国際交流基金賞50周年記念 オーストラリア国立大学豪日研究センターからのメッセージ

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昭和54(1979)年度 国際交流奨励賞

オーストラリア国立大学豪日研究センター

[オーストラリア]

国際交流基金賞50周年記念メッセージ

国際交流基金による、キャリアの早い段階における世界の若手研究者への支援は、私自身、また私の学生や多くの同僚達がそうであったように、国際社会の日本との関わりを、社会的な交流や取引等実に多くの側面で豊かにしてきました。また、国際交流基金は、私が現在運営に携わっているオーストラリア国立大学豪日研究センター設立の橋渡し役としても、重要な役割を果たしました。この新たな機関の誕生によって、日豪のコミュニティは当時他に類を見ない形で、アジアにおける両国共通の未来に関する大規模な研究に共同で投資することが可能となりました。

士郎アームストロングさんの写真
(c)Tess Harwood

国際交流基金による、研究、交流、知的共同作業への支援を通じて、オーストラリアの主要な学術機関は日本の人、言語、経済、文化に関わる研究を維持することができました。その支援の多くは国家によるものであり、日本との関係を理解し、この関係を実り多いものにするための国家的な取り組みの産物です。とはいえ、国際交流基金はこの取り組みの推進役となり、基金のネットワークを通じて従来の人脈を強化し、新たな人脈を築く道を開きました。このことにより両国は共同プログラムや構想を拡充することができました。

権威ある国際交流基金賞は、受賞者の卓越性、熱意、リーダーシップを評価し称えるものです。また他の人々に対して、基金の支援を得て日本との関係構築や新たな機会とパートナーシップの実現に参加するよう促すものでもあります。国際交流基金賞による評価は、このコミットメント(参加)の重要なしるしであり象徴なのです。

今、国際交流基金と同賞の受賞者による支援とリーダーシップがかつてなく必要とされています。これまでの国際的なエンゲージメントの大前提が、試練にさらされています。不確実性、緊張、紛争によって、さらに多くの地域が、楽観的であった時代に活発に行われた国際的なエンゲージメントから手を引き、それによって壁を築いています。まさにこのような時代こそ、異文化交流や国際的活動への参加を続け、異なる文化やコミュニティへの理解を深め続ける必要があります。

国際交流基金賞の受賞者は異文化交流のリーダーであり、国際交流基金の継続的な支援を受けて、知的・文化的な寛容性が失われつつある不透明な時代に、重要な架け橋としての役目を果たさねばなりません。

オーストラリア国立大学
豪日研究センター
所長 士郎アームストロング

(原文 英語)

※受賞団体「オーストラリア国立大学豪日経済関係研究委員会」は、組織変更により1980年より「オーストラリア国立大学豪日研究センター」となりました。

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