日本語専門家 派遣先情報・レポート
土日基金文化センター
派遣先機関の情報
- 派遣先機関名称
- 土日基金文化センター
- The Turkish-Japanese Foundation Culture Center
- 派遣先機関の位置付け及び業務内容
- トルコにおける日本文化紹介、文化交流の中心となるよう設立された機関。センター内の多目的ホール、セミナーホールでは各種文化事業が行われる。図書館には1万冊以上の日本語の蔵書・視聴覚教材が揃っており、日本に関する情報収集の場としての役割も果たしている。
専門家は、派遣先機関の一般市民向け日本語講座の授業担当、コース運営の支援、文化行事への参加協力を行う。このほか、トルコ国内の日本語教育機関、日本語教育関係者、日本語学習者に対する支援・協力、日本語能力試験や弁論大会の実施協力、その他国際交流基金プログラムに関する案内等を行い、トルコ全体の日本語教育の発展に努めている。 - 所在地
- Ferit Recai Ertugrul, Cad. No.2 Oran, 06450 Ankara, Turkey
- 国際交流基金からの派遣者数
- 専門家: 1名
- 日本語講座の所属学部、学科名称
- 土日基金文化センター 日本語講座
- 日本語講座の概要
-
沿革 講座(業務)開始年 2000年10月1日 国際交流基金からの派遣開始年 2000年 コース種別 一般市民講座 現地教授スタッフ 常勤3名(うち日本人1名)、非常勤2名(うち日本人0名)、基金派遣専門家1名 学生の履修状況 履修者の内訳 入門(69名)、初級(44名)、中級(15名) 学習の主な動機 日本文化・日本語への興味関心 卒業後の主な進路 一般市民講座のため、進路なし 卒業時の平均的な
日本語能力レベル日本語能力試験N3程度 日本への留学人数
コロナ禍における、日本語講座とプレゼンテーション大会2021
土日基金文化センター
森林 謙
コロナ禍の影響により、私のトルコにおける業務は2021年8月から、日本国内からのリモートとしてスタートしました。その後2022年1月にトルコの首都アンカラにある土日基金文化センター(以下、センター)に赴任し、現在に至っています。
センターは、アンカラ中心部から南へ10キロほど離れたオラン(Oran)という地区に位置し、中心部からバスで1時間ほどです。周囲には大使館やショッピングモールなどがあります。
これまでトルコは訪れたことがなかったのですが、センター周辺の風景や雰囲気はこれまで映像や写真などで見たことのあるトルコのイメージとはかなり違った印象を受けました。センターのあるオラン地区は標高が1,200メートルほどで、周囲には山や谷が広がっています。アンカラ中心部に雪がなくても、オラン地区だけは文字通り雪国の様相となります。
ここでの専門家の業務は、勤務先となるセンターの日本語講座の担当、そしてトルコ全体のアドバイザー的役割、その他、日本語弁論大会や日本語能力試験実施、行事・イベント等に幅広く関わります。
●土日基金文化センター日本語講座
2022年冬学期は、「入門」から「中級」まで8レベル11クラスで128名(高校生〜社会人)が日本語を学んでいます。授業形式は2021年秋学期から基本的にオンラインから対面式に戻っています。その他、子ども日本語クラス(10歳から12歳まで対象)、折り紙クラスもあります。
昨今、日本語教育に限らず授業における「オンライン」と「対面」をめぐる意見や論考をよく目にしますが、担当クラスの受講生の間では、クラス活動の進め方や内容に関してはどちらもいいという意見が最も多かったです。「どちらがいいか?」については、ネット環境、通学の困難さや時間などの利便性を含め、やはり個人の生活環境によるところが非常に大きく、学習の目的や内容ではないということに尽きるとあらためて実感しています。
ここには、土・日曜日という休日にもかかわらず日本語講座のために、バスを乗り継いで2時間もかけて通っている受講生も珍しくありません。また、何気ないやりとりや成果物からも、個々の受講生の日常や人生にとって日本・日本語がいかに大きな存在となっているか、といったことを感じます。
「オンライン」にせよ「対面」にせよ、それぞれの特性と違いを踏まえた上で、今後も「オンライン」か「対面」かを乗り越えた、「参加してよかった!」という実感のある場としてのクラス活動デザインを目指していきたいと考えています。
日本語講座の受講生
●アンカラプレゼンテーション大会2021
2021年12月12日、「アンカラプレゼンテーション大会」(以下、プレゼン大会)が実施されました。
(https://www.youtube.com/watch?v=ev1O5IDtadQ)
(コロナ禍により、2020年度から、従来の弁論大会からオンラインによるプレゼン大会となっています。)
このようなイベントの意義としては、出場者の日本語表現の共有の場であったり日本語学習の成果や課題を再確認したりするなどがあるかと思いますが、今回は「日本語話者がトルコ社会を知る機会」と「トルコの日本語学習者が自文化であるトルコ社会について再考する機会」にしたいと考え、A、B、それぞれの課題テーマを設定しました。後日、プレゼン大会を視聴したトルコの方々から、「発表内容がバラエティに富んでいた」、「トルコについての発見があった」という声がありました。
Aグループ(初級程度)「トルコに来たら絶対にすべきこと!」
- 「歴史のある町、ブルサ」
- 「トルコでしか見られない面白いトルコ」
- 「トルコのおいしい朝ご飯」
- 「チューリップの花見」
- 「トルコのバクラヴァ」
- 「トルコ料理 – ぜひ食べるべき料理」
- 「トルコにもある温泉文化:ハマム」
Bグループ(中級以上)「日本でバズってほしい、トルコの〇〇!」
- 「トルコのユニークなデザート:クナーファ」
- 「トルコ人のテキトーさ」
- 「トルコ人の独特な動物愛:ボジ」
- 「同じヨーグルト別の味」
- 「アスクダ」
- 「トルコの野良ちゃん達」
- 「かごが結ぶ温かな社会」
各グループの発表タイトルからは、トルコ社会の多様性や価値観が発表に反映されていることが伝わってくるかと思います。ご興味のある方は是非動画もご覧ください。特に、人と野良犬や野良猫との関係性、そして、「アスクダ」という互助システムは日本社会にとっても示唆が得られる視点のはずです。
ほかにもトルコではイズミルやイスタンブールなどでコンテストが開催されていますので、今後機会があればご紹介したいと思います。
アンカラプレゼンテーション大会2021