国際交流基金賞50周年記念 ローケッシュ・チャンドラさんからのメッセージ

ローケッシュ・チャンドラさんの写真
(c)Nirmala Sharma

昭和62(1987)年度 国際交流奨励賞

インド文化国際アカデミー理事長/仏教学

ローケッシュ・チャンドラ

[インド]

国際交流基金といえば、1936年に私が最初に読んだ日本の読本の始まりにあった「サクラガ サイタ」を思い出します。それは、日本人の心が自然の神性に明かりを灯すような価値観の神話的物語を秘めていました。桜とサムライの根底にある、日本の心の純粋さと力強さを追い求める外国の研究者たちに栄誉を授けることで、この類まれな文化的ペルソナである国際交流基金は世界を映す鏡となりました。国際交流基金は文化交流のネットワークを広げながら、まさに第2次世界大戦の暗闇を払拭する太陽となったのです。偉大な彫刻家の円空が、10万体以上の仏像を彫ることで献身の心を表現したように、国際交流基金は、広大な国際的学術研究の世界との継続的な共有や交流により、無限に広がる日本の文化的宇宙に生命を吹き込んでいます。国際交流基金とは、日本から世界へ向けた巡礼であり、人類の神風なのです。私にとって、国際交流基金から授与された賞は、世紀を超える抒情詩であり、国々に一体感をもたらす甘い花の香りでありました。国際交流基金は、常に活力あふれる絆を世界各地で創り出しており、それこそは輝かしい未来に向けた煌めきなのです。最後に、国際交流基金のビジョンと響き合う西行の和歌を紹介します。

いくつもの春
私はここに来て
心を通わせる
ほころび始めた花々と

明日への活力を得るための根源的な歓喜があるからこそ、本質的な声が生まれるのです。

ローケッシュ・チャンドラ

(原文 英語)

※ 参考:西行法師家集48番歌

「あはれわか おほくの春の 花をみて そめおく心 誰にゆつらん」

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