ウィスコンシンでの一年

マディソン・カントリー・デイ・スクール
武田 いずみ

ウィスコンシン!!

ウィスコンシン州はアメリカ中西部の最北に位置しており、冬の寒さは非常に厳しいですが、東側はミシガン湖に、北側はスペリオル湖に接し、陸地の46%が森林という自然あふれる美しいところです。面積は169.639km2(日本の本州の約3/4)、人口は約570万人です。政治の中心は州都マディソン市、人口最大の都市はミルウォーキー市です。
ウィスコンシン州にはヨーロッパからの移民が多く住んでいます。その中でも特にドイツからの移民が多く、昔からソーセージやビールの生産が発達し、ミルウォーキーにはアメリカビール・ミラー社の本社・工場もあります。

ウィスコンシンは”America’s Dairyland” と呼ばれ、酪農で有名です。マディソンから少し車を走らせるとたくさんの牛を見ることができます。昔から乳牛の牧畜がさかんで、酪農祭りなどが数多く存在するのもウィスコンシンの特徴です。

海外からの移民や外国人居住者の増加に伴い、ウィスコンシンでは外国語教育の重要性が改めて注目されています。州内の公立学校では、半数以上が7年生から外国語を導入しており、さらに最近では外国語教育を小学校から開始するようにカリキュラムを変更している学校もあるようです。外国語教育の中で最も授業に取り入れられている言語はスペイン語です。その次はフランス語、ドイツ語のようですが、この二つは近年若干人気が下がっていると言われています。アジアの言語としては、中国語教育が勢いを持つ中、残念ながら日本語教育は衰退傾向にあります。

Madison Country Day School

受入機関であるMadison Country Day Schoolはマディソンから車で15分ほどのワーナキーというところにあり、湖と美しい緑を教室から眺めることができる大自然に囲まれたすばらしい学校です。教師数は約50人、学生数は幼稚園から12年生まで全て含めて350人という超小規模プライベートスクールです。勉強はもちろん、芸術や音楽に非常に力を入れていて、子供たちが作った作品や生徒のオーケストラ、ジャズの演奏のレベルの高さにはいつも驚かされます。外国語教育に関しては、幼稚園からスペイン語が導入されています。9年生からはスペイン語を継続するか、新しい言語として日本語を学ぶか選択することができますが、卒業前にIB試験を受けなければならないため、外国語は必修です。昨年度日本語を学習した学生数は12年生が2人、11年生が3人、10年生が11人、9年生が15人でした。小さい学校なので、日本語を教えているのはリードティーチャー(以下、LT)と私しかいません。使用教材は9年生が「いま」、10~12年生が「げんき」ですが、会話ベースの授業が多く、教科書はガイド程度に使っています。

レッスンプランは、LTと毎日話し合い、誰がどのアクティビティを担当するかを決めていました。この一年間、二人で意見を出し合い、授業を重ねてきたので、特に「これが私の仕事だ」といえるはっきりとしたものはありませんが、中学生(5年生~8年生)の「選択授業」のプランは私が主に担当しました。一週間に一度、「日本語・日本文化」の選択授業に10人ほどの中学生が参加しました。日本語に触れてもらうため、生徒に自分の名前をカタカナで書かせたり、1から10までの数え方を教えたりしました。また、文化に興味を持ってもらうために行ったことは、紙芝居の紹介と制作、折り紙、お好み焼き作りなどです。LTの助けを借りながら、いろいろなアクティビティをすることができたと思います。

日本語の授業以外に…

秋に沖縄の今帰仁村というところからエイサーのパフォーマンスをする太鼓グループがマディソンにやって来ました。ウィスコンシン州にJOIプログラムで派遣されている方の紹介で、私たちの学校にも訪問してもらうことになり、日本語の生徒の前でパフォーマンスをしてもらいました。そのパフォーマンスの後は、一人一個ずつ太鼓を持たせてもらい、エイサー太鼓グループの高校生や大学生が基本的なたたき方や振付けを教えてくれました。最後には質問交換なども行い、太鼓グループが日本に帰国した後には、その時の様子を生徒たちが新聞記事にして掲示板に飾りました。このように、同年代のアメリカ人と日本人が連絡を取り合い、つながっていることを大変うれしく思いました。

Madison Country Day Schoolはメインエントランスを挟んで中学・高校の校舎、幼稚園・小学校の校舎に分れています。幼稚園の先生から、子供たちに日本語や日本文化を教えてくれないかという依頼を受け、絵本の読み聞かせや折り紙を教えるため、幼稚園の教室を訪ねました。子どもたちは初めての日本語の絵本や折り紙に興味津々でした。

一年目を終えて。そして二年目は

アメリカに一度も来たことがなかった私にとって、ここでの生活は何もかもが新しい事ばかりで、文化の違いを考えさせられた一年でした。その中でも私が一番強く心に感じたことは、アメリカの子供たちは何をするにも決して受け身の姿勢では臨まないということです。小さい頃から自分の考えや意見を相手に伝えるという能力が身についていて、いつも堂々と話しているという印象を受けました。日本語の授業をしていても、生徒たちは積極的に質問をしたり、その答えに対して再び意見したり、というようなことがよくありました。

一年目は、とにかく授業準備に時間がかかりバタバタしていました。そのため、せっかくMadison Country Day Schoolには幼稚園、小学校、中学校、高校が同じ場所にあるのに、それらの教室を自ら訪問することができませんでした。何度か幼稚園で絵本読み聞かせ、折り紙、小学校で新聞兜作りなどをしましたが、いずれも幼稚園と小学校の先生から声をかけてもらったからできたことでした。二年目は、日本語の授業で行うアクティビティはもちろんですが、それ以外でももっと自ら多くのアクティビティを提案していきたいと思っています。また、Madison Country Day Schoolだけでなく、マディソンやウィスコンシンの日本語・日本文化イベントにも積極的に参加していきたいと考えています。最近ウィスコンシン大学で日本語を勉強している学生たちの「日本語会話の会」に参加したり、マディソンの小学校で行われたインターナショナルフェスティバルの日本ブースで折り紙を教えたりして、地域イベントに参加する重要性を感じるようになりました。あと一年ですが、一人でも多くの人に「日本っていいな!」と思ってもらえるように活動していきたいと思います。

  • 派遣先での写真その1
  • 派遣先での写真その2
  • 派遣先での写真その3

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