サッカーと日本語学習の両立 ―プロサッカー選手 パトリックさん(ガンバ大阪所属)―

※画像をクリックするとYoutube動画にリンクします。

日本のプロサッカークラブでプレーするため、2013年に来日したパトリック選手。日本語学習にも熱心に取り組んでおり、オンライン学習ツールや7万人以上のフォロワーがいるSNSを利用して日本語を勉強しています。将来日本国籍を取得して、日本代表としてプレーすることを目指しています。
今回、パトリック選手にオンラインでインタビューを行い、サッカーと日本語学習を両立させるその原動力に迫りました。

プレイ中の画像キックをするパトリック選手
―ガンバ大阪提供―
ガンバ大阪所属 パトリック選手
1987年10月26日生まれのブラジル人プロサッカー選手。2013年に来日し、2014年から現在所属するガンバ大阪でプレー。2021年シーズン終了時点で日本国内の試合に300試合以上出場し、通算100ゴール以上記録。

日本での挑戦

―なぜ日本のチームでプレーしようと思ったのですか?
パトリック選手:まず、私は海外でサッカーができるチャンスがあるならブラジルから出たいなと思っていました。日本については友人が話していたのを聞いて、自分の頭の中で多少イメージを持っていました。そして、ブラジルを出てプレーするチャンスを得たとき、「ここ(日本)で歴史を刻むんだ」という気持ちで日本行きを決めました。
―日本に来る前後で日本や日本人に対する印象は変わりましたか?
パトリック選手:とても変わりました。日本にやってきてからたくさんのことを学び、身につけ、今では自分が日本人になってしまったようです。日本の文化を学び、日々の生活に至るまでいろんなことが変わりました。
―日本に対する現在の印象を教えてください。
パトリック選手:日本は人々をよくもてなし、居心地がいいです。自分に対しても常に身近でサポートしてくれて、平穏な気持ちで暮らせる国です。

オンライン教材、SNSを活用した日本語学習

―日本語はいつから勉強しているのですか?
パトリック選手:3年前から勉強を始め、以来、毎日少しずつ勉強を続けています。
時には本当に簡単な短い言葉も思い浮かばず(単語が出てこず)、難しく感じることもありますが、それでイライラ、落ち込んだりしてばかりもいられません。
―日本に来て最初に学んだ日本語は何ですか?
パトリック選手:「たまねぎなし」です。玉ねぎがあまり好きではないので、この言葉はすぐに覚えました。いつも挨拶するので「おはよう、こんにちは」等は、すぐに覚えましたが、「たまねぎなし」もすぐに記憶に刻まれました。
―日本語を勉強して文化や考え方の違いを発見しましたか?
パトリック選手:まず、教育(しつけ)がブラジルとは全く違います。日本では子どものころから、成長するまで、非常に厳しくしつけられると思います。学校では子どもたちが掃除をし、サッカーのグラウンドでは子どもたちがサッカーゴールを運びます。ブラジルではそのような光景に出会うことはありません。
―いつもどのように日本語を勉強していますか?
パトリック選手:本、SNSです。また、インターネットで日本語の授業を自分の都合のいい時間に合わせて受講しています。

