令和5年度研修参加者レポート 専門日本語研修(外交官・公務員)
2023年9月27日~2024年5月24日
ウリベ・ミゲル メキシコ合衆国外務省
令和5年度専門日本語研修(外交官・公務員)が2023年9月27日から2024年5月24日まで国際交流基金関西国際センターで行われました。
今回の研修には、以下の国々から外交官28名、公務員6名の計34名が参加しました。アゼルバイジャン、バングラデシュ、ブルキナファソ、カンボジア、コロンビア、ドミニカ共和国、エジプト、ガボン、ガーナ、グアテマラ、ホンジュラス、インドネシア、イラン、ケニア、キルギス、レソト、リビア、マレーシア、モルディブ、メキシコ、モルドバ、モンゴル、ニカラグア、パキスタン、パレスチナ、サントメ・プリンシペ、ソマリア、タジキスタン、タンザニア、東ティモール、トーゴ、トルコ、ウズベキスタン、ベトナムを代表する参加者たちです。
外務省と国際交流基金が主催するこの研修は、終了後に日本に赴任する外交官や、自国において日本に関連する職務を担う公務員を対象に、日常生活における日本語能力の習得と、日本語を用いた業務を遂行するための基礎を築くためのものです。さらに、日本文化の理解や、さまざまな分野の機関との強固なネットワークの構築を目的とした幅広い活動も提供しています。
この研修について
この研修は、上記の目的を達成するために大きく3つの要素で構成されています。
1.日本語の学習
この研修では、週5日間の集中授業を行い、様々な課題を翌日までに提出しなければなりません。授業は、口頭でのコミュニケーション、文法の学習、ライティングなど、さまざまなスキルに焦点を当てています。主な教材は国際交流基金が作成した教科書ですが、それに加えて、学習プロセスをサポートするための副教材やデジタルツールも数多く提供されます。
このような教授方法と学習ツールなどのおかげで、私たち研修参加者は、日常的な業務において身近な話題に関する基本的な情報交換を行いながら簡単な意思疎通を図ったり、社交的な場での短いコミュニケーションを行ったりするレベルまで到達することができます。

授業で日本語を使ってプレゼンテーション
2.日本文化・社会の理解
ノーベル文学賞を受賞したメキシコの詩人、オクタビオ・パスは、20年以上にわたってメキシコ外務省に勤務し、1951年には東京に赴任した外交官でもありました。彼は、日本はとても美しい国であり、日本人は礼儀正しく立派で温かい人々で、人生と詩や絵画といった芸術が一体となっていると述べています。
私は、メキシコの外交官として、パスのように、日本の文化や社会を理解し、彼の描いた美しい国を自分の目で確かめたいと思っていました。この研修は、日本での生活や文化に関する詳しい講義をはじめ、地元の日本人宅への家庭訪問や小学校訪問などの交流、そして書道や生け花、茶道、和太鼓演奏、武道などの文化体験など、数多くの活動を提供してくれました。それらの活動のおかげで、私たち研修参加者は全員、日本の文化や社会を理解するという目標を達成できました。また、地元の人々との日常的な交流のおかげで、「日本・日本人の心」を真に知ることができたとも実感しています。
それもひとえに、大阪府の皆さま、特に田尻国際クラブや泉佐野地球交流協会、岸和田イングリッシュオープンカフェの皆さまのおかげだと思っています。私たちの日本語能力が伸びただけでなく、私たちの国の情報や伝統を皆さまと共有する中で日本について学ぶこともできました。
そして研修中には、あらかじめ決められた場所へ行く研修旅行と、参加者それぞれが選んだ目的地へ行く自主研修旅行がありました。前者では、東京に2回、広島、神戸、そしてかつての日本の首都である京都と奈良を訪れました。現在の日本や、現在に至るまでの過程をより深く理解するために、日本の歴史や経済、伝統、信仰について学びました。後者は、研修の終盤に行われ、訪日してからの数ヶ月で学んだことすべてを自分の力で実践することが目的でした。特に、興味を持っている場所や土地を探索したことは、自分の力であらゆる状況に対応できることを証明する絶好の機会となりました。研修参加者たちはそれぞれ、別府や福岡、長野、長崎、名古屋、沖縄、関ヶ原などを訪れ、どの場所も魅力的だったようでした。
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広島・平和記念公園 -
書道体験

地元住民との交流イベント
3.ネットワーク形成
研修中は、外務省をはじめ、財務省、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)などの職員の方と会う機会もありました。会合は、日本と自国の相互利益を目指して協力するために、人的な接点をつくり、絆を深めることを目的としています。さらにこの研修は、研修参加者自身が興味のある機関にコンタクトを取り、日本についての知識を深めたり、人脈を増やせたりできるようにサポートしてくれました。-
外務副大臣表敬訪問 -
JETRO職員との会合
最後に、所感として
元・研修参加者として、日本語と日本文化に興味のある方々にこの研修に応募することを強く勧めます。この研修は完成度が高く、入念に設計・実施されており、日本を直に、深く、そして多面的に知ることができるまたとない機会だと思います。私に言わせれば、この研修は、単なる独立した研修ではなく、世界レベルで最も重要なアクターのひとつである日本に関するトピックに長けた専門家への一歩になるものだと思います。
そして、将来よく顔を合わせることになるであろうさまざまな国の外交官や公務員たちとの人脈を繋げるものであり、日本で固く結ばれた研修参加者の絆は、それぞれの国どうしの関係にとっても非常に有益なものとなることでしょう。
令和5年度専門日本語研修(外務員・公務員)の研修参加者34名を代表し、この場をお借りして、この研修が忘れられない経験となりましたことを、主催者の皆さまをはじめ、国際交流基金関西国際センターのスタッフの皆様に感謝申し上げます。皆さん、本当にありがとうございました!
ウリベ・ミゲル
メキシコ合衆国外務省