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国際交流基金の事業

2021 海外事務所の取り組み

JFは、24か国に25の事務所を設け、地域・国別事業方針の下、各国・地域の状況に合わせ、「文化芸術交流」、「日本語教育」・「日本研究・知的交流」の各分野でさまざまな活動を展開しています。各事務所による活動報告をご紹介します。

JF海外拠点の世界地図

1 イタリア/ローマ 日本文化会館

「妖怪大行進:日本の異形のものたち」展

湯本豪一記念日本妖怪博物館名誉館長の湯本豪一氏監修による新作海外巡回展を開催しました。新型コロナウイルス感染症対策措置がまだ残る中、報道を通じて大きな注目を集め、子供から年配の方まで数多くの来場者が、時代とともに変化してゆく不思議な妖怪の世界を楽しみました。遠方からもオンラインで親しめるよう、湯本氏の出演協力を得て独自制作したイタリア語での紹介・解説ビデオを当館YouTube上に公開しました。
https://www.youtube.com/watch?v=uiSOiLWAeHQ&t=1s 別サイトに移動します

「妖怪大行進:日本の異形のものたち」展の会場写真2点

2 ドイツ/ケルン 日本文化会館

宮沢賢治月間

日独交流160周年を記念する行事の一環として、3月を「宮沢賢治月間」と称し、『セロ弾きのゴーシュ』『やまなし』『銀河鉄道の夜』等の作品をテーマに、朗読・チェロコンサート、日本学の講演、独創的なオノマトペについてのワークショップや翻訳セミナー、映画上映等、文化芸術から日本語教育、日本研究まで分野横断的な12のイベントを集中的に行い、ドイツではまだあまり知られていない宮沢文学の世界の魅力を紹介しました。

宮沢賢治月間に行われた朗読・チェロコンサートの写真とドイツ語版『銀河鉄道の夜』出版記念鼎談の写真

3 フランス/パリ 日本文化会館

『グレンダイザー』回顧展

永井豪氏原作テレビアニメ『UFOロボ グレンダイザー』は、1970年代末からフランスで『Goldorak』の名で放映され、大人気を博しました。2021年秋に開催した回顧展『Goldorak-XperienZ : 1975-2021 Retrospective』には、制作過程やフィギュア等の展示に、放映当時熱中した世代が子ども連れで詰めかけ、週末は開館前に長蛇の列ができるほどの盛況を呈し、ふだん日本文化になじみのない人々にも多数ご来場いただきました。

『グレンダイザー』回顧展会場の写真2点 (c)パリ日本文化会館/澤田博之

4 韓国/ソウル 日本文化センター

オンラインこけし絵付ワークショップ

海外巡回展「人形NINGYO-美と芸術の日本人形」展の関連企画イベントとして、宮城県のこけし職人の工房と韓国の会場をオンラインでつなぎ、こけしの絵付けを行うワークショップを宮城県との共催で実施しました。参加者からはコロナ収束後には実際に工房を訪れたいとの声が多く聞かれました。
市民レベルの文化交流を通じて日本の人形文化、職人文化への理解を深めるとともに、訪日意欲向上にも資する有意義な機会となりました。

オンラインこけし絵付ワークショップのオンライン画像と受講生の集合写真

5 中国/北京 日本文化センター

2021年度 全国中等日本語教師大会

中国教育部傘下の人民教育出版社と共催で、全国の中等日本語教師を対象としたオンライン研修会を実施しました。「高考」(大学入学試験)で日本語を選択する学習者の急増に伴う、現場のニーズへの対応として、最新の教育政策動向の共有や、新教材・事業に関する情報交換を行い、教師間のネットワーキングにも貢献しました。1769名が修了、配信視聴者数は約7000人に達し、動画の累計アクセス数は4万回を超えました。

2021年度 全国中等日本語教師大会オンライン画像の写真

6 インドネシア/ジャカルタ 日本文化センター

デジタルイラストレーション添削講座

イラストレーター兼YouTuberのさいとうなおき氏によるデジタルイラストレーション講座をWacom Indonesia との共催によりYouTube Liveで実施。インドネシアでイラスト作品を公募し、400を超える作品の中から選ばれた1作品を題材に、同氏による添削講座とライブQ&Aセッションを行いました。当日は1600人を超えるライブ視聴者による活発な質疑応答が行われました。

