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国際交流基金の事業

顕彰事業

国際交流基金では、国際文化交流への理解と参画を促進するため、「国際交流基金賞」及び「国際交流基金地球市民賞」により、国際文化交流を通じて日本と海外の相互理解の深化に貢献した個人・団体や、地域に根ざした優れた国際交流を行っている団体を顕彰しています。

国際交流基金賞

学術、芸術その他の文化活動を通じて、国際相互理解の増進や国際友好親善の促進に特に顕著な貢献があり、引き続き活躍が期待される個人・団体へ国際交流基金賞を授与しています。48回目となる2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により中止となった前年度の推薦分を含めた101件の中から、4件の受賞者を決定しました。

受賞者・団体及び授賞理由

【日本】是枝裕和(映画監督)

是枝氏は市井の人々に寄り添い生活の機微を優しく見つめる一方、育児放棄された子どもたちや万引きで生計を立てる疑似家族を描いて(『誰も知らない』『万引き家族』等)、現代日本の社会のありようを問いかけてきた。その諸作品は人間についての深い洞察に満ち、世界で高く評価されている。また日仏合作の『真実』や、日韓をつなぐ『ベイビー・ブローカー』の制作等、映画を通じた国際相互理解の推進に大きく貢献している。

是枝裕和氏(映画監督)の写真

(c)藤井保

【日本】宮田まゆみ(笙奏者)

宮田氏は1979 年より国立劇場の雅楽公演に出演し、現代音楽の巨匠による新作の世界初演を行う等、雅楽の伝統楽器の可能性を世界に発信してきた。ニューヨーク・フィル、ベルリン・ドイツ響等と共演し、各国の著名な音楽祭にも出演し、ドイツの作曲家ヘルムート・ラッヘンマンのオペラやチェコ出身の振付家イリ・キリアン氏との共演でも笙の魅力を伝えた。長年にわたり伝統楽器「笙」を通じた国際相互理解の促進に貢献している。

宮田まゆみ氏(笙奏者)の写真

【ベトナム】ハノイ国家大学外国語大学日本言語文化学部/ハノイ貿易大学日本語学部/ハノイ大学日本語学部

ベトナムにおける日本語の普及の勢いは目覚ましく、この発展の背景には日越両国間の経済交流や文化交流があり、それを支える優秀な人材を育てたハノイ国家大学外国語大学、ハノイ貿易大学、ハノイ大学(旧ハノイ外国語大学)の3 校の日本語教育の歴史がある。2017 年には3 校が中心となり、ベトナム初の全国組織「ベトナム日本語・日本語教育学会」を発足させ、活動を展開している。

ハノイ国家大学外国語大学日本言語文化学部の写真

ハノイ貿易大学日本語学部の写真

ハノイ大学日本語学部の写真

【ドイツ】イルメラ・日地谷=キルシュネライト(ベルリン自由大学教授)

日地谷=キルシュネライト教授は、欧州を代表する日本文学研究者、文芸批評家、翻訳者で、三島由紀夫等の現代日本文学を分析・解説し、私小説や日記といった日本独特の文学形式を考察する等顕著な業績を上げ、日本文化・社会に関する理解の増進に大きく寄与した。長くベルリン自由大学の教授を務め、後進の育成にも尽力し、また国際学術ネットワークを構築して、日欧の相互理解を促進し、その業績は各界から高く評価されている。

イルメラ・日地谷=キルシュネライト氏(ベルリン自由大学教授)の写真

(c)Pablo Castagnola

国際交流基金地球市民賞

日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディア、情報を交換し、ともに考える先進的で独自性のある活動に取り組む日本国内の団体を顕彰しています。37回目となる2021年度は3団体が選出され、昨年度に続きオンラインでの授賞式を開催しました。

受賞団体及び授賞理由

一般社団法人 エル・システマジャパン

エル・システマとは、オーケストラ活動を通じて貧困等の社会課題に取り組むことを目的としたベネズエラ発の教育プログラムである。同団体は、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県相馬市で、子どもたちに生きる希望を持ってほしいとの思いで設立された。活動は日本各地に広がり、海外の子どもたちと合同コンサートを開催するに至っている。子どもたちが世界とつながり、自信を持つよう工夫されており、地域活性化にも貢献している。

一般社団法人 エル・システマジャパンの写真

学校法人 ムンド・デ・アレグリア学校

静岡県浜松市には南米からの日系二世・三世が数多く居住し、地域の企業を支えている。しかし言葉の壁を理由に、彼らの子どもたちが教育現場で辛い思いをすることも多かった。ムンド・デ・アレグリア学校では、幼稚園から高校生の子どもたちに、日本語と母国語の両方に対応した教育を提供するほか、彼らの進学・就職等の進路相談にも対応する。子どもたちの未来を切り拓くサポートは、ダイバーシティ社会実現への一助となっている。

学校法人 ムンド・デ・アレグリア学校の写真

特定非営利活動法人 名古屋難民支援室

名古屋難民支援室は2012 年に設立した東海地方唯一の難民の拠り所である。弁護士や地域の支援者らが、難民申請の手続きや申請中の生活支援等、長期に寄り添う必要がある難民を対象に支援活動を行ってきた。法的な手続きのほか、フードバンクを通じた食料支援や難民認定後の地域での定着支援等、幅広くサポートを行っている。近年は難民への理解を広めるための啓発活動にも力を入れており、多様な担い手が連携する取り組みが地域に浸透しつつある。

特定非営利活動法人 名古屋難民支援室の写真