日本語専門家 派遣先情報・レポート
アインシャムス大学

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
アインシャムス大学
Ain Shams University
派遣先機関の位置付け及び業務内容
アインシャムス大学言語学部日本語学科は2000年に創設された。外国語学部は、入学難易度が高く、エジプト国内では名門として知られている。専門家は主に、学部生の授業や卒業研究指導、エジプト人教師の助言・研究支援、研修会の企画・運営、エジプト人教師との協働によるプログラムのブラッシュアップなどに取り組む。
所在地
Abbaseiya, Cairo, Arab Republic of Egypt
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
日本語講座の所属学部、学科名称
アインシャムス大学言語学部日本語学科
国際交流基金からの派遣開始年
日本語講座の概要

アインシャムス大学日本語学科の先生方、学生たちの様子

アインシャムス大学
近藤弘

ラマダンカリーム!

 私がこの原稿を執筆している2023年4月13日現在、エジプトはラマダン真っ只中です。ラマダンと言うと、断食のイメージが強いかと思いますが、夕方から深夜にかけては、エフタール(断食後の夕食)、親戚の集まり、ラマダン期間限定のドラマシリーズなど、楽しいイベントも盛り沢山のようです。金曜日のモスクには、お昼寝、談笑、お祈りをして過ごす方々の姿があります。私はラマダンの間、幸せなムードに包まれたカイロが好きです。日本のお正月を思い出します。
 さて、今回の記事では、アインシャムス大学(以下、ASU)日本語学科の先生方と学生が活躍したイベントについて紹介していきたいと思います。

アムル・イブン・アル=モスクの写真
2023年4月7日のアムル・イブン・アル=モスク

オムニバス形式の研修会

 ASU日本語学科には現在、20代前半から30代後半のエジプト人教師が在籍しており、多くの先生方が修士・博士課程に在籍しています。また、ASUのエジプト人教師は、全員同校の卒業生です。もともと、同級生、先輩と後輩、元生徒と教師の関係にあることから、コミュニケーションが取りやすい間柄にあります。一方で、皆さん多忙なこともあり、授業について相談したり、アイディアを共有する機会は少ないように感じていました。そこで、2022年6月に約1ヶ月間、週に1回の頻度で、オムニバス形式の研修会を先生方と企画・実施しました。
 研修には新任教師から中堅教師まで、多い日には20名程度の参加がありました。中堅教師の方々に日本語、翻訳、文学史など、それぞれが担当している授業でどのようなことを大切にしているかなどについて話していただきました。また、新任・初任の先生方には、モデル授業や授業アイディアの共有をしていただきました。
 今回の研修実施にあたって声をかけた先生方は、忙しい中で快く講師役を引き受けてくれました。修士・博士課程でそれぞれの専門性に磨きをかけ、惜しみなくその知識やアイディアを共有し合う先生方の向上心と関係性は、ASU日本語学科の財産だなと思います。

国際シンポジウムにおけるASU関係者の活躍

 2023年3月にカイロでエジプト日本研究会第1回国際シンポジウムが開催されました。本シンポジウムはASUが運営するものではありませんでしたが、実行委員会にASU教員が在籍していることもあり、当日はボランティアスタッフ、司会・通訳として運営に貢献する学生や、研究成果を発表する先生方の姿が見られ、ASU関係者大活躍の2日間となりました。私もシンポジウム1日目に、4年生や若手の先生と2つのポスター発表をする機会をいただきました。シンポジウムで堂々と発表する4年生の姿はとても心強く、彼女たちの成長を感じられる嬉しい1日になりました。

ポスター発表の様子の写真
ポスター発表の様子

もうすぐ卒業の4年生

 現在の4年生は、コロナウイルスの世界的な流行により、1、2年時に多くの授業がオンライン化した学年です。また、3年時の日本留学もオンライン留学だったという学生が多いです。大学生活や留学生活が想像していたものと異なったことは、彼ら彼女らにとって残念で悲しかったことのようです。
現在エジプトでは、さまざまなワークショップや文化イベントが対面で行われています。そして、4年生は失った時間を取り戻すかのように、友人たちと積極的にイベントに参加しています。遊ぶことにも学ぶことにもとても貪欲です。
 2023年8月には卒業する4年生ですが、最後まで学生生活を楽しんでほしいです。そして、5年10年と時間が経った時、彼ら・彼女らが、オンライン化した学生生活と留学生活を送った経験について、「残念だったこと」や「悲しかったこと」以外の意味を見出せていることを願っています。

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