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理事長からのごあいさつ

国際交流基金にとって2018年度最大の事業は、日仏友好160年を記念した「ジャポニスム2018:響きあう魂」でした。この事業は、日本が海外で実施した文化紹介行事として質、量ともに過去最大のものです。日仏両国の官民が協力して2年半の準備期間をかけ、一流の芸術を一流の場所でお見せした結果、総計350万人を超える来場者を集め、大きな反響を呼ぶことができました。これは、日本文化が国際社会においていかに大きな魅力を有しているかを実証したものと言えます。私たちはこの成功に勇気付けられ、今後も文化を通じて諸外国との相互理解の深化に努めていきたいと考えています。

2018年度にはアジアセンターの活動も5年目に入りました。アジアの中学・高校などで日本語授業のアシスタントをしながら、日本文化も紹介する「日本語パートナーズ」の事業は、5年間で1,800人を超える日本の一般市民を現地に派遣し、各国からますます高い評価をいただいています。パートナーズ自身もその経験から多くのことを学び、帰国後もアジアとの懸け橋として活躍しています。芸術文化の分野でも、美術、映像、舞台、音楽、スポーツなどさまざまな領域で、双方向の交流を通じてアジアの新しい文化の創造に貢献しています。

日本語教育については、日本語能力試験の受験者が1984年の開始以来初めて世界全体で年間100万人を突破し、日本語へのニーズの高まりを感じました。これに呼応するように、日本語学習プラットフォーム「JFにほんごeラーニング みなと」の利用登録者数が6万人に達しました。また、日本政府による新たな外国人人材の受け入れ拡大政策と連動して、国際交流基金日本語基礎テストの開発に着手し、多文化共生に向けた取り組みを始めつつあります。

国際情勢の複雑化に伴い、学術交流・知的交流を一層活発にする必要性も増しています。日米関係の強化に資する草の根交流事業を立ち上げたほか、対日理解の増進や国境を超えたネットワークの構築を促進する事業を展開しました。

私たちは、国際文化交流の中核的専門機関として国際交流基金への期待の高まりを感じています。「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」というミッションの達成に向けて、業務の公正性の確保と内部統制の向上に努めつつ、内外からの期待に応えられるよう邁進してまいります。皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。


2019年10月
国際交流基金 理事長 安藤 裕康


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