ワシントン州と日本語教育と私

ガーフィールド・ハイ・スクール
今瀬 千鶴

The Evergreen State

ワシントン州は、西海岸の一番北で、日本の国土の約半分の面積、人口は約670万人、海・湖・山に囲まれた緑豊かな州です。アマゾン社、マイクロソフト社、エクスペディア社などをはじめとするIT産業、ボーイング社などの航空宇宙産業等大企業の本社があり、シアトルは全米で最も急成長している都市の1つです。また、日本人にも馴染みの深いスターバックス発祥の地、シアトル・マリナーズの本拠地としても有名です。
州の半分以上が豊かな自然に囲まれているため、農業や漁業も盛んです。りんごやチェリー、ホップの生産で全米1位、ワイン製造やビール製造で、全米2位にランクインしています。海や湖に囲まれ、年間を通して雨が多いので、水力発電による自然エネルギーの利用に力を入れており、リサイクルや「地産地消」の活動も活発です。オーガニック食材を利用した自然食品店、レストラン、カフェも多くあります。ワシントン州には、エコ・フレンドリーで、地元を大切に考えている人が多いそうです。
日系人や日本人も多く、日本はワシントン州の貿易相手国3位と経済面での関係も深いため、日本語学習者の数は、全米で4位です。日本語補習学校に加え、小・中・高等学校での日本語教育や大学レベルでの日本語研究も比較的盛んに行われています。

ガーフィールド高校「Go Bulldogs!

ガーフィールド高校は、学生数約1,700名、教師数約80名の公立高校です。生徒は、白人40%、アフリカ系26%、アジア系/その他太平洋諸島18%、ヒスパニック系8%、その他8%と多種多様です。APクラスが充実しており、大学進学を希望する生徒が多い一方で、英語が母国語でない生徒や特別指導が必要な学生も多くいます。そのため、生徒の学力や学習スタイル、特性に合わせた指導に力を入れています。また、人種やジェンダー問題、貧困などのソーシャル・ジャスティス問題に対して関心の高い教師が多く、これらの面で生徒へ対するサポートも手厚いです。このような考え方は、日本語のクラスにも反映されています。 ガーフィールド高校で、外国語は日本語、スペイン語、フランス語、ラテン語から選択することができ、現在約160名の生徒が、日本語レベル1・2・3・APを履修しています。私がアシスタントティーチャーとして主に担当したのは、日本文化の発表です。日本の伝統文化、ポップカルチャー、日本社会と習慣、テクノロジー等、毎週1つのテーマについて選び、文化発表をしました。発表はLTとともに行い、「理解可能なインプット」と「アメリカと日本両方の文化、価値観や考え方を生徒たちに比較させ、考えさせること」の2つを大切にして行っています。

学校外での活動

日本語授業以外の他に、下記の3つの活動を行いました。

  1. 1.中学・高校日本語イマージョンキャンプ
    毎年1回、ワシントン州の中学生・高校生対象に、日本語イマージョンキャンプが実施されています。キャンプは、日本料理、琴、和太鼓、習字、お花などの文化体験授業と日本語による運動会で構成されています。ワシントン州教師会の一員として準備の段階から携わりました。派遣先以外の学校の先生方や学生と接することで、今後の授業に参考となるアイディアを多く得ることできました。
  2. 2.日本語スキット・スピーチコンテスト
    ワシントン州の高校生を対象に、日本語スキット・スピーチコンテストが毎年実施されています。コンテスト運営委員として、当日のコンテスト運営の他、応募者の管理などに携わりました。レベル1~4、ヘリテージ部門があり、自由テーマでスキットやスピーチが発表され、日本語を学ぶ生徒の熱い想いを感じることができました。
  3. 3.JETプログラム参加者への日本語レッスン
    今年58名が、JETプログラム参加者として、シアトルから日本へ出発しました。在シアトル日本国総領事館主催の事前研修で、日本語レッスンを担当しました。自分と同様にこれから日本とアメリカの架け橋として外国語授業のアシスタントを行うJETプログラム参加者と交流し、2年目もさらに頑張ろうと思えた貴重な経験でした。

2年目へ向けて

1年目は、とても学びの多い1年でした。派遣先の高校やLTの授業をよく観察し、自分がAT として何ができるかよく考え、行動した1年でした。授業を教えていく中で、日本の学校との違いを一番感じたのは、生徒の多様性でした。LTは、生徒の多様性に合わせて、どの生徒にも「できた!」という成功感を感じてもらえるよう、指導方法や配布プリント、課題やプロジェクトにさまざまな工夫をしています。「1人1人の生徒の多様性を尊重し、サポートする」という LTの姿勢から、たくさん学ぶことがありました。
また、学校外でも、J-LEAPの研修や学会で、アメリカ最先端の日本語教授法を学べる機会がありました。「生徒の実生活や経験に関連した内容で、実践的な日本語を教えること」「日本語学習を通して、生徒が母国や自分自身について理解を深め、視野を広げることができるような授業づくり」「ACTFLCore Practicesやバックワード・デザインを取り入れた教案づくり」など、日本語を教えていく上で大切なことを学ぶことができました。
派遣先のLTやワシントン州教師会の先生方、地域の多くの方々に支えられ、とても充実した1年を過ごすことができました。2年目も一日一日を大切にし、日本語教師として成長できるよう努力していきたいと思います。また、学校外でも地域の日本語教育やアドボカシー活動にもより積極的に携わっていきたいです。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
  • 派遣先での写真3
  • 派遣先での写真4

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