国際交流基金賞50周年記念 タチヤーナ・リヴォヴナ・ソコロヴァ=デリューシナさんからのメッセージ

タチヤーナ・リヴォヴナ・ソコロヴァ=デリューシナさんの写真

平成5(1993)年度 国際交流奨励賞

翻訳家

タチヤーナ・リヴォヴナ・ソコロヴァ=デリューシナ

[ロシア]

国際交流基金の国際交流奨励賞を受賞したのは1993年で、つまり30年前のことです。本当にありがたいことでした。その後も日本の国際交流基金から支援をいただくことが何回もあって、いくら感謝してもしきれないのです。

私は翻訳家で、1993年の授賞式で言ったように翻訳家が必然的に二つの国の架け橋になって、否でも応でも国の文化交流を深くする使命をはたしています。今はもうずいぶん歳をとっていますが、若い時から仕事にしたいこととしては、ロシアの人に日本の文学、文化の特徴、その魅力を紹介することです。仕事と言っても、使命という方が正しいかもしれません。日本文化の紹介といえば、私のできるのは、日本文学の作品の翻訳と日本語、日本文学を教えることです。両方とも国際交流基金の支援のおかげで実行可能になって、私は本当に幸せ者です。文学作品を通じて日本人の世界観、物の考え方を認識することは、国の相互理解を深める上で、とても重大だと思っています。

要するに私の活動は今までずっと国際交流と直接に関係していたといっても言い過ぎではないでしょう。情報の交換が早くなってきている現代では、国際交流の意味が特に高くなってきたと私は確信しています。世界の国々は自分だけの習慣や知識に拘らないで、お互いに心を開いて、学びあったりするのは、一番適切な道ではないでしょうか。ですから、国際交流基金の活動はとても大切だと思います。

日本に行けたのも国際交流基金のおかげでした。源氏物語の翻訳をしている間は、まだソ連時代だったので、公式的な職場と結んでいない私のような人は、徒食とか言って、外国へ行くのを許されなかったのです。でも翻訳を完成した時、ペレストロイカが始まって、国際交流基金フェローとして日本で一年を過ごせました。本当に忘れられない一年でした。日本の文化を外からではなく内から味わうことができて、貴重な経験をさせていただきました。そればかりではありません。私の翻訳した作品の大部分が発行できたのも、国際交流基金の援助のおかげだといえるでしょう。大体において90年代から今まで出た日本文学のロシア語訳の出版は国際交流基金の提供で行われたと言えるでしょう。その面から見ても、日本文化をロシア人に紹介する上では、国際交流基金の活動は、いくら高く評価してもたりないでしょう。

ロシアでは日本文学・日本文化に関心を持っている人は多いです。私は長い間国際交流基金の支援を受けて日本文化センターで日本語教室、日本文学ゼミをやっていました。私の生徒は専門や職業が違っていても、みんな日本文化に興味をもっている人です。今の恐ろしい困難な時代においても、日本文学のオンラインゼミを主催して、わたしも参加しています。

タチヤーナ・リヴォヴナ・ソコロヴァ=デリューシナ

(原文 日本語)

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