日米センターは、本年設立30周年を迎えました。
1991年の開設以来、「日米両国の共同による世界への貢献」と「日米関係の緊密化」を目的に、日米の様々な分野の専門家や市民による対話と交流を通じて、日米協力によるグローバルな課題の解決と日米の相互理解の促進に取り組んでまいりました。

この30年を通じて、日米関係は、政治・経済・文化の各分野において改善し、近年ではかつてない良好な関係と言われる一方、国際社会では、紛争の勃発、社会的分断の深刻化、地球温暖化の進展に伴う環境問題の悪化や自然災害の拡大といった課題が山積しています。
特に、昨年来の新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックによって、感染症対策そのものの重要性に加え、社会の分断や格差の拡大などの社会的な問題が一層明らかになっています。

30周年を契機として、こうした国際情勢の変化も踏まえながら、今後の日米の協力関係をより緊密なものにしていくため、事業方針の見直しを行いました。
パンデミックを経験した新たな時代において、日米両国が国際的責任を分かち合い、世界に貢献し、世界的視野に基づく協力を推進していくために取り組むべき3つのテーマ領域を設定しました。

  • 「レジリエントな社会の構築」

    自然災害、パンデミック、環境汚染などグローバルな脅威を克服する取り組み
    (防災、災害復興、パンデミック・感染症対策、公衆衛生、経済復興、環境問題、コミュニティづくり、など)

  • 「社会的包摂の実現」

    豊かで活力のある社会の発展に向けた取り組み、分断を解消する取り組み
    (地方活性化、都市問題、少子高齢化、女性の活躍、子供・家族、メンタルヘルス、アートと社会、など)

  • 「科学技術で豊かな社会の創造」

    科学技術の進展による文化的・社会的な変容をより深く理解し、活かしていく取り組み
    AI、ロボット、生命倫理、ニューメディア、新しいコミュニケーション、生き方・働き方、教育、など)

CGPが取り組む新たな事業テーマを掲載した画像 世界の共通課題に取り組む日米間の対話や連携を支援 詳細は前出した本文中に掲載

これらの課題の解決には幅広い分野における専門家の知見や経験が必要であるとの認識から、これまでの「知的交流」「市民・草の根交流」の垣根を超え、学者・研究者、NGOなどの市民セクター、行政やビジネス関係者など、多様な参加者の協力が不可欠と考えています。
また人種、性別、地理的な多様性や、日米に加え第三国からの参加、東京・ワシントンD.C.のみならず、地方への展開も視野に入れた取り組みを重視します。

今後は日米センターが有する各種のスキームにおいて、上記の方針に沿った取り組みを展開してまいります。また、「日米グローバル・パートナシップ強化助成」として新しい公募助成プログラムも開始します。
これらの活動を通じて、日米が共同で、世界の共通課題への貢献を担う人材を育成していきたいと考えています。