世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 夏ノ暑サニモマケズ!

ケラニア大学
新井潤

1年中「夏・本・番!」のスリランカから暑い(原文ママ)レポートをお送りします。

ケラニア大学

日本語専科コースの学生たちの写真
日本語専科コースの学生たち

これまでケラニア大学の日本語教育は,人文学部現代語学科内にある選択科目のひとつとしておこなわれていました。学生たちは,日本語だけではなく,ロシア語やフランス語などの言語や言語学,観光学,翻訳学などの専門科目から3つの科目を履修し,幅広い知識を身につけるというのがこのコースの特徴でした。 そうした中,2014年新学期から日本語専科コース (Special Degree) が始まりました。このコースでは,日本語スペシャリストを育てます。そのために,これまでの3年制から4年制になり,より深く日本語を学べるコースになりました。初年度は19名の学生と共にスタートしました。

4年生の時には卒業論文も課せられるため,さまざまな講義が用意されています。「文学」「言語学」「日本語教授法」「異文化間コミュニケーション」「観光学」「翻訳・通訳学」などです。どんな卒業論文が提出されるのか,3年後が楽しみです!

さらに,現在,修士課程開講の準備も始まりました。来年は,このコースについてもお知らせできるでしょう!

教師会

ポスター発表の写真
ポスター発表

スリランカ日本語教師会では,毎年,いろいろなイベントが企画され,実施されています。

教師会主催のイベントのひとつに「日本語教育セミナー」があります。これは,スリランカ中の日本語教師が一堂に会するビッグイベントです。第7回目を迎えた昨年度は,新たにポスター発表の部が設けられ,17名の発表者がそろいました。内容豊富で色とりどりのポスターが会場の壁一面に貼られた様子は圧巻で,大成功の企画となりました。

そして,もうひとつスリランカ日本語教師会にとって大事なイベントがあります。それは,大学受験のための大規模な日本語の勉強会です。この勉強会は,大学受験科目に日本語を選択した高校生を対象にしたものです。毎年,地方都市を巡回して開催されるので「巡回セミナー」と呼ばれています。朝,早くから夕方まで丸一日かけて,文法,読解,文字語彙,文学,会話などの講義と,過去問を使った試験対策までと盛りだくさんの講義が準備されます。

集まった高校生たちのやる気と熱いまなざしで会場は熱気ムンムンとなりますが,講師たちの話に必死に耳を傾け,メモを取る高校生たちの姿を見て,とても感心させられました。すごい!教師会では,こうした活動もおこなっているのか~,と今回初めて参加して,驚かされた1日でした。

教授法ディプロマコース

2012年11月から始まった教授法ディプロマコースは,日本語教授法を学ぶための研修会です。中等教育機関で日本語を教えている教師が対象です。2013年11月には予定されていた講義がすべてを完了し,12月には修了試験がおこなわれて,全日程が終わりました。1年間の長丁場でしたが,無事,23名の修了生を送り出すことができました。

カリキュラムの後半には,模擬授業がおこなわれました。模擬授業1回目はコース受講生の前で,そして2回目は参加者の赴任校に赴き,実際に教えている学生たちの前でおこなわれました。はじめは緊張してしまう先生もいましたが(審査されるのでどうしても緊張しますよね~),さすが実力者揃いの受講生たち。次第にいつもどおりの「先生」の顔になり,いかんなく実力を発揮し,研修の成果を見せてくれました。

スリランカでは,高等教育よりも中等教育で日本語教育が盛んにおこなわれています。スリランカの日本語教育は,こうした中等教育機関の先生がたに支えられていると言っても過言ではありません。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
University of Kelaniya
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ケラニア大学の日本語講座は、スリランカの高等教育機関の中で最も長い日本語教育の歴史を持ち、中級レベルのカリキュラムを持つ数少ない講座の一つである。当地ではまだ上級レベルの日本語講座を持つ学校教育機関はない。そのため、教育省の依頼で、Aレベル試験(高校卒業兼大学入学試験)の問題作成・採点、さらにシラバス・教科書作成などにもケラニア大学講師が参画しており中等教育の日本語教育にも多大な影響力を持つ。本講座には毎年高校で初級を終えた学生が集まる。2014年には新たに日本語専科コース(4年制)が開講された。日本語専門家は大学での講義、コース運営の支援、講師の指導、Aレベル試験のネイティブチェックを行う。
所在地 Dalugama, Kelaniya, Sri Lanka
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
人文学部 現代語学科
日本語講座の概要
沿革
  講座(業務)開始年 課外講座:1978年
一般学位:1980年
  国際交流基金からの派遣開始年 1980年
 
コース種別
  一般学位コース,専門学位コース,選択コース,課外コース
 
現地教授スタッフ
  常勤4名(邦人0名),非常勤5名(邦人3名)
学生の履修状況
  履修者の内訳 1年生53名,2年生55名,3年生32名
  学習の主な動機 日本語教師志望,日本留学,日本への興味・関心
  卒業後の主な進路 企業,日本語教育機関
  卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N2受験可能な程度
  日本への留学人数 5名程度

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