日本語専門家 派遣先情報・レポート
ケルン日本文化会館

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ケルン日本文化会館
The Japan Cultural Institute in Cologne
派遣先機関の位置付け及び業務内容
ケルン日本文化会館は1969年開館、日本語講座は翌年1970年に開講した。主にドイツ語圏における国際交流基金の拠点として、文化芸術交流、海外における日本語教育、日本研究・知的交流を3つの柱として様々な事業を実施している。
日本語教育支援として、各種講座(JF日本語講座、入門体験、文化体験、会話クラブ等)、教師支援(教師会支援、研修会の開催)、日本語学習奨励(ポップカルチャーイベント等へのブース出展)、アドバイザー業務(ネットワーク会議や日本語教育相談、情報収集)を行っている。
所在地
Universitätsstraße 98, 50674 Köln, Bundesrepublik Deutschland (Germany)
国際交流基金からの派遣者数
上級専門家:1名 指導助手:1名
国際交流基金からの派遣開始年
1985年

コロナ禍における日本語教育支援

ケルン日本文化会館
東健太郎

新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を奮っていた日本を脱出するような形でケルンに赴任して、早いもので半年が経ちました。赴任当時は感染状況が落ち着いていたケルンでしたが、2021年の年末にはオミクロン株の感染が急拡大し、行動制限が続いています。2022年3月から段階的に制限が解除されていく予定ですが、まだまだ予断を許さない状況が続きそうです。このような状況下で、日本語教育支援事業をどのように実施しているのかをレポートします。

日本語講座

当館の日本語講座も他の教育機関と同じく、コロナ禍ではオンライン化を余儀なくされました。これまでは当館で開講していた日本語講座を2020年4月よりオンライン化し、授業は全てオンライン会議システムを用いて実施しています。オンライン化にともない、受講生と実際に会えない寂しさはありますが、ケルンから離れた場所に住む日本語学習者が受講できるようになったり、これまでよりも出席率が上がったりする等、メリットも見られます。また、毎月1回、当館で実施していた「日本語しゃべりーれん」もオンライン化したことで、参加者の幅が広がり、世界各地に住む日本人ボランティアの方々と話す機会を持てるようになりました。

日本語教師研修会

日本語教師研修会もオンライン化して開催しています。2021年10月に開催したケルン日本語教師研修会では、広く参加者を募集したところ、34か国から251名の申込みがあり、対面研修では実現できない大規模なものとなりました。2022年1月にベルリン日独センターと共催した日本語教育オンラインセミナーでは、日本から会議・放送通訳者の新崎隆子先生を迎え、講演とワークショップを実施しました。日本語教育通信の記事を深掘りする内容だったこともあり、受付開始後、すぐに定員に達しました。言わずもがなではありますが、オンライン化することによって、講師にも参加者にも、時間と距離を越えて、どこからでも参加してもらえるようになりました。

先生の写真
オンラインセミナー

セミナーやワークショップだけでなく、2021年度のレポートでも報告した「まるごとオンラインサロン」のように、教師同士が気軽にかつ気楽に参加できるオンラインサロンも引き続き開催しています。サロンでは、日ごろの『まるごと 日本のことばと文化』を使った授業の不安や悩み、成功体験等を共有し合っています。当館に来るのは、時間的・距離的に難しいという先生方からも、オンラインなら気軽に参加できると好評です。

教師研修ではありませんが、2022年2月に開催した「第2回 オンラインフォーラム 複言語ファミリーにおける日本語学習」では、フォーラムの内容に合わせて、主にドイツ、スイス、オーストリア在住の日本にルーツをもつ子どもの保護者を対象として開催しました。教師研修とは異なる雰囲気の中、継承語に関心のある複言語ファミリーのみなさんが集まって交流できる場を提供することができ、フォーラムは非常に盛り上がりました。

日本語教育に関する情報収集

日本語講座や教師研修会のように当館から発信するだけでなく、ドイツ国内及び近隣国の教師会の先生方から現地の日本語教育事情に関する情報を収集することも大切な事業です。しかし、コロナ禍では直接お会いしてお話をうかがう貴重な機会が激減してしまいました。そこで着任のご挨拶も兼ねて、オンラインミーティングの時間を設けてもらいました。ミーティングでは、各国の日本語教育事情や各教師会で取り組まれていること、そして課題等々、貴重なお話をうかがう機会が得られました。遠方の先生方ともお話しできる点で、オンラインは非常に便利ではありますが、やはり実際の対面に勝るものはありません。2022年3月にハイブリッド開催された、ドイツ語圏大学日本語教育研究会のシンポジウムで、初めて対面で先生方にお会いすることができたのですが、いつもオンラインでお話ししていた先生とお互いに「はじめまして」とはにかみながら挨拶を交わし、時間を共有できたことは、非常に貴重な経験となりました。

今後の事業

2022年4月からは、新型コロナウイルスの感染状況や制限措置に応じて、対面形式での事業を徐々に増やしていく予定です。単にコロナ禍前の状態に戻すということではなく、オンライン化で得たよさも残しつつ、新たな日本語教育支援の形を模索していきたいと考えています。

ケルン日本文化会館日本語チーム職員の集合写真
ケルン日本文化会館 日本語チーム

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