2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災-2021年3月で10年を迎えました。死者・行方不明者・震災関連死を含めて2万2000人以上の方々が犠牲となり、今でも4万人以上という、多くの方々が避難生活を余儀なくされています。

国際交流基金(JF)は、東日本大震災復興に関する取り組みとして、文化芸術交流、日本研究・知的対話、日本語教育の分野を中心に、様々な事業を展開してきました。日米センターでも、防災や復興をテーマとする助成事業を始め、日米の交流活動を通して震災復興の一助となるべく、取り組んできました。

そのひとつに、津波の犠牲となったテイラー・アンダーソンさん、モンゴメリ・ディクソンさんの二人のアメリカ人JETプログラム参加者の功績を称え、ご遺族や関係者の方々のご協力のもとで、二人の青年が日米交流に託した志を継ぐプロジェクトに支援をいたしました。

オンライン・セミナーシリーズの第4回では、この事業を取り上げ、両大学の関係者に、在りし日のテイラーさん、モンゴメリさんのエピソード、二人が日米交流に懸けた想い、特別助成事業で具体的に実施したプロジェクトの数々、今に至るまで続く交流活動、さらには将来の計画についてインタビューを行い、二人のJET青年の遺志を継ぐ関係者や大学の取組みについてお伝えします 。


テイラー・アンダーソンさん
(米国バージニア州出身、宮城県石巻市勤務)

モンゴメリ・ディクソンさん
(米国アラスカ州出身、岩手県陸前高田市勤務)

※JETプログラム:
語学指導等を行う外国青年招致事業(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、外国青年を招致して地方自治体等で任用し、外国語教育の充実と地域の国際交流の推進を図る事業。地方自治体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下で実施。

開催概要

プログラム

「東日本大震災から10年-JET青年が築いた日米の懸け橋」

  • 第1部:ランドルフ・メーコン・カレッジ
    中村真由美さんへのインタビュー
  • 第2部:アラスカ大学アンカレッジ校
    原田宏子さんへのインタビュー

主催

国際交流基金日米センター

配信方法

オンライン(国際交流基金YouTubeチャンネルにて公開)
日米センターオンライン・セミナーシリーズ 第4回「東日本大震災から10年-JET青年が築いた日米の懸け橋」(Youtube動画ページにリンクします)

言語

日本語

出演者紹介

中村真由美(ランドルフ・メーコン・カレッジ 国際教育部部長 )
神奈川県出身。桜美林大学在学中にカリフォルニア州で1年間の交換留学を経験し、2006年、国際教育学を専門にSIT Graduate Instituteで修士号取得。2006年よりバージニア州のランドルフ・メーコン・カレッジに勤務し、海外の大学との協定締結、学内外の国際化・ダイバーシティの推進、学生・教職員の海外派遣プログラムの企画・運営、及び海外渡航における危機管理全般等に携わっている。

中村真由美氏の写真

原田宏子(アラスカ大学アンカレッジ校 日本語学科主任・教授 兼 モンゴメリ・ディクソン日本言語文化センター長
兵庫県出身。イリノイ大学より比較文学で博士号取得。1998年よりアラスカ大学アンカレッジ校日本語学科にて教鞭を執る他、アラスカ州日本語スピーチコンテストやアラスカ日本語教師会を共同創設。2012年よりアラスカ大学アンカレッジ校日本言語文化センター長も務め、様々な「日本」の発信に尽力。2015年、全米日本語教師会(AATJTeacher Award 受賞。2021年、Pacific Northwest Council for LanguagesよりRay Verzasconi Northwest Postsecondary Language Educator of the Year(大学部門最優秀語学教師)受賞。

原田宏子氏の写真

大学と故人の紹介

ランドルフ・メーコン・カレッジ (Randolph-Macon College) と テイラー・アンダーソンさん
1830年創立、米国首都ワシントンD.C.から電車で1時間半ほど南下したバージニア州アシュランドに位置するリベラルアーツの4年制私立大学。学生数は約1500名。2011年3月の東日本大震災で犠牲となった同大学卒業生のテイラー・アンダーソンさん(当時24歳)は、卒業後の2008年にJETプログラムで外国語指導助手として来日し、亡くなるまでの3年間、宮城県石巻市の子どもたちに英語を教えると共に、地域の人々と交流を深め、文化や言語を越えた相互理解と国際教育の発展に貢献した。テイラーさんのご両親は震災後、娘の両国の架け橋になりたいという遺志を継ぎ、被災地支援を目的とした基金を設立。現在も学校に本を寄贈するなどの活動を続けている。

ランドルフ・メーコン・カレッジのホームページ

ランドルフ・メーコン・カレッジの写真 テイラー・アンダーソン氏の写真

アラスカ大学アンカレッジ校 (University of Alaska Anchorage) と モンゴメリ・ディクソンさん
1954年創立、アラスカ州で最大の都市型総合大学。1万2000名を超える学生が在籍する。同大学卒業生のモンゴメリ・ディクソンさん(当時26歳)もまた、2011年3月の東日本大震災の際、JETプログラムの外国語指導助手として中学校で教えていた。仕事場がある市役所(岩手県陸前高田市)に戻り、建物の外に避難していた時に津波に巻き込まれて亡くなった。子ども向けに無料の英語教室を開き、「モンティ先生」と呼ばれて住民に親しまれていた。将来は日本研究で大学院に進む夢を持っていた。同大学キャンパス内にはモンゴメリさんを追悼して「モンゴメリ・ディクソン日本言語文化センター」が創設され、茶道を愛したモンゴメリさんにちなんで茶室「モンティの間」も設置されている。

アラスカ大学アンカレッジ校の写真 モンゴメリ・ディクソン氏の写真

2020年度実施