世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)日本人との交流会で、生活と文化もまるごと!

ラオス日本センター
鈴木 千晶

ラオス日本センター(以下LJI)のJF日本語講座には、高校生から社会人までいろいろな背景を持つ学生たちが日本語を学びに来ています。

学生たちの日本語を学ぶ目的も「日本のアニメが好き!」「日本の企業で働くのが目的」「日本に留学したい」など様々ですが、どの学生にも共通しているのは「もっと日本人と話してみたい!」という熱い想い。とは言っても残念ながらラオスでの日常生活では日本語を使う機会はほとんどないのが現実です。そんな状況を打破するため、LJIでは毎学期に一度ラオス在住の日本人を招いて、各クラスでいろいろな交流会やイベントを行っています。学生にとっては学んだ日本語を使ってネイティブの方々と話す貴重なチャンス。交流会当日はもちろんのこと、準備にも力が入ります。

ラオスと日本の夏を体験

つい先日おこなったのは、季節についての紹介と体験をする交流会。ちょうどクラスでは教科書『まるごと 日本のことばと文化』の初級1 A2で「きせつとてんき」を学習中です。交流会までにクラスの中で、ラオスや日本の季節についてどんな内容を紹介するか、みんなで話し合い準備をします。スライドなどの資料を作るやる気満々の学生も! ちょうど今学んでいることがたくさん使えますから、みんなはりきって取り組んでいます。交流会当日はグループに分かれて、ラオスと日本の季節の違いや共通点を日本の方々と話し合いました。最初は少し緊張していた学生たちですが、一生懸命説明しているうちにどんどん盛り上がってきて、最後は時間が足りなくなってしまうほど! また、紹介や発表の後は体験をしてみよう、ということで、みんなで流しそうめんとさとうきびジュースを楽しみました。ラオスと日本の夏の風物詩を実際に体験することもできて、良い機会になったようです。

1人の女性はラオスと日本の季節の行事を紹介している写真
ラオスと日本の季節の行事を紹介

市内観光で日本の方をご案内

交流会の中には「市内観光」もあります。学生がガイドになってビエンチャンの有名な観光スポットを案内するという内容です。この交流会は在住日本人にも大人気。大がかりな交流会なので準備も大変なのですが、役割分担を決めたり歴史を調べたり…、みんなで協力して準備をしていきます。交流会当日はもちろん思ったようにいかないこともあるのですが、それも学生にとっては大事な経験ですよね。この交流会での経験から、日本語を使うガイドになりたいと思う学生もいて、どうすればうまく伝えられるのか、どのようにお互いを理解できるのか、肌で感じられる良い機会になっています。

学生がビエンチャンの有名な観光スポットを案内している写真
ガイドになったつもりで案内します

学期に一度のこの交流会は、学んだ日本語を使って日本人と交流できる良いチャンス。学生の日本語学習のモチベーションも上がります。今後もことばはもちろんのこと、日本の生活や文化も「まるごと」感じられる講座になるようコース作りをしていきたいと思っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Laos-Japan Human Resource Development Institute
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス日本センターは日本の政府開発援助により設立され、現在は国際協力機構(JICA)と国際交流基金の協力のもとで、日本とラオス両国によって運営されている。ビジネス経営の知識や日本語を学ぶ場として、市場経済化促進のための人材育成を行うとともに、様々な文化交流事業を実施することにより、日本とラオスの交流・相互理解促進を目指している。2012年10月よりJF講座が開始され、JF日本語教育スタンダードに基づいた日本語教育の普及、及び、教師育成や教育機関ネットワーク促進の拠点としての役割を担っている。
所在地 Vientiane, Laos
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
調整員:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2005年
What We Do事業内容を知る