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理事長からのごあいさつ

2017年度は国際交流基金の第4期中期目標期間の初年度でした。本中期計画期間においては、国際交流基金が設立当初から柱としてきた文化芸術交流、日本語教育、日本研究・知的交流、の3つの分野における政策的課題に応える事業はもちろんのこと、日本を取り巻く国際環境の変化に対応し、外交政策により緊密に連携する事業を進めてまいります。

2017年度においては、前中期計画期間中に発足した「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト〜知り合うアジア〜」が4年目を迎え、日本語パートナーズ派遣が2017年度末で1,225人に達し、目標の3,000人まであと1,775人となりました。芸術・文化の双方向交流事業においては、ASEAN50周年を記念した現代美術展「サンシャワー展」を東京で開催し、35万人の来場者があるなど、これまでの双方向交流事業の成果を日本の方々に知っていただく機会を設けました。2020年の最終年に向けてアジアセンター事業の集大成を、日本や東南アジアでお見せし、今後のさらなる交流の深化につなげるべく、準備を進めてまいります。

また、2016年5月の安倍総理大臣とフランスのオランド大統領(当時)の合意により、日仏友好160年にあたる2018年に開催が決定した大規模な日本文化紹介行事「ジャポニスム2018:響きあう魂」に関し、安倍総理大臣を議長とするジャポニスム2018総合推進会議での議論、日仏両政府による日仏合同委員会での調整を経て、展覧会、舞台公演、映像、生活文化等、さまざまな分野において60を超える公式企画が決定され、国際交流基金内に事務局を設置し、準備を進めました。

このほか、「日本祭り開催支援事業」の米国ほか5か国での実施、101か国・地域で908件の日本のテレビ番組放映、JFF:アジア・パシフィック・ゲートウエイ構想のもと、12か国36都市での日本映画祭の開催など、良好な国際環境の整備という当基金の目的に沿った事業を展開してまいりました。

一方、日本語教育や日本研究・知的交流、草の根の市民同士の交流など、長い時間をかけて日本と諸外国の間を橋渡しする人材や団体を育てる事業は、同じく当基金の目的である調和ある対外関係の発展という観点から引き続き重要な分野であり、着実に取り組んでまいりました。

カリキュラムの作成や若手教師の育成などの日本語教育の基盤整備のために専門家を41か国120ポストに派遣するとともに、JF日本語教育スタンダード準拠教材「まるごと」やe-ラーニングプラットフォーム「みなと」などの制作を行いました。

また、東アジア地域初の日本研究ネットワーク組織である東アジア日本研究者協議会や米国のアジア研究学会、欧州日本研究協会などを通じて、次世代日本研究者の育成や国際連携の強化を図りました。

中国高校生長期招へい事業において61人を11か月日本に招へいするとともに、米国中西部・南部地域に草の根交流コーディネーターを13人派遣するなど草の根の交流も実施しました。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、日本の文化はますます海外から注目を集めています。国際交流基金は、国際文化交流の専門機関として、「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」というミッションの達成に向け、内外からの期待に応えるべく業務に邁進してまいります。引き続き、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2018年10月
国際交流基金 理事長 安藤 裕康


国際交流基金理事長 安藤裕康の写真