ETFの報告書
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カルコン教育タスクフォース報告書 和文/英語(English)【PDF:2.6MB】
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カルコン教育タスクフォース報告書 2013~2014 和文/英語(English)【PDF:5MB】
ETFの提言
A. 日本における対策
- 政府が国際交流に果たす役割の重要性を認識し、グローバル人材の育成に向けた国際経験の重要性を支持するとの強い声明を発出する。
- 日本の学校の英語教育には改革が必要であることを認識し、改善に向けた次のような取組を進める。
- 英語教育においてコミュニケーション能力を更に重視する。
- TOEFLやIELTSなどの国際標準の英語力テストを大学入試の一部として活用する。
- JETプログラムに英語教育の専門家やその他の専門家を含めるよう拡充を図る。
- JETプログラムの同窓会が英語や他の教科の教育において果たせる役割を考案する。
- 日本の大学の国際化プロセスを前進させる。
- 日本人学生が夏に留学して秋に日本の大学に復学し、また、米国人学生が日本に留学することを可能にする等、多種多様な交流を促進するために学事暦を改める。
- グローバル人材の育成強化のため、一般教養教育を奨励する。
- 日本の大学において、英語で行われるコースやプログラムの数を増やす。
- 日本の主要経済団体の協力を得ながら、新卒者の採用活動の改革についての産業界全体での合意形成を追求する。
- 本格的な新卒採用活動の開始時期を学士課程の終盤まで遅らせるよう企業に呼びかけ、学生が留学する期間を確保できるようにする。
- 採用選考プロセスにおいて海外経験や英語力を重視する。
- 民間の日本人学生向け留学奨学金制度を拡充する。
- 国際バカロレア資格を取得可能なプログラムを拡充する。
B. 米国における対策
- 政府が国際交流に果たす役割の重要性を認識し、日本人学生の留学を促進するための手段を講じる。
- 分かりにくいとされる学生ビザの取得手続きを明解に示す。
- 米国の各種教育プログラム(申請プロセス、費用、奨学金制度、入学要件)に関する情報の質を高めるとともに、情報へのアクセスを改善し、米国の多種多様な教育機関に関する学生たちの認知度を高める。
- 特定のターゲット層(学期間又は通年留学プログラム、専攻別、プログラム別など)に向けた留学フェアやバーチャル留学フェアの開催回数を増やし、その活用を促進する。
- EducationUSAの認知度を高めるとともに活動を拡げ、フルブライト奨学金やその他の奨学金及び交換留学制度をはじめとした米国の様々なプログラムをより広く周知する。
- 学位取得のためのプログラムや交換留学プログラムに加え、英語教育、ビジネス実務その他研修等の学位取得を目的としないプログラムを設置・促進すること及び、学位取得プログラムへの進学を目的とした仮入学制度(ブリッジプログラム、パスウェイ・プログラムなど)を学生たちにより広く認知させることを米国の大学に対し奨励する。
- 日本人学生の海外留学促進に米国企業の日本支社が果たす役割を認識し、日本の大学の新卒者の採用プロセスの改革努力における、これらの日本支社の協力を求める。
- インターンシップや、TOMODACHIイニシアチブといった官民連携事業を含む日米交流プログラムに対する民間部門の支援を拡充する。
- 米国において、グローバル人材の採用や研修を推進するための取組を強化する。日本の若者を招致して米国における日本語教育に貢献してもらうための米国側による取組である「逆JETプログラム」の継続と強化を奨励する。
C. 日米双方における対策
- 教育交流分野における政府間の戦略的対話を奨励し、教育交流関連問題を将来の日米首脳会議の議題として取り上げる。
- 高校生及び大学生のための海外留学の機会を拡大する。
- 高校生及び大学生向け短期留学奨学金を含め、政府が出資する海外留学奨学金制度を拡充する。
- 日米の大学に対し、海外留学生の受け入れのためのインフラ体制整備を奨励する。
- 相互理解を深め、海外留学を促進するために、相互の地域に関する研究と知的交流を推進する。
- 日米の大学の入学審査過程において、高校時代の海外経験を評価する。
- 米国における日本語学習及び日本語教育のための資金と地域の支援を、様々な手段により強化する。
- 日本人英語教師を米国の大学や同様の目的を持つその他のプログラムに派遣する「日本人若手英語教員米国派遣事業(JUSTE)」の拡大を図る。
- ISEPのような各種コンソーシアムを通じて、大学間交流協定に基づかず留学する学生が学期単位又は通年留学プログラムを履修できる機会を増やす。
- 海外留学へのインセンティブづくりとなる、草の根交流を推進するとともに、早期異文化体験(相手国の文化に人生の早いうちに触れる)の機会を増やす。
- 高等教育アクレディテーション評議会(CHEA)、大学基準協会(JUAA)、大学評価・学位授与機構(NIAD-EU)といった関係専門機関に対し、日米の海外留学生の単位互換について改善を呼びかける。
- 海外留学経験のある日米の大学卒業生による同窓会活動を支援するとともに、それらの活動を周知する。また、各同窓会に対し、学生を自身の留学先に積極的に勧誘するよう呼びかける。
- 日米両国の関係専門機関及び高等教育機関間の組織的連携を促進する。
- 日米の大学間の積極的かつ互恵的なパートナーシップを推進し、連携先の幅を広げる。
- 国際教育協会(IIE)、日本学生支援機構(JASSO)などの主要交流機関に対し、単位取得を目的としない留学や短期留学に関するデータ収集法も含めた、調査、データ収集、ベストプラクティスの共有に関する協力の拡大を奨励する。
