日本語専門家　派遣先情報・レポート
ニューデリー日本文化センター（西インド）

　私の担当地域は、マハーラーシュトラ州、グジャラート州、マディヤ・プラデシュ州、ゴア州、チャッティースガル州の5州および2つの連邦直轄領にまたがっていますが、新型コロナウイルス感染症の影響もあって2021年末のプネ着任以降、プネとムンバイ以外の都市の日本語教育機関を訪問したことがありませんでした。しかし、2022年以降その影響はほぼなくなり、都市や州をまたぐ移動にも制限がなくなりました。それに伴い、私も2022年度はプネとムンバイ以外の都市の日本語教育機関を訪問することができました。

マハーラーシュトラ州アーメドナガール訪問

　まず、2022年12月にプネから東に車で3時間ほどのアーメドナガールという小都市を訪問しました。アーメドナガールでは、日印両政府が共同で2018年に設立した日本語教師育成センターの第1期生、ヴァイデヒ先生が中心となって日本語教育をがんばっています。訪問時には、ヴァイデヒ先生が運営している日本語学校のほか、日本語が導入されている2つのカレッジも訪問しました。アーメドナガールの近くには日本企業向けの工業団地があり、今後日系企業の進出が見込まれています。この工業団地に進出した日系企業で仕事を得る可能性を高めようと、これらのカレッジで日本語教育が行われています。

アーメドナガールでがんばるヴァイデヒ先生

グジャラート州アーメダバード訪問

　2023年1月にはアーメダバードを訪問しました。アーメダバードはインドの2大都市、デリーとムンバイのちょうど中間に位置する交通の要所です。グジャラート州がモディ首相の出身地でもあることから、今後産業の発展が期待されています。
　アーメダバードでは、Indo Japan Friendship Association（IJFA）、アーメダバード大学、そしてZydus School for Excellenceを訪問しました。
　IJFAがあるAhmedabad Management Associationでは、Japan Study and Information Centreで日本語クラスを開講しているほか、日本文化に関するイベントを多く開催しています。Japan Study and Information Centreの壁一面には葛飾北斎の赤富士が描かれていて、ここに来るだけで日本の雰囲気を味わえます。
　アーメダバード大学では外国語の選択科目の1つとして日本語が開講されています。主に言語や歴史を専攻する学生が日本語を選択しているそうです。また、Zydus School for Excellenceでは、1年生から5年生が課外活動で日本語を学んでいます。IJFAのメンバーからの助言で日本語が始まり、10年以上も続けられているそうです。
　このように、グジャラート州でもIJFAをはじめ、日本や日本語の普及を熱心に進めている方々がいらっしゃいます。その熱意には頭が下がる思いです。
　2021年度は出張ができず、そのために担当地域の日本語教育の現状が把握しづらかったのですが、今回両都市の現場に赴き関係者から直接話を聞くことで、これまで見えなかった各地域の実情が少し見えてきました。この出張で得た情報と実感を日本語普及と日本語教育の質の向上につなげていくことが今後の課題です。そして、まだまだ見えていない地域も多いので、可能な限り訪問し、現場でがんばる関係者のみなさんへの支援の方法を探っていきます。

Japan Study and Information Centreの赤富士の前で