外協力隊により30年以上継続して行われている。日本語は現地語と言語体系が似ており、他の言語と比べると比較的勉強しやすいという定評があるため、学生数は毎学期安定している。また、働きながら語学の勉強をしたいという一般社会人にも人気がある。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)を基本に、モルディブ人学習者(観光業従事者)に合わせて作成された教科書を使用している。
学校教育以外
教師が作成した教材や『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)等を使用している。
IT・視聴覚機材
モルディブ国立大学では、パソコン、プロジェクター、CDラジカセが利用可能である。DVDで日本文化紹介、CDラジカセにて聴解練習を行っている。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
JICA海外協力隊の日本語教師が派遣されている。
モルディブ人講師は学生数に応じて契約ベース。
学校教育以外
JICA海外協力隊の日本語教師が派遣されている。
モルディブ人講師は学生数に応じて契約ベース。
日本語教師養成機関(プログラム)
なし
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
日本人教師はJICA海外協力隊の日本語教師1名である。日本文化紹介イベント、各種交流イベント、日本語スピーチコンテスト、JLPT関連業務全般、現地人日本語教師への助言などを行っている。
教師研修
特に日本語教師対象の研修はない。現地人日本語教師からの希望があれば、JICA海外協力隊員が行う。
現職教師研修プログラム(一覧)
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
日本語教育関係のネットワークはない。
最新動向
特になし。
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
なし
国際協力機構(JICA)からの派遣 (2019年10月現在)
JICA海外協力隊
モルディブ国立大学文学部 1名
その他からの派遣
なし
日本語教育略史
1987年 | ホテルスクール(現在のモルディブ国立大学観光学部:Faculty of Hospitality and Tourism Studies, The Maldives National University)が開校 |
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1988年 | JICA海外協力隊の日本語教師の派遣開始により、ホテルスクールにおける日本語教育(選択必修課目の第二外国語)開始 一般市民向け語学講座開講 |
2010年 | ダルマバンタ中学校:Dalumabanta Junior High Schoolで希望者のみの課外授業開始 |
2011年 | 高等教育学会が運営するマレ市内の高等教育学校や専門学校が統合し、モルディブ国立大学(国内初の大学)が誕生。モルディブ高等教育短期大学(旧ホテルスクール)はモルディブ国立大学観光学部となる。 |
2013年 | JICA海外協力隊の日本語教師派遣先が観光学部から文学部に変更となる。観光学部では日本語教育(選択必修課目・第二外国語)が引き続き行われており、一般社会人対象の夜間クラスは文学部で開講となる。 |