企画部総合戦略課 小林 美帆子の写真

“言葉を通して文化背景を学ぶことは、私たちの五感も豊かにしてくれる”

キャリアパス
アニメや映画等映像ソフト制作・宣伝の会社→基金へ転職
文化事業部・欧州中東アフリカチーム(1年8か月)→総務部・人事課(1年2か月)→映像事業部(4か月)→パリ日本文化会館(1年3か月)→企画部・総合戦略課

Q1.国際交流基金への就職を志した理由は?

海外で働くことに漠然と憧れを抱き、学生時代にフランスへ1年間留学。楽しい毎日でしたが、外国で暮らしていくことの難しさも身に染みて分かり、就職活動では海外勤務にはこだわらず、幅広い業種を受けました。幸運にも、好きな映画に関わる仕事に就くことができたので、当時は転職をするとは想像もしていませんでした。

就職してから数年経ち、留学時代の友人たちと再会したことがきっかけとなり、やっぱり海外で働いてみたいという希望を持つようになりました。前職でも映画というメディアを通して、広く社会と繋がっているという感覚を得られる瞬間がありましたが、国際交流基金のことを知るなかで、「ここなら人の顔が見える文化交流に携われるかもしれない」という印象を受け、転職に至りました。

パリ郊外の高校での日本語入門ワークショップにて。実施責任者として冒頭の挨拶の写真
パリ郊外の高校での日本語入門ワークショップにて。実施責任者として冒頭の挨拶。

Q2.現在はどんな仕事をしていますか?

限られた時間の中で、何を伝えられるか。冒頭挨拶は新しい出会いにワクワクしながらも緊張する場面の写真
限られた時間の中で、何を伝えられるか。冒頭挨拶は新しい出会いにワクワクしながらも緊張する場面です。

独立行政法人として国際交流基金が一つの年度に行った事業を外務大臣に報告を行い、法定の評価を受けるのですが、その資料となる「業務実績報告」の作成が最も重要な業務です。また、複数の省庁や関連団体が横断的に行う施策に関しては、基金の取組みを説明する資料の作成を随時行っています。

Q3.基金に転職したからこそ感じる、基金で働く面白さと難しさとは?

長期的な視野を持って仕事に取り組むことの責任の重さとやりがいを感じています。例えば、パリ赴任中に日本語教育事業を担当していた時のこと。フランスでは中等教育段階での日本語学習のニーズが高まりつつも、正規教員資格に関しては十分な制度が整っていませんでした。歴代の事業担当者が、現地フランスの教育機関や教師の皆さんと一緒に、仏教育省へ働きかけを続けていましたが、状況が改善されないまま数年間が過ぎていました。

しかし、私がパリに赴任してから半年ほど経った頃に転機が訪れます。パリ市の教育委員会が本格的に日本語学習に関するニーズ調査を行い、公立校での日本語クラス新設の必要性が認められたため、教員育成の観点からパリ日本文化会館へ相談が寄せられたのです。私自身は日本語教育の専門家でもなく、フランスの中等教育の制度も熟知しているとは言えませんでした。

パリ日本文化会館の同僚たちとの写真
パリ日本文化会館の同僚たちと。

それでも、これまでのバトンを引き継いで、国際交流基金として出来る最良の提案をしなければならない立場となり、まずその責任の重さを感じました。一方でワクワクする気持ちもあり、日本語教育を専門とする同僚と一緒に頭をフル回転させて提案を考えました。

これを契機に、いくつかのステップがあり、最終的には2016年のG7教育大臣会合の際に行われた日仏大臣の二国間会談にて、フランスの中等教育における正規教員採用試験(カペス・エクステルヌ)日本語部門の新設が決定されました。

パリ赴任当初は制度整備の重要性を理解しつつも、決して動かすことの出来ない大きな壁のように感じていたのですが、長い時間をかけて多くの人の熱意と知恵が積み重なり、変化を起こすことが出来るということを、身をもって知りました。個人では決して味わうことができない大きな達成感でした。

Q4.これまでの基金のキャリアの中で、忘れられない仕事は?

仕事を通して出会えた、忘れられない笑顔についてお話したいと思います。パリ郊外の高校で日本語入門クラスを行った時のことです。日本には漠然と興味があるけれど、日本語は全く勉強をしたことがないという高校生向けに、お弁当を題材に簡単な日常表現を紹介して、最後に参加者全員でお弁当を食べるというプログラムを行いました。

隣に座っていた生徒さんがおにぎりを食べながら「なんて美味しいの!」と言った時の表情が今でも忘れられません。単純にその味が気に入ったとか、お腹が空いていたという理由ではなくて、新たな世界を発見した喜びに満ちた笑顔に見えたのです。言葉を通して文化背景を学ぶことは、私たちの五感も豊かにしてくれるのではないかと、言語学習の可能性を感じた一コマでした。

Q5.今後のビジョンは?

本部にて。日本語教師を目指すフランスの学生を迎えての写真
本部にて。日本語教師を目指すフランスの学生を迎えて。

“LIFE BEGINS WHEN YOU STEP OUT OF YOUR COMFORT ZONE”

同時期に海外赴任していた同僚から教えてもらった言葉なのですが、ここ数年を振り返ってみるとまさにそうだったなあと実感します。なかなか具体的な目標を描きづらい、先の見えない状況に対して焦りを抱くこともありますが、そんな時はあえていつもと違う選択をして、ちょっと背伸びをしてみることを心がけています。

また、チャレンジの先には、不思議と自分の支えになってくれる人との出会いがあるように思います。本当に多くの方に助けて頂きながらここまで何とかやってこられました。これからは恩返しの気持ちを込めて、自分自身が周囲のチャレンジを後押しする存在になっていきたいです。

就活生の皆さんへ 一言メッセージ

就職活動も、そして働き始めてからもこれという正解はないような気がします。思い通りにならないこともありますが、迷った時は自分の中の「これ好きだな」「いいな」という気持ちに素直になれたら、きっと納得する最良の道が拓けると思います。