日米の学生交流を増やすという目標の達成状況を評価するための指標と尺度を確立し、両国間で毎年情報を共有する。
ETFについて
1. ETFの目的
日米の学生交流の低迷の原因を検証し、交流の底上げのための取組を提言すること。
2. ETFの構成員
福田康夫元総理とノーマン・ミネタ元米長官を最高顧問に迎え、官民学の有識者により構成
<日本側>
最高顧問
タスクフォースメンバー
- 槇原 稔(カルコン委員長、三菱商事株式会社特別顧問)
- 安西 祐一郎(カルコン委員、独立行政法人日本学術振興会理事長)
- 加藤 良三(元駐アメリカ合衆国特命全権大使)
- 佐藤 禎一(カルコン委員、元文部事務次官元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使)
- 加藤 重治(カルコン委員、文部科学省国際統括官)
- 芝田 政之(カルコン委員、外務省大臣官房国際文化交流審議官)
<米国側>
最高顧問
- ノーマン・ミネタ(元運輸長官、商務長官、下院議員)
タスクフォースメンバー
- ティエリ-・ポルテ(カルコン委員長、ジェイ・シー・フラワーズ営業担当共同経営者)
- ハリー・A・ヒル (カルコン委員長、株式会社オークローンマーケティング代表取締役社長)
- シルビア・クラウダー(教育省次官補代理高等教育担当)
- メーガン・カーティス(国務省次官補代理教育文化担当)
- マーク・デイビットソン(駐日米国大使館 広報・文化交流担当公使)
- チャールズ・D・レイク II(アフラック日本社会長、米日経済協議会(USJBC)会長)
- スーザン・ファー(ハーバード大学教授 日本政治学)
- スーザン・スティーブンソン(国務省次官補代理東アジア太平洋担当)
外部顧問
- ペギー・ブルーメンソール(国際教育協会(IIE)上級顧問)
- ロージー・エドモンド(駐日米国大使館 エデュケーションUSAリージョナル・オフィサー)
- アーリン・ジャクソン(米国州立大学協議会(AASCU)国際教育担当ディレクター)
- パティ・M・ピーターソン(米国教育協会(ACE)国際化グローバルエンゲージメント、大統領顧問官)
- ブルース・ストロナック(テンプル大学日本学長)
3. ETF設立の背景
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日米同盟の基盤は両国国民の固い絆であり、教育及び文化面での交流は重要な役割を果たしてきた。過去15年間に米国で学ぶ日本人学生の数は57%減少し、2011~12年には2万人を割り込み、米国の大学で学ぶ海外留学生の出身国として1位から7位にまで後退した。日本で学ぶ米国人学生数は同時期3倍に増え、6,000人に達したが、その絶対数は非常に少ない。
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2012年4月第25回カルコン合同会議の提言を受け、教育タスクフォース(Education Task Force : 略称ETF)を設立。
4. ETFの活動
- 2012年5月
- 教育タスクフォース(ETF)設置
- 2013年1月
- ETF日米合同会合(於:ホノルル)
- 2013年5月
- ETFラウンド・テーブル及び「教育タスクフォースイニシアチブ・カルコン・早稲田大学合同シンポジウム「日米関係と教育交流の発展~日米双方の留学生倍増に向けて~」(於:早稲田大学・国際会議場井深ホール)
- 2013年6月
- 安倍総理(於:東京)及びソネンシャイン国務次官(於:ワシントンDC)にETF報告書【PDF:2.6MB】
を手交
- 2014年1月
- ETFフォローアップ日米合同会合(於:ホノルル)
- 2014年4月
- 安倍総理・オバマ大統領日米首脳会談
(日米共同声明付属書
)にて、ETFの目標を共有
→カルコン両委員長による同イニシアチブを歓迎する旨の声明を発出
- 2014年5月
- カルコン日米合同テレビ会議にて報告
- 2014年11月
- 第26回カルコン合同会議に「カルコン教育タスクフォース報告書2013-2014【PDF:5MB】
」提出、教育交流レビュー委員会設立に同意
- 2015年6月
- 教育交流レビュー委員会(ERC)設立(以降、ERCに引き継ぐ)
5. 成果
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タスクフォースは日米両国間の学生交流の動向を精査し、「2020年までに日米双方向の留学生交流数を倍増する」という目標の達成に向けた提言をまとめ、2013年6月に安倍総理及びソネシャイン米国務次官に提出した。
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2014年第26回カルコン合同会議では、ETFの提言に基づき、その後の両国におけるフォローアップ状況(実施されたさまざまな施策やプログラム)をまとめたカルコン教育タスクフォース報告書2013-2014【PDF:5MB】
がETFフォローアップ委員会により提出された。
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2014年4月の安倍総理・オバマ大統領による日米首脳会談後の共同声明付属書では、両政府がカルコンのETF目標を共有していることに言及した。
6. 今後の活動
新たに設立される教育交流レビュー委員会(ERC)が、ETFの2020年の目標達成に向けてデータ等の収集と分析を行い、種々の方策を検討するとともに、進捗を確認する。また、その結果については,報告書にまとめ隔年開催されるカルコン合同会議に提出される。
ETFラウンドテーブル