オンライン授業をメインに日本語学習に取り組んでいます。
―本人提供―
―パトリック選手は日本語を書いたノートをSNSで公開し、ファンの方に添削してもらっていますね。ファンの方からのSNSでのアドバイスについて教えてください。
パトリック選手:(SNSでのアドバイスは)非常に良いことで、自分の(日本語を使おうとする)モチベーションがより上がります。私は時々(文法的に)間違えて話したり書いたり、あまり適切ではない言葉で投稿したりしてしまいますが、みなさんはそれに(悪い)評価を下すのではなく、間違いを直してサポートしてくれるのです。
SNS上で日本語が上達しているように見えますが、実感は?
パトリック選手:以前より上達していると感じてはいます。ただ、言いたいことは頭の中にあるのですが、言葉を発する時に言葉が詰まってしまったりするので、もっとスムーズに表現できたらと思います。(話したいことを話す前に)一呼吸おければもっと言葉が出やすくなると思います。
日本語のノートを映したSNS画面のキャプチャー画像
SNSを活用した日本語学習。多くの応援・称賛のメッセージが寄せられています。
―本人提供―
―日本語を勉強していて楽しかった・良かったことは?
パトリック選手:(日本語の勉強は)楽しく、面白いです。特に自分自身で物が読めたり、みんなが話していることが聞き取れて意味が分かったりしたときにとても嬉しく思います。
―日本語を勉強する時に難しいことは?
パトリック選手:漢字です。漢字はとても難しいです。
―日本語を勉強するうえでモチベーションを維持するためにどうしていますか?
パトリック選手:勉強する中で一番大切なのは、「規律」です。(学習を進めるうえで)目標と時間を設定しなければなりません。私の場合は、日本人選手やサポーターとの距離感を縮めたいし、サッカーの試合後のインタビューも日本語を使って直接自分の言葉で言えるようになりたいです。そういう所に目標をおいて頑張っています。
―好きな日本語を教えてください。
パトリック選手:「がんばりましょう」、「がんばってください」です。その二つの言葉は、何事においても一生懸命やらなければならない、という言葉であり、自分のパワーが出てきてもっと頑張ろうと思える言葉なのでよく使いますし、好きです。
―サッカー選手が日本語を学ぶ意味、メリットは何ですか?
パトリック選手:日本でプレーする中でサッカー選手が日本語を勉強するのは、強い気持ちを持っていないと難しいと思います。ただ、一生懸命に学ぶことによって日本語を覚えて、日本人との距離感を縮めることができますし、グラウンド内でのコミュニケーションだけでなく、グラウンド外でも自分たちの生活の幅を広げることができる、すごくいいメリットがあると思います。
五十音のひらがなの書かれたポスターの前でハンドサインをするパトリック選手の画像
日本語を毎日欠かさず勉強するパトリック選手。
―本人提供―

今後の目標は日本国籍取得、日本代表入り...

―今後の目標を教えてください。
パトリック選手:今後の目標は、日本語のレベルをもっと上げて、さらに学習を重ね、(日本の人たちと)よりコミュニケーションがとれるようになることです。
―プロサッカー選手を引退した後も日本に住み続けたいと思いますか?
パトリック選手: 私の希望はまさにそれです。日本に住み続けるために日本語を勉強している、というところもあります。自分が引退した後、いろいろな形で日本のサッカーをサポートできると思いますし、例えばブラジル人選手、またそれ以外の国から初めて来日する外国人選手を言葉や生活の面でサポートしていけるのではないかと思っています。
―将来的に日本語国籍取得また日本代表でプレーをしたいですか?
パトリック選手:はい。そう考えています。簡単なことではないですが、一生懸命日々できることを自分の中でこなすことが大事なのではないかと思っています。
また、いつも日本代表のサッカーは見ていますし、そこに自分も携われたらいいなという気持ちは常に持っています。今後どうなるか、お楽しみです。

日本語学習者へのメッセージ

今、日本語を勉強している方にとって、日本語は本当に難しいかもしれません。けれども、日本語を毎日少しずつ10分、15分、20分でも努力して学び続ければ、絶対実を結ぶ日が来ると思います。本当は1時間とか50分とか、長い時間を取って勉強をすることがいいと思いますが、やはり大事なのは(1日やって1日しないとかではなく)日によっては10分、15分の勉強時間になってしまっても毎日日本語に接する時間を作ることだと思います。
頑張ってください。
プレイ中のパトリック選手の画像
―ガンバ大阪提供―

日本国籍取得、日本代表入りを目標に、サッカーと日本語学習の両立に挑んでいるパトリック選手。ますますの活躍を応援しています!

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