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国際交流基金の事業

顕彰事業

国際交流基金賞

学術、芸術その他の文化活動を通じて、国際相互理解の増進や国際友好親善の促進に特に顕著な貢献があり、引き続き活躍が期待される個人・団体へ国際交流基金賞を授与しています。49回目となる2022年度は、74件の中から、3件の受賞者を決定しました。
授賞式には、秋篠宮皇嗣同妃両殿下のご臨席を賜りました。

●2022年度国際交流基金賞の受賞者・団体及び授賞理由

ロベール・ルパージュ
(俳優、脚本家、舞台・映画監督)
【カナダ】

ロベール・ルパージュ氏は、自身が俳優としても舞台に立つ演出家、劇作家であり、創作集団としてカナダで創設した「エクス・マキナ」を率い、演劇、オペラ、映画そしてサーカスまでその活動領域は広範囲に及ぶ。特に、最新のテクノロジーを果敢に取り入れた独自の演出は、これまでの常識を覆すものとして世界から高い評価を受けている。

日本との関わりも深く、広島を題材にした作品『HIROSHIMA 太田川七つの流れ』等演出作品の来日公演や、日本人アーティストとのコラボレーションを活発に行う等、日本の舞台芸術界に大きな影響を及ぼし、こうした彼の活動は国際相互理解の促進に貢献している。

ロベール・ルパージュ氏の写真

(c) V. Tony Hauser

社団法人 韓日協会
【韓国】

社団法人韓日協会は日韓両国の友好親善と共同繁栄を促進することを目的として1971年に設立された。その後今日に至るまで50年にわたり、日韓両国間の相互理解の基盤となる日本語教育分野において、青少年層を対象とした未来志向の地道な活動を続けている。韓国の中高生を対象とした日本語学力コンテスト、大学生を対象とした日本語翻訳大会、「李秀賢記念事業」を毎年実施する等、若者の人材発掘・育成事業に関わってきた。また、日本留学&日本就職フェアの実施を通して若者のキャリア支援にも尽力している。

このように長年にわたり青少年を対象とした多様な交流活動を通して日韓両国の相互理解・友好親善並びに人材育成の促進に貢献している。

社団法人 韓日協会の皆さんの写真

グナワン・モハマド(詩人、作家、画家)
【インドネシア】

グナワン・モハマド氏は、同時代のアジアにおける知的巨人の一人であり、ジャーナリストとして、市民活動家として、そして詩人や劇作家として、きわめて多面的な才能を放つインドネシアを代表する知識人である。1971年に週刊誌『テンポ』を発刊し、インドネシアにおける自由と民主主義の重要性を訴え続けた。グナワン氏の活動は広く、詩や戯曲、そして美術等の分野でも多彩な能力を発揮し、文筆活動とともにアート全般の普及にも寄与した。日本との関係では、1997年に国際交流基金と国際文化会館が共催のアジア・リーダーシップ・フェローとして来日、それ以来さまざまな分野で関係が拡大した。アジアを中心とするグローバルな視野での日本・インドネシアの知的交流において貢献している。

グナワン・モハマド氏の写真

国際交流基金地球市民賞

日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディア、情報を交換し、ともに考える先進的で独自性のある活動に取り組む日本国内の団体を顕彰しています。38回目となる2022年度は3団体が選出されました。授賞式及びレセプションには、高円宮妃殿下のご臨席を賜りました。

●2022年度国際交流基金地球市民賞の受賞団体及び授賞理由

特定非営利活動法人 アレッセ高岡
【富山県高岡市】

アレッセ高岡は、海外にルーツのある青少年が、日本とルーツ国の架け橋や地域社会の一員として活躍する人材となるよう、学習支援等の事業を推進している。また、子どもの「支援」という枠組みを超え、地域のすべての人々が互いの違いを理解・尊重し、多様性を真に受けとめる市民となっていくよう、「市民性教育」プログラムを展開。外国人散在地域の課題に向き合い、多文化共生社会の実現を目指し努力を重ね、地域活性化にも貢献している。

アレッセ高岡のイベントの様子の写真

特定非営利活動法人 Peace Culture Village
【広島県広島市】

2020年8月6日、7日の2日間、「コロナ時代の地域の国際文Peace Culture Villageは、世界中から広島を訪れる人々に対し、平和ガイドや対話プログラムを提供している。原爆投下から77年が過ぎ、多くの団体が語り部の高齢化や組織の維持に悩む中、XR(現実世界と仮想世界を融合する技術の総称)を活用し、若い世代も参画する新たな取り組みを展開。コロナ禍には旅行会社と連携し、オンラインツアーや授業を企画してきた。また若者が有償で活動に参画するしくみを構築。これらの取り組みは、今後の国際交流活動のあり方に新たな可能性を示している。

Peace Culture Villageの集合写真

特定非営利活動法人 地域サポートわかさ
【沖縄県那覇市】

地域サポートわかさは、那覇市若狭公民館の民営化に際し、管理運営を担うべく近隣住民が協力して設立されたNPO法人であり、住民自治を尊重し、住民の自発的な活動を後押ししている。また、アーティストと協働するユニークなプログラムや細やかな情報発信にも定評がある。「誰一人取り残さない」をモットーに、地縁組織に属さないひとり親世帯や多様な家庭環境にある子どもたち、在留外国人のセーフティネットの役割も果たす。近年はネパール人住民の活動も支援し、住民同士の相互理解に一役買っている。

地域サポートわかさの活動の様子の写真