学生が教えてくれたこと

モンゴメリー・ブレア・ハイ・スクール
新谷 遥

首都の隣で

メリーランド州は、ワシントンDCの北に位置する、面積約32,000 平方キロメートル、人口約600万人の州です。「人種のるつぼ」と呼ばれるワシントンDCに隣接していることから、DC近郊の地域でも、様々な国からの移民の文化を垣間見ることができます。

メリーランド州の公立の教育制度は、全米でもトップクラスに位置づけられています。中でも、私が派遣されたモンゴメリー郡は、経済的に豊かで、教育に力を入れていることで知られています。受入機関であるモンゴメリー・ブレア高校(以下、ブレア)は、モンゴメリー郡シルバー・スプリングという人口約7万人の市にあり、様々な文化的背景を持つ学生が学んでいます。モンゴメリー郡では、26校の高校のうち、4校で日本語を選択科目として教えています。郡内に日本語母語話者が少ないため、日本語を学んですぐに使うことは難しく、学生の多くは、「日本文化への興味」「将来日本で働いてみたい」などの目的を持って日本語を学んでいます。少数ですが、日本にルーツを持つ学生もいます。また、州立大学であるメリーランド大学への進学要件として、外国語を2年間取ることが定められており、多くの学生が中学校で学んだスペイン語やフランス語を選択するなかで、違った言語を学んでみたいというチャレンジ精神を持っている学生もいます。

特色ある高校、モンゴメリー・ブレア

ブレアには約3,000人の学生と、約200人の教師が在籍しています。マグネット・プログラム(学生たちがある特定の分野に焦点をあて、その分野を専門的に学んでいくプログラム)を持つことが最大の特徴です。ブレアでは、数学・科学・コンピューター科学に特化したプログラムと、Communication Arts Programという文系のプログラムがあります。日本語クラスでは、通常のクラスの学生とマグネット・プログラムの学生が、互いに刺激を与え合い、切磋琢磨して学んでいます。ブレアの日本語教師は1人で、合計約60名の学生が日本語を学んでいます。主教材はオリジナルの冊子です。ブレアでは、ほぼ全ての教室に電子黒板があり、効果的に日本語を学べるような補助教材の作成も担当しました。さらに、同じ郡のペイント・ブランチ高校でも、同様の日本語指導の補助を行いました。

その他の主なアシスタント業務としては、Japan Bowl出場がありました。Japan Bowlは、毎年4月に行われる、全米規模の高校生のための日本語コンペティションです。ブレアでは、3レベル9名の学生と、昼休みや放課後の時間を使ってミーティングを開き、ウェブ教材や本番を意識したスライドを使って対策をしました。ミーティングを重ねていくうち、この学生たちが通常の授業や放課後等も積極的に日本語クラスのために動いてくれるようになり、他の学生たちにも良い刺激になったようでした。

J-LEAPアシスタントだからできたこと

JETJ-LEAPはいわば逆のプログラムで、日本大使館やワシントンDCの日米協会から、JET同窓生を紹介していただいたり、同窓生が参加するボランティアの場に誘っていただいたりする機会に恵まれ、交友を深めることができました。

そして、2014年の夏には、日本大使館で、新規JETプログラム参加者のための日本語講座の講師を務めさせていただきました。講座の内容は、ゼロ初級者向けのサバイバル日本語がメインでしたが、4回という限りある講義の中で、JET参加者たちが日本で遭遇するであろう場面を想定し、場面からシラバスを作成しました。その中で、名刺交換や日本の住宅などの日本文化にも触れ、災害時の対応の回も設けました。私自身、この一年間初めて海外で生活をしてみて、様々な経験をしました。この講座では、「外国人として海外で生活する私」と「日本で生まれ育った私」の両方の経験を生かすことができました。

日程:
2014年7月毎週火曜日 午後6時~7時30分の全4回
参加者:
初級~中級 毎回5名程度
教材:
JETプログラム参加者に配布される教科書『Japanese for JETs』とハンドアウト

素晴らしい出会いと新たなスタート

メリーランド州の中でも、ワシントンDC郊外に派遣され、多様な背景を持つ学生のための学校教育を学びました。それぞれの学生の個性を尊重し、学生たちの興味・関心を伸ばすようなカリキュラムが組まれています。テストの受け方や学び方にも、学生に応じて配慮がなされます。一方で、学生は学校のルールにもきちんと従わなければなりません。社会に出たときの準備も着実にしていきます。

このプログラムを通して、初めて教育の現場に立ちました。この一年間で学んだことは、「どの学生にも背景があり、それぞれの気持ちがある」ということです。「子どもだから」とひとまとめにすることは簡単ですが、学生たちは毎日、様々な教師や大人と接しています。教育の現場とは、子どもが学び大人から評価されるだけの場ではなく、大人も子どもに評価され学び、互いに成長していく、双方にとっての学びの場なのだと感じました。

この一年間で、学生が教えてくれたことは数え切れません。学生は、いつも笑顔で協力してくれました。こうした出会いは、私のこれからの人生の財産になっていくだろうと思います。

2年目は、コネチカット州の小学校でのスタートです。新たな経験ができることを楽しみにしています。

  • 派遣先での写真その1
  • 派遣先での写真その2
  • 派遣先での写真その3

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