デジタルイラストレーション添削講座のオンライン画像

7 タイ/バンコク 日本文化センター

タイ中等教育 リーダー日本語教師育成

タイ教育省との共催事業「リーダー日本語教師育成プロジェクト」のキックオフとなる研修をバンコクで実施し、タイ全土の中学校・高校から14名のタイ人日本語教師が参加しました。参加者は、これから2年間、リーダー教師となるためのプログラムに参加する予定です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、教師たちは直接会う機会が激減していたこともあり、「リアル」の場での議論は盛り上がり、魅力的な授業案が数多く生まれました。

タイ中等教育 リーダー日本語教師育成の写真2点

8 フィリピン/マニラ 日本文化センター

SULONG (前へ)』

さまざまな事業を通じ、多様性を尊重したテーマに取り組んでいます。 フィリピンは歴史的に異文化を多く取り入れてきた社会、LGBTQや障がい等のある方に寛容な社会と言われています。当センターが企画・制作した『SULONG (前へ)』は、東京2020パラリンピックに参加のフィリピン人アスリート3名が主人公の短編映像です。この大会のレガシーを通して、障がいを克服し活躍する姿から包摂的な社会の実現を促すメッセージを発信しています。

東京2020パラリンピックに参加のフィリピン人アスリート3名それぞれの写真

9 マレーシア/クアラルンプール 日本文化センター

東方政策40周年記念コンサート「日本の民謡」

日本とマレーシアの関係の発展に寄与した東方政策は、2022年で40周年を迎えました。この記念の年のオープニングを飾るイベントとして、熊谷太輔氏(打楽器奏者)を音楽監督に迎え、現代風にアレンジした「日本の民謡」コンサートを3月に開催し、サペ(マレーシアの民族楽器)奏者のアレーナ・ムラン氏とも共演しました。マレーシアではコロナ禍後、初の海外招へい公演ということで注目を集めるとともに、観客から好評を博しました。

東方政策40周年記念コンサート「日本の民謡」の写真2点

10 ミャンマー/ヤンゴン 日本文化センター

ミャンマーの人々の平和への思いをのせた七夕イベント

ミャンマーでは政変後、国全体で混乱が続き、しばらくの間はオンラインも含め事業を実施できる状況ではありませんでした。そうした中、7月の七夕にちなみミャンマーの人々の思いや願いを短冊に書いてもらい、その短冊を吊るした笹を避難帰国中の運営専門員が日本の神社に奉納する様子をYouTubeで公開しました。また、七夕にまつわる物語の紹介と七夕飾りを作る折り紙のワークショップをオンラインで実施したところ、大きな反響がありました。

七夕の笹を奉納した日本の神社の写真とミャンマーの人々が思いを記した短冊の写真

11 インド/ニューデリー 日本文化センター

オンライン紙芝居を通して考える平和・いのち

丸木俊・位里夫妻が描いた「原爆の図」を元に、米国生まれの詩人アーサー・ビナード氏が作り出した紙芝居『ちっちゃいこえ』をヒンディー語に翻訳し、子どもたちに読み聞かせるオンラインイベントをBookaroo Trustと共催で8月6日に開催し、ビナード氏は、ヒロシマの悲劇や本作品に込めた思いを語りました。インド各地から700人以上の参加を得て、平和、環境、生命について考える機会を提供しました。

オンラインで紙芝居の読み聞かせをするバスンダラ・バフグナ氏の写真

12 オーストラリア/シドニー 日本文化センター

日豪インディペンデント・アニメーション展

2022年2月から7月に「Continuum」展を実施しました。本展では、矢野ほなみ氏とデボラ・サピーロ氏のキュレーション、そして山村浩二氏の監修のもと、15名の日豪インディペンデント作家によるアニメーション作品が紹介されました。両国の、繊細で複雑な、美しい物語たちが、分断の際立つ現代において、人間が他者や世界と繋がっている感覚を取り戻すことの意義を、鑑賞者に問いかけました。

