令和5年度研修参加者レポート 専門日本語研修(文化・学術専門家)【公募プログラム】

個人的な目標のためのルーティン

コール・アーミテージ(カナダ)

関西国際センターの「専門日本語研修(文化・学術専門家)5か月コース」は現在の研究プロジェクトにも焦点を当てながら、日本語が上達したい人にとって、完璧だと思います。提供されている専門的な活動は「総合日本語」や「発表」のような必修授業と「インタビュー」や「日本理解」のような選択授業の基本的なルーティンを中心に構成されていますから、参加者は個人的な目標を達成するためにスケジュールが作れます。毎週、新しい単語、文法、漢字(漢字授業を選択したら)を紹介してくれて、毎週クイズも宿題もあるので、繰り返して、長期記憶で覚えられます。

一方、このプログラムの一番いい点は自分自身の専門的な目標に向かって日本語力が伸ばせることです。そのために、このプログラムは自分が図書館や他のところから集めた資料を先生と読むという個別授業もあります。最初期から直接資料を読まなければならないし、その資料から単語を覚えることができるので、最初からこの機会を得るのがおすすめです。発表授業も自分のプロジェクトについての情報を伝える能力を高められ、Q&Aの練習のおかげで、自由にプロジェクトについて話せるようになります。発表授業は研修の最後に最終発表会があって、その後で個人的な成長を感じられたので、非常に満足しました。

私はここ数年、独学で日本語の勉強をするのが難しくて、ときどき日本語の授業をとっていました。研修が始まる時には初中級レベルの日本語力がありましたが、このプログラムの構成とサポートによって、大きな成長を感じて、自分の日本語の能力に自信を得ました。5か月後、日本語で詳しく私のプロジェクトについて話せるようになって、日本語で検索して、基本的な情報も理解できます。同じように成長したくて、本当に頑張る人にこのプログラムはおすすめです。

  • 6名の男女が教室の前の壇上に立って記念写真

  • 女性が教室の前で資料を手に持って7名の参加者にプレゼンテーションをする様子

自分の研究活動を行うための最高のサポート

パブロ カダイア ベイラ(スペイン)

私はヨーロッパと日本の7世紀から17世紀までの歴史と宗教を専攻しています。研究テーマは、日本の熊野古道と高野山、ヨーロッパのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路です。特に、その巡礼の巡礼者の信仰に興味があります。前近代的な巡礼者の信仰を専攻するために、図像学の方法を使用しています。

従って、研究をするために、様々な専門活動をしなければなりません。幸い、国際交流基金関西国際センターはこれらの活動を行うための支援を提供してくれます。専門日本語研修(文化・学術専門家)の5か月のプログラムの間に専門活動集中期間が二回あります。各回は一週間ぐらいです。これは参加者が自分の専門活動ができる期間です。一方では、センターから活動をするために役立つ情報をもらい、他方では経済的支援ももらいます。

杖を手に、リュックを背負ってTシャツ短パン姿で熊野の山門の前に立つパブロ氏

私の場合、行った活動は専門活動集中期間によって違います。研究に図像学の方法を使っているので、前期の期間に熊野古道の中辺路を歩きながら、巡礼路にあった神社、石塔、熊野詣の遺物などの撮影をしたり、熊野に関連する図録を買ったりしました。後期の期間は東京で熊野詣と関係がある博物館を訪問したり、研究テーマが近い教授と面談したり、熊野信仰についての本や論文を集めたりしました。

巡礼の研究で文献の収集は一番大切な目標の一つです。そのため、後期の専門活動集中期間に国会図書館で研究テーマと関係がある文献を探して、コピーをたくさんしました。しかし、関西国際センターの図書館でも貴重な文献が集められます。この図書館では日本学についてあらゆる話題に関する本や雑誌が閲覧できます。欲しい資料が関西国際センターの図書館にない場合、ILLを通じて借りることができます。この簡単な方法によって、短時間でほとんどすべての書籍や論文が収集できます。図書館のスタッフはいつでも研究者に心を込めて支援していらっしゃいます。

日本語で研究するために、しっかりとした日本語の基礎は基本的な要件です。このプログラムで多くの日本語の授業があるわけです。これらの授業は学術的な日本語を中心に設計されています。例えば、文章表現とインタビューの授業はとても役に立ったと考えます。日本語授業の主な目的は参加者が自分の研究テーマについて15分ぐらいでどのように発表するかを教えることです。先生のお陰で、私たち全員はこの最終発表がよくできたと思います。

このプログラムの目的は学術的な日本語を教えるばかりではなくて、日本社会・文化体験もあります。この体験はホームビジット、小学校の訪問などを含みます。これらの活動は特別で、個性的です。普通の、観光的な活動ではなくて、日本社会・文化への深い理解を与えます。

最後に、スタッフと先生のおもてなしの心と継続的な支援を強調したいです。彼らのサポートと指導は私の目標を達成するために必須でした。研究者のニーズに対してこれほど献身的な姿勢を見たことがないとさえ言えます。心より感謝申し上げます。

自撮り棒を使用して、9人の参加者で集合写真

独特な文化体験

ゴー・ザッカリー(シンガポール)

専門日本語研修(文化・学術専門家)5か月コースは、参加者が日本語力を磨き、研究活動を行う貴重な機会です。しかし、それだけではありません。比較的長く5か月間日本で滞在するので、ある程度日本社会がわかるようになります。その上、関西国際センターも日本への理解を深めるため、いくつかの文化体験を用意してくれました。

例えば、研修中、能、狂言、文楽の三つの日本の伝統的な芸能を観劇するチャンスがありました。能と狂言の特徴を紹介する講座を受けた後、金剛能楽堂で能と狂言を観劇しました。文楽のパフォーマンス、そして文楽の技芸員の方との交流の予定がありましたが、残念ながら、新型コロナウイルスの影響を受けて、中止になりました。しかし、私達は別の日に文楽を見に行き、人形の動きと太夫の語りを存分に楽しみました。

展示されている文楽人形をバックに5人の参加者がピースなどをしながら和やかな記念写真

その他、センターの近くに住んでいる日本の家庭にホームビジットをする機会もありました。ご家族と一日を過ごし、楽しくお互いの国の生活を話しました。私が訪れたご家族は、伝統的な家に住んでいたので、そのような家の特徴や必要なメンテナンスについての話はとても面白かったです。しかも、特別にお正月のお節料理を作ってくださり、とても美味しかったです!

寿の箸袋に入った割り箸を手間に置いて、お雑煮、黒豆、卵焼き、高野豆腐などのお節料理