
日本語国際センターでは、9月3日(水曜日)、「東南アジア教育行政関係者アドボカシー招へい事業」により来日したASEAN5か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の教育行政関係者をスピーカーに迎えて、センター設立25周年記念行事第二弾にあたるシンポジウムを開催しました(登壇者とプログラム詳細は、こちらをご覧ください)。
21世紀を担うグローバル人材の育成が注目される今日、OECDの「キーコンピテンシー」や「21世紀型スキル」といった新しい資質・能力概念を踏まえながら、各国では教育政策レベルでどのような取組みが行われているのか、何を目標に掲げ、どのような課題に直面しているのか、特に中等教育における外国語教育に焦点を当て、意見交換や考察を行いました。
まず、シンポジウム第一部では、「各国の中等教育における外国語教育」というテーマで、ASEAN5か国における教育政策についてのプレゼンテーションが行われました。
各国の教育政策について語る登壇者たち。左から、エファリナヤンティ氏(インドネシア)、ダヤン・ノラシキン・ビンティ・ ハルン氏(マレーシア)、アナ・マリー・O・ヘルナンデス氏(フィリピン)、ウサニー・ワタナパン氏(タイ)、ヴ・ティ・ルア氏(ベトナム)。
現行の教育政策や教育制度、カリキュラム構成、これからの教育施策や改革が目指すもの、「21世紀型スキル」を視野に入れた教育のあり方等を紹介するとともに、「21世紀型スキル」として重要視される能力について意見を述べました。また、同スキルを視野に入れた教育政策を展開するためには教師側の専門性の向上も不可欠であり、教師の養成や研修の果たす役割が重要であるという認識が示されました。
モデレーターを務める當作教授(左)。
知識の獲得を重視してきたアジア各国における教育理念に対して、グローバル社会での実践に基づき生まれた「21世紀型スキル」をどのように取り入れ調和させてゆくのか、政策と教育現場における理想と現実の差異にどのように対応すべきか、外国語学習のモチベーションや重要性、STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学)や英語教育が重視される中での英語以外の外国語教育の意味づけとあり方、日本語学習・日本語教育をめぐる状況などについて、意見が交わされました。今後、日本語学習のモチベーションを高め学習者を増やしていくためには、長期に渡る訪日研修の提供、学習者はもとより学校関係者に対する日本語習得による利点のアピール等、日本からの働きかけも不可欠であろうという意見が出されました。そして、国際交流基金アジアセンターが実施する「日本語パートナーズ派遣」に対する期待が示されると同時に、国際交流基金による海外の日本語教育支援について、教師の訪日研修や日本語教授学位取得のための奨学金の提供、スタンダードやアセスメント策定における継続的支援、教材支援、などが挙げられました。
ASEAN5か国の教育行政関係者グループ。
最後に、国際交流基金が各国のニーズに合わせた支援を継続し、海外での日本語教育の重要性を日本国内でも強くアピールしていく必要性があるとの提言がされ、日本におけるASEAN諸国言語習得の推進をも視野に相互交流を益々深めていくことがASEAN諸国と日本にとって重要であることが述べられました。
日本語教師や研究者をはじめとする日本語教育関係者、留学・教育事業関係者など約140名が参加し、盛況のうちに閉会の運びとなりました。
国際交流基金日本語国際センター
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