日豪インディペンデント・アニメーション展の画像2点

13 カナダ/トロント 日本文化センター

電子図書館サービスOverDriveの導入

図書館サービスを安全かつ継続的に提供することを目指し、OverDrive社による電子図書館サービスを開始しました。オンラインで日本関連の電子書籍やオーディオブックにアクセスできる環境を整えたことによって、カナダ各地の人々に日本の情報を届けることが可能となりました。2022年度には米国にも拡大し、北米のJF3拠点(ニューヨーク・ロサンゼルス・トロント)で共同運営を行います。
https://jf.overdrive.com/ 別サイトに移動します

電子図書館の画像

14 米国/ニューヨーク 日本文化センター

50周年&20周年。米国で二つの記念イベントを開催

2022年3月にハワイで開催された全米アジア研究学会(AAS)年次総会でJF設立50周年を記念した日本研究国際シンポジウム、講演会、レセプションを実施し、全米や諸外国から集まった多数の日本研究者に参加いただきました。また、2021年10月には「日米草の根交流コーディネーター派遣(JOI)プログラム」の20周年を記念したシンポジウムをテネシー州で開催し、全米の関係者とこれまでの成果と今後の展望について議論しました。

JF設立50周年を記念した日本研究国際シンポジウムの写真とJOIプログラム20周年記念のシンポジウムの写真

15 米国/ロサンゼルス 日本文化センター

サンディエゴ郡の小学校で500人強が新たに日本語学習をスタート

サンディエゴ郡パウウェイ市における初の日本語プログラムが二つの小学校で同時開講し、2校で500人強の生徒が日本語を新たに学び始めました。当センターでは地元学校区、姉妹都市協会、在外公館と連携し、構想段階から立ち上げに至るまで助成、情報提供等を通じて一貫した支援を行いました。さらに2022年度からは同学区の中学校でも日本語プログラムが新設され、継続した日本語学習環境が整う予定です。

ティエラ・ボニータ小学校でのグラント授与式の写真

16 メキシコ/メキシコ 日本文化センター

メキシコ独立200周年を祝う、日本特集イベント

メキシコ独立200周年において、日本はアグアスカリエンテス州による特別招待国となり、同州にて各種日本文化イベントを実施しました。新型コロナウイルス感染症による規制の中でも、当センターでは、日墨交流を描く紙芝居の公演、日本語ミニレッスン、邦楽ワークショップ、映画上映、広報ブースの出展等、さまざまな対面事業を実施しました。久々の大型イベントに会場は連日非常に賑わい、対面ならではの文化交流の魅力が示されました。

メキシコ独立200周年を祝う、日本特集イベントの写真

17 ブラジル/サンパウロ 日本文化センター

『いろどり』ポルトガル語版制作 × 国境なき言語

『いろどり 生活の日本語』ポルトガル語版(入門(A1)、初級1、初級2(A2))の制作を行い、ウェブ上で2022年3月から無償公開を開始しました。2016年より開始され、ブラジル連邦5大学にて実施している日本語講座「国境なき言語」では早速授業で使われるようになり、260名近くの生徒にとても歓迎されています。 アンゴラ等ブラジル以外のポルトガル語圏諸国や在日ブラジル人への日本語教育現場でも活用されています。
https://fjsp.org.br/irodori/ 別サイトに移動します

「国境なき言語」日本語チューターを対象としたオンライン教師研修の写真

18 英国/ロンドン 日本文化センター

英国最大の日本映画巡回上映会、銀幕で再開

日本映画の巡回上映会が、英国27都市の銀幕で再開されました。『騙し絵の牙』のほか、『タイトル、拒絶』といった話題の秀作を上映し、久しぶりの大画面、音響に多数の観客が湧きました。コロナ禍でゲストの来英が難しい中、本編前に監督による特別ビデオメッセージを流し、『梅切らぬバカ』の和島香太郎監督と英国人ジャーナリストのオンライントークでは、日英共通の自閉症の問題を、映画を通して考える場も提供しました。

ロンドンICAでの巡回上映会オープニングの会場写真と会場入りに行列を作る観客の写真

19 スペイン/マドリード 日本文化センター

日本映画 BOOM EN ESPANA

「アルカラ通りまで長蛇の列が続いている…」。これはスペイン主要都市で実施した「成瀬巳喜男監督特集」をマドリードで実施した際の様子。私たちは日本映画のスペインでの盛り上がりを実感していました。当センターの映画事業での観客動員数は今年度は2万人強。10年前に比べて約5倍の伸びを示したのです。更に、「シッチェス・カタロニア国際映画祭」においては、名誉賞受賞の細田守監督が満員の劇場で挨拶し、スペイン市民の興奮は最高潮に達しました。

