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国際交流基金の事業

その他の取り組み
国際文化交流への理解と参画の促進

国際交流基金では、「国際交流基金賞」及び「国際交流基金地球市民賞」により、国際文化交流を通じて日本と海外の相互理解の深化に貢献した個人・団体や、地域に根ざした優れた国際交流を行っている団体を顕彰しています。

国際交流基金賞

学術、芸術その他の文化活動を通じて、国際相互理解の増進や国際友好親善の促進に特に顕著な貢献があり、引き続き活躍が期待される個人・団体へ国際交流基金賞を授与しています。46回目となる2018年度は、72件の候補の中から3件の受賞者を決定しました

▼2018年度受賞者および授賞理由

多和田 葉子氏の写真

(c) Yves Noir

多和田 葉子【日本】(小説家、詩人)

多和田氏は、日本とドイツの間で国と言語の境界を越えて自由に行き来しながら、詩と小説を書き続けてきた日独バイリンガル作家である。このようなバイリンガル作家は、近代日本史上前例のないユニークな存在であると同時に、今後の世界文学の方向性を鮮やかに予告するものである。文学に新しい越境的な領域を切り拓き、日本文学の境界を押し広げてきた作家活動は、国や文化の壁を越えた相互理解の促進に大きく貢献してきた。

細川 俊夫氏の写真

(c) Kaz Ishikawa

細川 俊夫【日本】(作曲家)

細川氏は、ヨーロッパと日本を中心に創作活動を展開してきた日本を代表する作曲家である。『班女』、『松風』、『循環する海』といった作品は、世界中で演奏されるレパートリーとして定着した。東日本大震災で受けた衝撃をもとに創作した『哀歌』をはじめとする犠牲者追悼の音楽は、日本人が決して忘れてはならないメッセージを内包している。これらの作品は世界各地で演奏され国際相互理解の促進に貢献してきた。

サラマンカ大学スペイン日本文化センターの外観の写真

サラマンカ大学
スペイン日本文化センター【スペイン】

サラマンカ大学は、長らく世界の学術を主導し、国際交流の拠点となってきた。なかでも1999年に同大学に創られた「サラマンカ大学スペイン日本文化センター」は、スペインと日本との友好関係、相互理解を維持強化する上で中心的役割を果たしてきた。今もなお、年間を通じて日本文化、言語、歴史、現代日本にかかわる質の高い交流や活動を行うほか、特に日本文化週間には数多くの事業を展開し、スペイン内外で高く評価されている。

国際交流基金地球市民賞

日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディア、情報を交換し、ともに考える先進的で独自性のある活動に取り組む日本国内の団体を顕彰しています。34回目となる 2018年度は、97件の候補の中から3件の受賞団体を決定しました。

▼2018年度受賞団体及び授賞理由

小松サマースクール閉会式の写真

小松サマースクール実行委員会(石川県小松市)

2014年より石川県小松市で毎年開催されている大学生による高校生のためのサマースクール。さまざまな国の大学生が企画や運営のほぼ全てを行っている。地元と全国から集まる高校生は、英語でのリベラルアーツセミナー、社会人フォーラム、小松の文化体験などのプログラムに参加し相互に交流を深めている。国際交流活動に積極的な若者が育つ好循環が生まれ、地方都市における若者による若者のための国際交流事業のモデルといえる。

「外国人のための介護職員初任者研修」受講者の写真

グローバル人財サポート浜松(静岡県浜松市)

定住外国人の就労支援のための独自のカリキュラムや教材を開発し、介護の現場で必要な日本語や技能の指導を行っている。同団体の取り組みは、外国人が担い手として活躍できる社会を指向している点が先進的であるといえる。また、学生の社会貢献活動の支援や、浜松市内の介護事業者の組合活動、浜松が将来就労先として選ばれる街になるよう海外との友好関係を築く等、多岐にわたる活動をしている。

パンゲアアクテビティに参加する子どもたちとファシリテーターの写真

パンゲア(京都府京都市)

ICT技術を使い、世界中の子どもたちが出会い、コミュニケーションできるプラットフォームを運営している。世界各地の活動拠点に子どもたちが集まり、他の拠点とウェブでつないでのアクティビティや京都でのサマースクールを開催している。独自に開発した450種類にも及ぶ絵文字や、複数言語に同時に翻訳できる機械翻訳も利用し、使用言語による序列化を起こさない姿勢を貫き、相手を思いやる態度が醸成される仕組みになっている。