日本語専門家 派遣先情報・レポート
ソフィア大学

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ソフィア「聖クリメント・オフリドスキ」大学
Sofia University "St. Kliment Ohridski"
派遣先機関の位置付け及び業務内容
専門家は派遣先機関における日本語教授、及び派遣先国全体の日本語教育の普及・発展を目指した活動を行う。派遣先機関であるソフィア「聖クリメント・オフリドスキ」大学古典及び現代言語学部日本学科はブルガリアを代表する日本語教育機関である。同学科で専門家は週に10時間程度の授業を担当する他、現地講師からの照会・相談に対して情報提供を行うなどの支援を行う。また、ブルガリア全体の日本語教育の普及・発展を目指して、情報収集・調査に励み、日本語教育ネットワークの活性化に協力する。
所在地
CIEK, 79 Todor Alexandrov Blvd, Sofia 1303, Bulgaria
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
日本語講座の概要
古典及び現代言語学部、日本学科
国際交流基金からの派遣開始年
日本語講座の概要

日本語専門家派遣の終了を迎えて

ソフィア「聖クリメント・オフリドスキ」大学
髙橋 知也

国際交流基金(以下、JF)によるソフィア「聖クリメント・オフリドスキ」大学(以下、ソフィア大学)に対する日本語専門家(以下、専門家)の派遣は終了しました。無事に2年間の任期を全うして日本に戻り、新型コロナウイルス感染症の水際対策に伴う7日間の待機期間中に本稿を執筆しています。そこで、後任の専門家が派遣されないことを念頭に置きつつ、最終年度にどのような活動を実施したかについてご報告します。

主要日本語教育機関への訪問

専門家は派遣先機関(ブルガリアの場合、ソフィア大学)に所属しています。その一方で、任国全体の日本語教育支援を視野に入れて活動することも期待されています。そのようなわけで、派遣先機関以外の日本語教育機関を実際に訪問して日本語教師や学習者の置かれている最新の状況を把握し、今後の支援のための方策について検討する際に参照できるような情報を得ておくことが重要であると派遣当初から思っていました。

ところが、2020年3月の赴任と同時のコロナ禍のせいで、各機関を直接訪問するのは難しい時期が続きました。その後、2021年の2月に滞在資格を更新するために帰国し、7月にJFの許可が下りて再渡航の後に予防接種を受け、免疫ができるのを待ちましたが、そのうちに今度はデルタ株の感染が拡大してしまい、やはり機関訪問には適さない時期が続きました。しかし、粘り強く各機関と連絡を取り、機会を窺った結果、2022年の1月から2月にかけて、長年に渡り日本語を教えている3つの初等中等教育機関、また、ソフィア大学と並ぶ「さくらネットワーク」機関であるヴェリコ・タルノヴォ大学を訪ね、最新の状況を教えていただくことができました。

各機関への訪問に際しては、できるかぎり実際の授業を見学させていただき、また、先生方と語らい、日本語教育の振興策について考えました。平時であれば赴任直後に各機関への訪問を済ませ、考えたアイデアを実行に移すところまで任期中にできたはずでしたが、今回の訪問は離任の直前でしたので、自分の考えたアイデアをそのまま実行に移すことはできません。それでも、オンラインでの指導が導入されるようになってからの最新の状況やこれまでの専門家によって触れられていなかった各機関の沿革などを伺うことができたのは事実ですので、JFの関係者が参照できるように報告書を残すことがブルガリアの日本語教育に対する貢献につながると考えています。

ヴェリコ・タルノヴォ大学のキャンパスの写真
丘の上にあるヴェリコ・タルノヴォ大学のキャンパス

今後の日本語教育への展望

離任直前に訪ねた各機関と異なり、ソフィア大学はこれまでずっとJFの専門家を受け入れてきました。後任がいない立場であるため、ソフィア大学での業務においては、どんな場合でも側面からの支援をするということを心がけました。コロナ禍の2年間でしたが、ソフィア大学では歴代の専門家の主導によって始められた行事が日本学科の伝統として定着している一方で、常に新たな挑戦を恐れない気風が溢れていることに感銘を受けました。先生方は専門性が高く、チャレンジ精神に富んでいます。これまでの伝統を守りながらも、ソフィア大学の日本学科はこの先ずっと新たな挑戦を続けていくことが期待できますし、ブルガリアの日本語教育界を牽引していくに違いないと確信しています。

ソフィア大学の本部棟の写真
街の中心にあるソフィア大学の本部棟

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