平成11年度 国際交流基金賞/奨励賞 授賞式 高階 秀爾 選考委員会座長 挨拶

選考委員会座長

国立西洋美術館 館長  高階 秀爾


高階氏スピーチの写真  今年度の国際交流基金賞・国際交流奨励賞の選考にあたりましては、過去の受賞者を含む世界各国及び日本国内の有識者、文化交流関係団体、大学等教育研究機関、在京の各国大使や海外にあります日本の在外公館長など多くの方々から推薦のありました156件の候補者・候補団体を対象とする第一次選考を経て、7月29日に都内で選考委員会が開催され、厳正なる選考の結果、国際交流基金賞2名、国際交流奨励賞2名1団体の受賞者を決定致しました。

尚、今年度の選考委員は、私の他に次の7名の方々です。

  • 国際交流基金顧問 浅尾 新一郎氏
  • 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授 池端 雪浦氏
  • フェリス女学院院長 小塩 節氏
  • 国際日本文化研究センター所長 河合 隼雄氏
  • 日本放送協会放送総局特別主幹 高島 肇久氏
  • セゾン文化財団理事長 堤 清二氏
  • 評論家・劇作家 山崎 正和氏

 平成11年度の国際交流基金賞は、米国のカリフォルニア州ポモナ大学にある環太平洋研究所所長のフランク・ギブニー氏と、ドイツ人でフィラデルフィア管弦楽団音楽監督であり、またNHK交響楽団桂冠名誉指揮者でもありウォルフガング・サヴァリッシュ氏に決定しました。また、国際交流奨励賞は、トルコの中東工科大学教授のアフメット・メテ・トゥンジョク氏、日本国際交流センター理事長の山本正氏、そして米国ロス・アンジェスルの全米日系人博物館に決定しました。


 フランク・ギブニー氏は、国際的なジャーナリストとして、また出版人として、様々な形で日本を紹介し、米国における日本や東アジアに対する理解の増進に多大な貢献を行なってこられました。また、自ら環太平洋研究所をおこされ、日米関係を考えるテレビシリーズの企画や数多くのセミナーやシンポジウムなどの活動を通じて、アメリカと日本、アジア諸国の知的対話や人的交流を推進してこられた功績が高く評価され今回の授賞を決定しました。


 ウォルフガンク・サヴァリッシュ氏については、ドイツを代表する世界的な指揮者としてそのご活躍ぶりは改めて申し上げるまでもありませんが、日本との関係で特に申し上げれば、1964年の初共演以来30年以上にわたりNHK交響楽団を指揮・指導してこられたこと、また多くの欧米のオーケストラやオペラの日本公演を手がけられ、日本における西洋音楽の普及と音楽家・オーケストラの育成に多大な貢献をされてきたことが高く評価されました。


式には土井たか子さんもいらっしゃった様子の写真

 アフメット・メテ・トゥンジョク氏は、トルコを代表する日本研究者としてトルコと日本の近代化の比較研究に取り組まれその業績が高く評価されています。それに加えて、トルコにおける日本研究と日本語教育の推進役として、中東工科大学をはじめとするトルコ各地の大学の日本語講座創設に尽力してこられました。今回は、このような長年の貢献を評価するとともに、今後より一層トルコと日本の交流の発展のためにご活躍いただくことを願って国際交流奨励賞に決定しました。


 山本正氏につきましては、本日お集まりの国際交流の関係者の皆様には改めてご紹介するまでもないほどですが、昭和40年代から今日まで、日米、日欧、また日本とアジアの間で様々な国際交流プログラムを手がけられ多大な成果を挙げられています。山本氏のリーダーシップによって、青少年、女性、ジャーナリスト、学者、財界人、NGO、政治家など各界各層にわたる交流が行なわれ、対話と理解が進められてきました。長年にわたる功績を讃えるとともに、今後もますますご活躍いただくことを願って国際交流奨励賞に決定しました。


 全米日系人博物館は、1985年に設立され、1992年に常設の展示館をロサンゼルスのリトル・トーキョー地区にオープンした比較的歴史の浅い団体ですが、米国における日系人の歴史と文化を紹介するユニークな展示や地道な研究・教育活動を通じて、米国のみならず海外においても民族問題に関する対話の促進や文化的多様性の理解推進に意欲的な取組を展開しています。今年1月には新館もオープンし、今後一層のプログラムの充実と展開が期待され国際交流奨励賞に決定しました。


 以上、簡単ではありますが、今年度の国際交流基金賞及び国際交流奨励賞の各受賞者と授賞理由の紹介とさせていただきます。


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