日本語試験センター試験運営チーム 沼 勁太朗(ぬま けいたろう)の写真1
キャリアパス
2019年、新卒で国際交流基金(以下、JF)に入職。
総務部拠点管理課を経て、現在、日本語試験センター試験運営チームにて勤務。

Q1.JFに就職を志したきっかけは?

自分にとっての「国際交流」の原体験は何だったかを考えたとき、まず思い出すのは、中高生時代に所属していた部活(陸上部)に、ALT(英語科の外国人指導助手)として赴任したアメリカ人の先生が、ボランティアコーチとして訪れるようになった時のことです。英語を真剣に勉強しようと思い始めたきっかけでもありましたが、異なる文化圏で生まれ育った人が同じ題材(当時は陸上競技のトレーニング)について語るとき、こんなにも違った見方をするのか!と驚く日々を過ごしていたことを、今でも鮮明に覚えています。その後も、進学先や留学先として訪れたアメリカで異文化に触れる機会に多く恵まれましたが、いずれも自分の世界を広げてくれたという確信がありました。似たような体験や経験を提供するような仕事ができればきっとおもしろいのではと感じたのが、JFのような組織への就職を考えたきっかけでした。

Q2.新入職員時代についての思い出について聞かせてください。

入社後、最初に配属されたのはJFの海外事務所の運営管理を担当する部署(総務部拠点管理課)でした。当初はJFが実施する国際交流事業のどれかに携わることになるのだろうかと予想していたのですが、実際に取り組んだ仕事は、海外事務所の経理や人員管理、あるいはトラブルの解決を日本からサポートするというものでした。いわゆる「裏方」ではあるのですが、これらの業務は、JFが日本から海外に職員を駐在させて活動を行う以上避けられないものです。組織として海外に拠点を置いて仕事を行うことの具体的な意義を、多種多様な事例を通して学びました。現在は他の部署に異動していますが、この時の経験は、いまでも自身の助けになっていると感じています。

Q3.現在の仕事について教えてください。

「日本語能力試験」または「JLPT」の名称を聞いたことのある方は少なくないかもしれません。その名のとおり、日本語を母語としない方向けに作られた、日本語の能力を測るための試験で、現在は、この試験を運営する部署(日本語試験センター)に勤務しています。カテゴリーから考えれば日本語教育分野のひとつですが、国際規模で行われる試験を運営するということは、「教室で日本語を教える」という個人の体験や経験に根ざすものとはまた異なり、試験を一度に非常に多くの人に影響を及ぼす「制度」としてみなし、それをどのように継続していくかという視点を要します。とはいえ、一人一人の受験者がいてこそのJLPTであることには変わりありませんので、日々寄せられる意見や提案にも耳を傾けながら、刻一刻と変化する国際情勢にも目配りをしなければなりません。さまざまな要素や制約がある中で、制度を充実させるための「全体最適」を目指すこと、そしてその一方で、その「全体最適」が受験者の方々のためになるのかどうか想像を働かせること――この両者のバランスを追求し続けることの難しさを感じながら仕事をしています。

Q4.若手育成のための制度について。

2023年3月に、研修のためインド・ニューデリーの海外事務所で1か月ほど勤務しました。研修中は、事務所のあるニューデリー市内での業務だけでなく、東側の国境付近の地域への出張に随行する機会もいただき、仕事としてだけでなく、ひとつの経験として貴重な時間を過ごすことができたと感じています。また、生活でも業務のうえでも、日本と同じようには事が進まないのが海外勤務であることを実感し、いずれ巡ってくる赴任に備えて、さまざまな面での「タフさ」を鍛えていかなければ、と思い始めるきっかけにもなりました。

Q5.どんな人にJFをお薦めしたい?

私自身も日々の業務の中で学ぶことばかりの毎日ではありますが、JFで働き始めて5年目を迎えた現在、能動的に、かつ丁寧に物事を進めようとする姿勢を大切にしたいと感じています。

JF職員として働き始める前を思い返すと、「国際交流」の機会はあくまで享受するもの、と無意識に考えていたような気がします。しかしJFは、むしろその機会を提供する立場ですので、何かがやってくることを待っていては何も動きません。ひとつの仕事に取り組むうえでも、自身を取り巻く状況をよく分析して、どのように事を進めていくべきかをよく想像し、その結果を実際の行動に繋げていくという、一連の流れを丁寧に積み上げられるようになれれば、より良い仕事ができるようになるのでは、と考えています。そのような姿勢で仕事に取り組める人と、一緒に仕事がしたいです。

【とある1日のスケジュール】

9時
出勤、メールやその他の連絡状況の確認、またその日のスケジュールの確認
10時
JLPT受験案内・願書の原稿チェック及び推敲作業
11時
JLPT実施運営チームの打ち合わせ(進捗確認・ToDo整理)
12時30分
昼食休憩
14時
JLPT応募受付・採点業務の委託先業者との打ち合わせ資料作成
17時
JLPT実施国の海外事務所・大使館担当者とのオンライン打ち合わせ
18時
前段の打ち合わせの議事録・フォローアップ資料作成
19時30分
退勤
インド現地の教育機関の日本語コース修了式に参加した際の写真
インド現地の教育機関の日本語コース修了式に参加した際の様子。打ち合わせにはない挨拶とJF事業の説明を突然依頼されました。インドではよくあることのようです。
巡回展用資料の輸送前のチェック時の写真
巡回展用資料の輸送前のチェックの様子。インド現地の業者さん方と、早朝から一日、倉庫に詰めて作業しました。