国際交流基金賞50周年記念 日本国際交流センターからのメッセージ

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昭和49(1974)年度 国際交流奨励賞

日本国際交流センター

[日本]

国際交流基金賞50周年記念メッセージ

国際交流基金賞の創設50周年、誠におめでとうございます。

“追いつけ、追い越せ”をスローガンに1960年代に驚異的な経済成長を遂げた日本の中で、日本国際交流センター(JCIE)も、一民間団体として日米関係を中心に活動を開始しました。戦後復興を成し遂げ、新たに国際社会に船出した1970年代の日本が必要としていたのは、経済成長とともに日本と世界をつなぐ人と人との交流・ネットワークを築くことであり、その推進力の役割を果たす組織として国際交流基金が創設されたのだと思います。

当時、JCIE創設者の山本正は、国際交流基金創設に腐心されていた加川隆明外務省文化事業部長、初代専務理事に就任された斎木千九郎氏、監事の楠田實氏と、その理想の姿を求めて議論を重ねていましたが、時を同じくして1973年にはJCIEが、外務省を主務官庁に財団法人に認可されました。1960年代半ばから、日米関係、日米教育交流を実施していたとはいえ、社会的な認知もおぼつかなかった若い団体が、創設2年目の国際交流奨励賞を早々と受賞した光栄に深い感慨と感謝を覚えます。

外交は政府の専権行為であり、民間が行うものではないという通念がまかり通っていた当時、一民間団体のJCIEの活動を受入れ、認めていただいたことは大いに勇気づけられることでした。奨励賞受賞の翌年の事業報告冒頭にその感慨を、「経済大国として国際的に強い影響力をもつと世界が広く認めるようになったわが国が、世界と対話し、相互理解を深め、共通の利益に向っての協力を推進することが、わが国の利益のみならず、世界的なコミュニティの建設的な発展のために不可欠であることはいうまでもない。しかし、このような努力の根底にある諸外国とのコミュニケーションのあり方には、日本の社会的・文化的背景を含め、まだ多くの障害が横たわっている。(中略)日本国際交流センターは、対外的コミュニケーションを促進するための触媒であり、下部構造であり、潤滑油であることを願い、また使命でもあると信じ活動をすすめてきた」と山本正初代理事長は綴っています。1999年には、山本正、個人としても奨励賞を受賞しました。国際交流基金創設以来、日米センターの創設等、様々な形でともに国際交流の道を歩んできた本人にとり、重ねての栄誉であり、大変感謝しておりました。

創立以来50有余年を経たJCIEは、当初より行っている日米議会交流や国際的な政策対話を継続するとともに、それらを通じて培ってきた人的・組織的ネットワークを生かして、近年では国際保健、アジアの高齢化社会と協力、ジェンダー、多文化共生・人の移動、民主主義など多岐にわたるテーマを有機的につなぎ活動を行っています。様々なかたちでの対話・交流を通じて育まれる人的な信頼・友好関係は、経済的・政治的な利害衝突が生じる場面においては潤滑油・触媒となる、世界平和に欠かすことのできないもので、不断の営みを通じて実現していくことが、私共のミッションであると感じています。

「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」との言葉が、国際交流基金のホームページの冒頭にかかげられています。多くの文化交流・国際交流に取り組む方々の地道で継続的なご努力により、諸外国との友好関係と信頼関係が、とりわけ市民間で育まれ強化されてきたことは、未来に受け継がれてゆく日本外交の土台であり核心でもあると存じます。貴賞が今後も、活動規模の大小を問わず、そうした交流の後押しとして、次の50年もご発展なさることを願ってやみません。

公益財団法人 日本国際交流センター
専務理事 勝又 英子

(原文 日本語)

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