ASCの報告書

人的・知的交流アドホック運営委員会報告 和文仮訳【PDF:233KB】 英文【PDF:75KB】

ASCの提言

(第26回カルコン共同声明 和文仮訳【PDF:427KB】 英文【PDF:202KB】より抜粋)

ASCは、今後の二国間関係の成功には、日米間の既存の知的・人的ネットワークを刷新し、次世代のリーダーを育成することが必要であると報告すると共に下記についても言及した。
第一に、これまで日米関係は、数多くの才能豊かな知的人材によって支えられてきた。こうした人々の大部分は引退間近であり、知的対話と交流に基づく日米関係の戦略的中核が衰退の危機にある。
第二は、日米両国間の知的交流を育むための資金が不足していることである。
さらに、伝統的な課題に加えて、今日の日米関係は、かつてよりもはるかに複雑な地域的・国際的な力学に巻き込まれてしまっており、結果として国境を越えた新たな課題に直面している。

委員は、現在の日米関係においては世代交代の問題が最も重要であることを認識し、「日米関係を担う次世代リーダー」の育成に関わる諸問題を検証する新たなタスクフォースを設置することに合意した。主として、日米の知的交流の現状について特に世代交代に焦点を当てて評価を行うこと、対処する必要がある明らかな問題点を特定すること、そして、日米関係を維持・強化するための将来のリーダーを質量ともに十分に確保するための具体的方策について、資金調達方法も含め、提言することである。カルコンは、新タスクフォースが2017年秋までに最終報告書を作成することに合意した。
特に以下の分野が有望であることも合意した。

  • カルコンの取組を、次世代リーダーの発掘・育成を目的として進められている既存プログラムとリンクさせる。候補としては、マンスフィールド財団のプログラム、国際交流基金日米センター(CGP)プログラム、戦略国際問題研究所(CSIS)パシフィックフォーラムが運営するプログラム、JET同窓会プログラムなど。
  • 日米両国における研究およびインターンシップの機会を創出・拡大する。これにより、日本および米国の新世代リーダーが、シンクタンクやその他の政策提言機関など、多様な場で実践的な経験を積むことができる。
  • 東アジア諸国の政府および準政府機関が、将来の米国との関係に携わる次世代の育成を目的として開発した既存プログラムの経験を分析し、参考にする。
  • ハイレベルの集中会合を発足させるとともに、二国間あるいは地域的な文脈において実施している、日米関係を扱う既存会合において、多様な人材プールからベテラン・若手両方の参加を奨励する。
  • 多様な分野から、少人数の若手のリーダーを、政策関連の会合に意識的に関与させる。
  • 知事/市長、日本の国会および米国議会の議員や両国の議会スタッフなど立法に携わる人材の交流事業、あるいは数日間のセミナー等を支援する。
  • 言語、国別研究、地域研究、その他専門分野など、次世代リーダー向けの学術的教育を拡充する。また、教育交流や、多様な若手が参加する公的プログラムを促進する。
  • 質の高いデジタル・ライブラリーや情報レポジトリーの創設によりリソースの質とアクセシビィティを拡充する。

さらに、米国ジャーマン・マーシャル・ファンドの日本版を創設できる可能性について探求する価値があることにも留意した。実現すれば、東日本大震災後に日本が米国から受けた厚情への感謝の印として、先見性のある知的機関を創設し、後に続く世代のリーダー候補を育成するための継続的な取り組みとすることができる。

ASCについて

1. ASCの目的・ミッション

中長期的かつ外交的な視点を基にカルコンの役割を見据えつつ,日米間の知的交流・人的交流を更に発展拡大すべく、主要な交流分野の現状を分析し、今後注力すべきと考える優先事項について、2016年6月の第27回日米合同会議にて報告する。

2. ASCの構成員:カルコン委員

<日本側>

  • 茶野 純一(座長、国際交流基金日米センター所長)
  • 阿川 尚之(同志社大学特別客員教授)
  • 大河原 昭夫(日本国際交流センター理事長)
  • 木曽 功(千葉科学大学学長)
  • 久保 文明(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 下川 眞樹太(外務省国際文化交流審議官)

<米国側>

  • T.J.ペンぺル(座長、カリフォルニア大学バークレー校政治学部教授)
  • エドワード・リンカン(ジョージワシントン大学 特任講師)
  • パトリシア・マクマクラン(テキサス大学オースティン校 アジア研究学科准教授)
  • シーラ・スミス(外交問題評議会(CFR)日本担当シニアフェロー)

3. ASCの設立の背景

2015年9月27日カルコン特別セミナーのエグゼクティブセッションにおいて、設置を日米合意。

4. これまでの活動

2015年11月中旬
日米委員決定・アドホック委員会発足
2015年12月22日
第1回ASC日本側会議
2016年4月1日
日米ASC合同会合(於:シアトル)
2016年4月11日
第二回ASC日本側会議
2016年6月17日
第27回カルコン合同会議(於:東京)にASC報告書(和文【PDF:233KB】English【PDF:75KB】)を提出。なお、事後、日米委員有志によるフォローアップ会議開催。