マドリードでの「成瀬巳喜男監督特集」に並ぶ人々と「シッチェス・カタロニア国際映画祭」会場及び受賞した細田守監督の写真

20 ハンガリー/ブタペスト 日本文化センター

シネマ歌舞伎を上映

2022年3月、シネマ歌舞伎の上映会を4日間にわたり開催しました。日本の伝統芸能である歌舞伎についてよく知ってもらい、その奥深さをより楽しんでもらえるように、上映前には歌舞伎に詳しい専門家による講演会も実施しました。ハンガリーでは観る機会がほとんどない歌舞伎公演を、映画館の大きなスクリーンで楽しめるということで、約730人と多くの市民が来訪し、日本への関心を高める貴重な機会となりました。

シネマ歌舞伎会場の写真

21 ロシア/モスクワ 日本文化センター

ロシア発『てぶくろをかいに』絵本表紙展が里帰り

長い外出自粛期間中、ロシア語字幕付きで日本の絵本の朗読動画配信を始めました。その一環として配信した『てぶくろをかいに』に基づいた絵本の表紙コンクールは大きな反響を得て、593名もの応募があり、日露の審査員はうれしい悲鳴を上げました。2021年9月にモスクワで実施された入賞作品展は、翌2022年2月、日本でも中野東図書館で実施され、新美南吉が『てぶくろをかいに』を執筆した中野(東京都)に里帰りを果たしました。

『てぶくろをかいに』絵本表紙展会場の写真2点

22 エジプト/カイロ 日本文化センター

オンライン時代の日本語教育シンポジウム

事前に収録したビデオ発表を中心としたセッションと、基調講演やビデオ発表を踏まえた質疑応答・ディスカッション・ワークショップ等のセッションを混合させたオンライン時代の新しい形式で「中東・北アフリカ日本語教育シンポジウムJLEMENA2022『教える』から『学ぶ』へ ―自律・対話・協働―」を実施しました。全日程で400名以上が登録し、日本語教育に関する情報共有、対外発信、教授能力の研鑽、ネットワーク構築に貢献しました。

オンライン時代の日本語教育シンポジウムの画像2点

23 ベトナム/ベトナム 日本文化交流センター

初のベトナム初等・中等日本語教師フォーラム

ベトナムの初等・中等教育機関による日本語教育の導入・普及やカリキュラム整備の流れを受け、ベトナム人日本語教師に対する情報共有・知識強化・ネットワーキングを目的とし、オンラインでの日本語教師フォーラムを現地共催機関の文化言語教育学際研究所と実施しました。初中等日本語教師とその他日本語教育関係者を合わせて107名の参加があり、日本語教育事情やベトナムの外国語政策等の最新情報を共有、意見交換することができました。

初のベトナム初等・中等日本語教師フォーラムの画像2点

24 カンボジア/プノンペン 連絡事務所

アジア文芸プロジェクトにおける「マンガ」展

カンボジアにおける若年層への読書文化啓蒙を目的として、日本のマンガ展示及びアニメコスプレや関連テーマに関するステージイベントを実施しました。マンガを巨大パネルにして展示したほか、ステージではコスプレイヤーによるショーや、カンボジア人作家によるトークイベント、有名歌手によるミニコンサート等をプノンペン中心にあるショッピングモールの催事スペースで計5日間実施し、のべ3万5000人を動員しました。

アジア文芸プロジェクトにおける「マンガ」展の写真

25 ラオス/ビエンチャン 連絡事務所

DigiCon6 ASIA-第2回ラオスコンテスト

2021年8月にTBSホールディングスがアジアの国と地域を対象に開催する映像祭「DigiCon6 ASIA Awards」の、第2回ラオス予選コンテストを実施しました。本事業は同年4月から公募し、応募総数は11件(大半がアニメ、一部が実写作品)で、8月の審査会では、ゴールド賞、シルバー賞、ネクストジェネレーション賞がそれぞれ選出され、各国の作品と各賞を競った東京大会(同年11月)へ出品されました。

DigiCon6 ASIA-第2回ラオスコンテストの画像1点と写真2点