時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
当センター事業に対しましては、平素より温かいご指導とご協力を賜り誠にありがとうございます。

さて、国際交流基金日米センター(The Japan Foundation Center for Global Partnership, CGP)は、2022年4月に「国際対話部(Global Partnerships Department)」として、新たなスタートを切ることとなりました。

ご高承のとおり、日米センターは1991年に活動を開始いたしました。
国際社会が冷戦後の新たな世界秩序を模索する中、日米関係は貿易摩擦や反米・反日感情の高まりという難しい局面を迎えていました。そうした時代背景のもと、国際社会と日米関係への貢献を目指し、「日米両国の共同による世界への貢献」と「日米関係の緊密化」を目的に掲げ、日米のさまざまな分野の専門家や市民による対話と交流を通じて、日米協力によるグローバルな課題の解決と日米の相互理解の促進に取り組んでまいりました。

30年を経た現在、日米両国及び両国民の友好協力関係は着実に進展し、日米同盟はかつてないほど緊密なものとなっています。その一方、環境問題や自然災害、地域紛争、社会的分断、そして新型コロナウイルスによるパンデミックなど、国際社会の抱える課題は急速に拡大・深刻化してきました。国や地域を超えた対話と協働の重要性が、これまでにも増して高まっています。

こうした状況を踏まえ、国際交流基金では、日米センターがこれまで取り組んできた協働に基づく課題解決や対話を通じた相互理解の促進を、日米二国間にとどまらない幅広いステークホルダーを巻き込んで展開していくべく、国際対話部を発足させることとなりました。国際対話部には、日中交流センターやアジアセンター等地域ごとのネットワーク強化に取り組んできた部門も合流し、グローバルな事業展開を図ってまいります。

国際対話部が取り組む課題は、世界中の多くの人たちと共通するものですが、その解決のためには、民主主義という価値を共有し、大きな経済力を有する日米両国が、一層重大な役割を果たすことが期待されています。「日米両国の共同による世界への貢献」と「日米関係の緊密化」の重要性は変わることなく、今後は「日米+α」となる地域的な広がりを意識しつつ取り組みを進めることになります。現在日米センターで実施している各種事業を国際対話部にて継続するとともに、30周年を機に昨年設定した新たなテーマ領域「レジリエントな社会の構築」「社会的包摂の実現」「科学技術で豊かな社会の創造」についても、国際対話部の主要なテーマとして取り組みを継続します。

Center for Global PartnershipからGlobal Partnerships Departmentへと、理念やレガシーを引き継ぎながら、フィールドを世界へと拡げ、真の「Global Partnership」の実現を目指してまいる所存です。

これまで30年に渡り、日米センターの運営・事業に対して皆様より頂戴したご支援やご厚情に深く感謝申し上げるとともに、引き続き国際対話部へのご理解とご協力を賜りますよう、略儀ながら書中をもってよろしくお願い申し上げます。

2022年3月吉日

国際交流基金日米センター
所長  柄 博子
職員一同